俳優の堺雅人が、きょう26日に放送される日本テレビ系スペシャルドラマ『ダマせない男』(21:00~)の見どころなどを語った。

2020年に放送された『半沢直樹』(TBS)以来のドラマ出演となる同作で堺が演じるのは、“超”が付くおひとよしのサラリーマンの絹咲正。婚活パーティーで出会った浅香澪(門脇麦)に頼まれて彼女の父親に会いに行くが、正が会った相手は裏社会にもつながりのある大手ゼネコン社長・貴島(生瀬勝久)だった――。

  • 堺雅人=日本テレビ提供

――約2年ぶりのドラマ出演になりますが、いかがですか?

今回お仕事させていただいて、やっぱり楽しいですし、ありがたいなと感じています。本当に「こういう事をやりませんか?」とどなたかが言ってくださらないと何もできない職業なので、台本をいただけるだけでとってもありがたいな、嬉しいなと。そういう意味では待ち望んでいた2年間だったのかなという気がします。

――本作はコメディードラマということですが、コメディーを演じる上での難しさはどんなところですか?

僕は、自分のコメディーセンスの無さに自信を持っているので(笑)、全く何も考えずにやりました。なので、水野監督が上手く導いて下さってるなと思います。小さいころから冗談を言ってウケたためしがないんですよ。自分が面白いとも思わないですし、言わないようにもしています。「あんまり面白くないんだな、俺」と思って生きています(笑)。

――本作の主人公・絹咲正を演じるにあたって意識したことは?

意識したというか、やりながら気づいたことですが、絹咲は「体の声」がすごく豊富な人なんですね。僕は台本を読むとき、頭でばかり考えてしまう役者なんだなと反省しました。「胸がドキンとする」とか「シクシク痛んで」とか、あまりト書きには書いていないので、ついついセリフばかり追ってしまい、頭で考えてしまうんですけれど、今回は絹咲と一緒に、僕自身がないがしろにしていた「体の声」みたいなものを改めて聞くことができました。それは俳優として、とても楽しい作業でしたね。

2年前に演じた役などは、頭で考えた自分のペースをどんどん進めていくような人物だったので、頭と体で言ったら頭からの声が大きかったんだと思います。今回は体がすごくいろんな言葉を出しているような……。そういう人物ならではの演じる楽しさがありました。

――体がいろんな言葉を発していくということは、言葉ではない表現がたくさんあったかと思うのですが、具体的にはどんなシーンが印象に残っていますか?

やっぱり恋をするシーンですね。結婚詐欺のシーンがあったので、どうしても恋愛の部分を体験することになるんですが、恋愛ってドラマでは大事なテーマの1つじゃないですか。でも僕はこれまで、お芝居の中で恋をするっていうことがあんまりなかったんです。今回、そういうシーンがあって、とても楽しかったですね。今回共演させていただいた女優さんたちは百戦錬磨の方たちばかりなので、そうした恋愛ドラマの先輩方に教えていただきながら演じました。

いや本当に、門脇さんも広末さんも村川さんも本当に素晴らしくて、彼女たちとお芝居をしていくことで、気持ちがこんなに動くんだというのを教えてもらいました。とても大きな存在でした。感謝しています。

――コメディーということで、掛け合いやテンポなどで笑いの要素が変わってくると思います。共演者の皆さんとのチーム感はいかがでしたか?

笑いに関してはさっきも言ったように全く自信がないので、笑えなかったら僕のせいではなく水野監督のせいです(笑)

チーム感は、共演者が素晴らしい方ばかりだったので、安心して色んなことを試せました。感染予防をしながらの撮影なので、リハーサルはマスク着用で相手の表情がわからないですし、控室のちょっとしたおしゃべりもできなくなっているので、初めましての人が多い現場だとコミュニケーションが難しいと思うんですけれど、今回は、たとえマスクで隠れていても大体こういう事なんだろうなというのをお互い読みあえるような、キャリアのある方ばかりだったので、そこに乗っかるような形でお芝居ができました。

――演技に関して、堺さんから監督に提案することもありましたか?

僕がしたのは「脛を蹴とばす」という門脇さんのアクションを「カンチョーにしたらどうでしょう?」という提案くらいです。あのカンチョーは僕が考えました(笑)

門脇さんが僕の脛を蹴るには、僕より前にいなければいけないんですけれど、その姿を正面にいる広末さんに見られちゃいけなくて。どうすれば僕の後ろに隠れられるだろう……って時に、カンチョーくらいしか思いつかなかったんです。子供が真似しないといいですね(笑)。

――最後に視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

嘘がつけない人が一生懸命嘘をつくことで、周りも巻き込んでいろんな騒動が起きていくというお話です。年齢を問わず誰もが気楽に見られるコメディーになっていると思いますので、ぜひご家族そろって楽しく見ていただけたらと思います。