何をしていても可愛い水族館の人気者・カワウソ。サンシャイン水族館では、そんなカワウソの貴重なシーンの撮影に成功したそうです。

お分かりになったでしょうか? 動画の後半で、岩場から下に降りてくるカワウソが、氷を耳に当てて運んでいるのです。

成長したカワウソは口にモノをくわえて運ぶことができますが、まだ小さい子カワウソは、片手を耳に当ててそこにモノを挟んで運ぶことがあるのだとか。

毎日カワウソを見ている飼育員さんですが、「ようやく撮れました! 」とツイートからその興奮が伝わってきます。

今回のそんなコツメカワウソの生態について、サンシャイン水族館のコツメカワウソ飼育スタッフの方にお話を聞きました。

――耳にモノを挟んで運ぶのは、カワウソならではの行動なのでしょうか?

カワウソならではというか、自然界でどうなのかも分かりませんが、飼育下では複数の個体がやっているので、学習しているんだと思います。持って運ぶという行動が、口にくわえる以外だと、この方法くらいしかないのかなとも思います。

もしかすると、親がやっていた、もしくは他の個体がやっていたのを「模倣」したのかもしれません。興味深いです。他の動物で、このような行動があるのかはわかりません。

――他の動画も拝見すると、カワウソたちは手がとても器用だと感じたのですが、その理由を教えていただけますでしょうか。

自然下では、岩や草木の陰、あるいは砂の中にエサとなる生き物が隠れていて、コツメカワウソは、岩の隙間などに手を入れて生き物たちを捕まえています。捕まえて、その隙間から取り出すには、しっかりといきものを掴む必要があり、手先が器用になっています。 手の先には、肉球があり、非常に敏感な感覚器になっているものと思います。手先の曲がり方などが非常に滑らかかつ柔軟で、手先以外にも手のひらにあたる部分にも肉球状のものがあり、モノが掴みやすくなっています。ずっと見ていられる手の動きです。

  • コツメカワウソの手(サンシャイン水族館提供)

――可愛くてずっと見ていても見飽きないカワウソたちですが、飼育スタッフの方から見たカワウソの魅力について教えてください。

「可愛い」というのもありますが、その後ろにある魅力と体の不思議さ、能力の高さは相当あると思います。あまりにも表情、サイズ、仕草などが可愛いこともあり、それしか表に出ていないことが魅力の半減、それ以上になっていると感じます。

その魅力の1つに、あの体から出てくる身体能力が挙げられると思います。瞬時に動ける陸での素早さ、バランスの良さ、ジャンプ力と咬合力。さらには、水の中でも非常に活発に動くことのできる体つき。

コミュニティを形成しているため、とても細やかなボーカルコミュニケーション。相手や周りを気遣うような行動、育児。あまり自然界での生態も分かっていない、飼育が非常に難しいということも魅力のひとつかもしれません。

このように飼育下で見られる行動や能力、生態について、我々がもっと見つけて引き出す必要があると思っているので、このようなことに興味を持ってもらえて、非常にうれしいです。


身体能力やコミュニケーション力など、あまり知られていないさまざまな魅力を持つカワウソ。サンシャイン水族館のTwitterアカウント(@Sunshine_Aqua)では、ほかの生き物とともに、カワウソたちの様子も知ることができます。ぜひチェックしてみてくださいね。