冠婚葬祭を主催する立場になったときに、お世話になっている人に対してお車代を渡すということもありますよね。お車代を入れる封筒は、お祝いごとか不幸ごとかで使う封筒が異なり、書き方にもルールがあるのをご存じでしょうか。
本記事ではお車代用の封筒の書き方や選び方について、結婚式/葬式別に紹介します。表書き・裏書きはどうするか、ポチ袋でもいいのか、どんなペンで書くのかや「お心付け」との違い、具体例もまとめました。
お車代とは
お車代とは、「交通費の名目で支払う、若干の謝礼金」を指します。結婚式や葬式、法事などで渡すシーンがあります。
お車代を渡すシーン
結婚式では、結婚披露宴の主賓や、遠方から参列してくれた人、乾杯・祝辞・演目・受付などを担当してくれた人に対してお礼の気持ちも込めて、お車代を渡します。
葬式・法事などでは、僧侶に対する交通費を、「お車代」の名目で渡すことが多いです。
【お車代の封筒の書き方や選び方】結婚式などのお祝いごと
お車代を渡すとき、お祝いごとか不幸ごとかで渡す相手や用いる封筒が異なります。ここでは、結婚式などお祝いごとで渡すお車代について見ていきましょう。
封筒の表書きは「お車代」「御車代」などで、相手の名前は書かない
結婚式などのお祝いごとでお車代を渡すとき、表書きは「お車代」「御車代」「御車料」などと書きます。
両家共通のゲストであれば、封筒表面の下部分に、新郎新婦の苗字を記入してください。苗字は結婚前のもので、右側に新郎の苗字・左側に新婦の苗字を書くのが一般的です。
渡す相手の名前は基本的には記入しません。
封筒の選び方は? ポチ袋でもいいの?
お車代を入れる封筒は、金額が1万円前後まではポチ袋、1万円前後の場合は水引がプリントされたご祝儀袋を使います。
2万円以上の金額を渡す場合は、大きめの結び切りの水引がついた祝儀袋に入れて渡しましょう。ご祝儀袋の裏の折り返し部分は、下側が上にくるように折りたたんでください。 ただし、たくさんの人にお車代を渡す場合など、状況によってはすべて同じ封筒にそろえても問題ありません。
結婚式で渡すお車代の封筒の書き方例
ここでは、結婚式で渡すお車代を入れる封筒の記入例を紹介します。まずは、「御車料」と印字された封筒に入れてお車代を渡す際の記入例です。
2万円以上を渡す際に、ご祝儀袋へお車代を入れて渡す際の記入例です。
お車代を入れる封筒を準備するときの参考にしてください。
お車代を渡す相手と金額の相場
お車代を渡す相手によって、金額の相場が異なります。お車代を渡す相手ごとの相場は下記の通りです。
渡す相手 | 金額の相場 | 渡すタイミング |
---|---|---|
遠方のゲスト | 半額または全額 | 全額負担の場合はチケットを手配して送る 半額の場合は受付または両親から渡す |
主賓 乾杯の挨拶 |
1万円以上 | 受付または両親から渡す |
受付 | 3,000~5,000円 | 受付が始まる前に渡す |
余興、スピーチ | 3,000~5,000円 | 披露宴の終了後に渡す |
子供のゲスト | 3,000~5,000円 | 席にお礼の品を置いておく |
立会人 | 3,000~5,000円 | 披露宴の終了後に渡す |
司会 | 1~3万円 | 式の開始前に渡す |
撮影 | 1~3万円 | 披露宴の終了後に渡す |
ブーケ ウェルカムボード |
3,000~2万円 | 受け取った後に渡す |
二次会の幹事 | 1~3万円 | 二次会の終了後に渡す |
上記の金額はあくまで目安です。地域や規模などによって異なりますので、地域性も考慮して金額を決めてください。
「お心付け」と「お車代」の違い
「お心付け」とは、ウェディングプランナーや介添人、ヘアメイク、司会者など、結婚式のスタッフに渡す謝礼のことで、現金以外が渡されるケースもあります。
表書きは「御礼」や「寿」などが用いられがちで、枚数が多ければ印刷されることもあります。
足を運んでくれたことに対するお礼である「お車代」と、労力に対して渡す「お心付け」とで、渡す目的が異なる点に留意してください。
【お車代の封筒の書き方や選び方】葬式・葬儀や法事などの不幸ごと
ここからは、葬式や法事など不幸ごとで、僧侶に渡すお車代について紹介します。
封筒の表書き
お車代を渡すときに、現金をそのまま渡すとマナー違反になってしまいますので、封筒にお車代を入れましょう。
封筒に書く表書きは、「お車代」「御車代」「御車料」などと書きます。
地域によっては表書きの下に喪主の氏名または家の名前(◯◯家)を書きます。その際は「お車代」の下に少し小さめに書くようにしましょう。
封筒の選び方
お車代を入れる封筒は、白い無地の封筒が一般的です。双銀か黒白の水引が印字された封筒でも構いませんが、地域によっては適切な水引の色が決まっていることもあるそうです。水引が印字された封筒を使用する場合は、事前に確認しておきましょう。
葬式で渡すお車代の封筒の書き方例
ここでは、葬式や法事で渡すお車代を入れる封筒の記入例を紹介します。
お車代を入れる封筒を準備するときの参考にしてください。
自ら送迎する場合は不要
自ら送迎を行った場合や、タクシーなど車を手配した場合、お寺で葬式・法事を行う場合には、僧侶へのお車代を用意する必要はありません。
僧侶にお車代やお布施を渡す際は、切手盆に入れて渡す
僧侶にお車代やお布施を渡す際に、直接手で持って渡すのはマナー違反です。切手盆などの小さいお盆に乗せて、僧侶から文字が読める向きにして差し出してください。大抵の場合、切手盆は葬儀社が用意してくれます。
切手盆がなければ、袱紗(ふくさ)で代用するといいでしょう。
お車代を渡す相手と金額の相場
僧侶へ渡すお車代の目安がわからなければ、葬儀社や寺院に相談してみましょう。実費より少し多めに包むのが基本です。その際は小銭を混ぜずに1,000円単位で決めてください。また、入れるお金は新札が望ましいです。
お車代の封筒を書く際に注意したいポイント
お車代を入れる封筒の書き方例をご紹介しましたが、その他にも注意してほしいポイントがいくつかあります。実際に書く前に、下記の注意点についても留意しておきましょう。
裏書きは基本的に不要
お車代の封筒の裏に記入する裏書きは、基本的には不要です。
お車代は相手へのお礼として渡すものであり、そのお返しは想定していないため、こちらの住所や連絡先等の情報を記載する必要はないのです。
手書きの場合は筆か筆ペンを用いる
手書きの際は、筆または筆ペンを使って書くのが一般的です。あらかじめ「御車料」などの表書きが印字された封筒もありますので、手書きが負担になるようでしたら活用しましょう。
濃墨を使う
お車代の封筒へ手書きする場合に使う墨は、濃墨で問題ありません。
葬式でお香典を渡す不祝儀袋の表書きは薄墨で書くのが一般的です。しかし、お車代は葬儀の施主から僧侶に渡すもので、僧侶に不幸があったわけではありません。
お祝いごと・不幸ごとのどちらであっても、お車代の表書きには濃墨を使いましょう。
氏名を書くか書かないかは、地域や宗派による
葬式でお車代を渡す封筒には、地域や宗派によっては氏名を書かないこともあります。何回も名前を書くことで、不幸が続くことにつながるという考えもあるからです。
地域や宗派によってしきたりがありますので、準備するときに確認してください。
お礼の気持ちを示すお車代の封筒の書き方やマナーは、シーンによって異なる
お車代を入れる封筒は、葬式や法事で僧侶に渡すときには白い封筒を使います。しかし、結婚式などのお祝いごとでお車代を渡すときには、華やかな封筒に入れて渡すことが多いです。
さらに状況によって封筒への書き方も異なりますので、シーンに合わせて書けるよう、書き方を覚えておきましょう。また、あらかじめ「お車代」「御車代」などと印字されている封筒も販売されていますので、うまく活用してください。
お車代を渡す機会は日常では多くないかもしれませんが、一般常識として封筒の選び方や書き方を覚えておきましょう。