エコバックスジャパンから、ロボット掃除機の新製品「DEEBOT X1 ファミリー」が発表されました。発売日と価格は、フルスペックモデル「DEEBOT X1 OMNI」は4月7日で198,000円、エキスパートモデル「DEEBOT X1 TURBO」が3月25日で159,800円、スマートモデル「DEEBOT X1 PLUS」が4月7日で158,000円です。メディア向けの体験会でプレミアム機のフルスペックモデルを体験してきました。ゴミの吸い上げからモップのすすぎと乾燥まで自動でしてくれます。
ECOVACS(エコバックス)は世界で52の国と地域に家庭用ロボット製品を提供する中国のメーカー。全世界におけるロボット掃除機のシェアは現在2位。日本国内では「2021年6月に発売したDEEBOT T9シリーズが好調で、国内シェアを伸ばしています」と、エコバックス・ジャパン代表取締役社長の坂梨文康氏。
DEEBOT T9シリーズは10万円前後の価格帯ですが、今回の新製品「DEEBOT X1 ファミリー」は、さらにその上をいく158,000円~198,000円というプレミアムな価格帯。その最上位モデルとなるDEEBOT X1 OMNIの性能を見ていきましょう。
モップを洗って乾燥させる「全自動クリーニングステーション」を搭載
DEEBOT X1 OMNIの特徴は、吸引掃除、水拭き掃除、ゴミの収集、水拭きタンクへの給水、汚れたモップの洗浄、熱風乾燥まで自動で行うところ。
既存モデルのDEEBOT T9シリーズも吸引掃除と水拭き掃除が可能ですが、水拭き用タンクへの給水や、汚れたモッププレートを取り外して洗うのは手動でした。今回のDEEBOT X1 OMNIはそうした手間を省き、ほぼすべてをお任せで掃除できます。
ポイントは「全自動クリーニングステーション」です。ロボット掃除機の本体を充電するだけでなく、加圧回転式デュアルモップ(以下、モップ)を濡らす「給水タンク」、掃除後の汚れたモップを洗って出てきた水を回収する「汚水タンク」、吸引掃除で集めたゴミをロボット掃除機本体から吸い上げて回収する「ゴミパック」を搭載しています。
「ゴミ回収とモップ洗浄のタイミング調節が難しく、苦労しました」とエコバックスのアイシー・ザオ部長は話します。モップ洗浄は、全自動クリーニングステーション内に配置した洗濯板のようなパーツに押しつけながら行い、そのあと2時間ほどかけて熱風(というより温風)で乾燥させます。「梅雨のジメジメした時期でも、ニオイなど心配がありません。いろいろ試した結果、円形のモップがもっとも乾くのが早く、この形を採用しました」(アイシー・ザオ部長)
全自動クリーニングステーション内の汚水タンクに溜まった水と、ゴミが集まった紙パックは自分で捨てる必要があります。それでも、掃除のたびにロボット掃除機をメンテナンスしなくてよいのは画期的ではないでしょうか。
運転音も静かだけど、全自動クリーニングステーションへのゴミ回収もうるさくない
DEEBOT X1 OMNI本体は5,000Paという高い吸引力なのですが、一番パワフルなモードでも、会話をジャマしないくらいの運転音。専用アプリを使えば静音モードも選べます。自宅でオンライン会議をしている横で動かしても問題ない印象です。
個人的に驚いたのは、全自動クリーニングステーションに戻ったときのゴミ回収音。同様の機能を持ったロボット掃除機の場合、本体のゴミをステーションに回収するとき20~30秒間は大きな音がします。ロボット掃除機本体にゴミを残さないよう強く吸い上げるため、大きな音が出るのは仕方ないとは思うものの、気になるところではあります。
DEEBOT X1 OMNIは全自動クリーニングステーションでのゴミ回収音が小さめで、時間も10秒ほど。これなら普段の生活の中で聞こえる音として、ガマンできる大きさではないでしょうか。
ヤコブ・イェンセン・デザインは、見た目だけでなく静けさも実現
DEEBOT X1 OMNIは、デンマークを代表するプロダクトデザイナーのJACOB JENSEN(ヤコブ・イェンセン)氏が設計を担当。シンプルで洗練された北欧モダンな外観に仕上げました。
「ヤコブ・イェンセン氏は時計のデザイナーとして知られた存在です。限られたスペースに複雑なパーツを収めていくのは得意なところ。DEEBOT X1 OMNIは、ネジ1本からイェンセン氏に設計を依頼しています。これだけ高機能な製品だとパーツの数が多く、配線・配置も複雑になります。ロボット掃除機本体の大きさにしっかり収まったのはイェンセン氏が設計したからこそ。無駄なすき間や噛み合わせの悪い部分もなく、各パーツが美しく収まっていて、余計な振動もなく静音性の実現につながりました」(アイシー・ザオ部長)
カメラとレーザー、2つのセンサーで物体を回避
DEEBOT X1 OMNIは、カメラとレーザーという2つのセンサーと、電気自動車の自動運転などにも使われている先端AIチップを搭載。床の障害物を検知・回避します。
「レーザーは黒いものを認識しにくいのですが、カメラなら色に関係なく認識できます。一方、カメラは障害物を立体的に認識するのが苦手なので、レーザーを使ってカバーします。2つのセンサーを使うことで、それぞれの苦手なところを補います」(アイシー・ザオ部長)
機能盛りだくさんのロボット掃除機、掃除の準備いらずでお任せ
このほか、独自の音声アシスタント機能「YIKO(イコ)」も搭載。スマートスピーカー不要で音声操作できます。
「YIKO(イコ)はアクセントや言い方など、さまざまな音声データを使って開発しています。『OK YIKO、ステーションに戻って』『OK YIKO、ステーションに帰って』というように、ある程度同じ意味の言葉であれば多少表現が異なっても認識します。これも、高性能なチップを搭載したことで可能になりました」(坂梨社長)とのこと。スマホやスマートスピーカーを準備しなくても音声操作ができるのは手軽ですね。
「日本の市場では、高価格帯モデルのDEEBOT Tシリーズと、プレミアムモデルのDEEBOT X1ファミリーを重点的に販売していく予定です。まずは当社の技術力を知っていただきたいと考えています。コストパフォーマンスも良いので、そういったロボット掃除機を探しているお客さまには選んでいただけるのではないかと考えています。DEEBOT X1ファミリーの認知度が上がることで、DEEBOT Tシリーズの販売にも弾みがつくと期待しています」(坂梨社長)