英Nothingは3月23日、オンラインイベント「The Truth」を開催し、同社初のスマートフォン「NOTHING phone (1)」を2022年夏に発売する予定であることを発表した。イベントの模様は、YouTubeのアーカイブで視聴できる。
ロンドンを拠点とするNothingは、2021年7月に発表した透明ボディのワイヤレスイヤホン「NOTHING ear (1)」で注目を集めたテクノロジーベンチャー。この日開催された「The Truth」は詳細な内容が明らかにされておらず、今後の新製品やロードマップが発表されると予想されていた。イベント中、その製品がスマートフォンであると明らかにされた瞬間には、視聴者からも驚きの声が上がっていた。
プレゼンテーションを行ったのはCEO兼共同創設者のCarl Pei(カール・ペイ)氏。同氏はまず、Nothingの現状を総括。組織については6カ国に300人の従業員を抱えるようになり、サプライチェーンもGoogle/サムスン/Qualcommとのパートナーシップを確立。資金調達も順調に進んでいるという状況を紹介した。
そして話題は「NOTHING ear (1)」に移る。「NOTHING ear (1)」は2021年7月の発売以降、40か国以上で販売され、好評を得ているとしながらも、Pei氏は「私たちはオーディオメーカーではありません」と続け、さらに「私たちは、Appleに取ってかわるような存在でありたいのです」という。
Pei氏は「現在、MacBook、iPhone、iPad、AirPodsといったさまざまな製品をシームレスに統合して利用できる環境を提供しているのはAppleだけです。Windows PCやAndroidスマートフォンでもそれらは分断されており、Appleの代替とはなりえません」と語る。そういったエコシステムを構築するのがNothingの目指すところで、そのエコシステムは、Nothing製品だけでなくパートナー企業の製品も含むオープンなものとなるという。
そして、そのエコシステムの中心になるものとして、「NOTHING phone(1)」を発表した。
「NOTHING phone (1)」はプロセッサーとしてQualcomm Snapdragonを搭載し、Androidベースで機能を最小限必要なもの以外をそぎ落とした独自OSのNothing OSを搭載する。Nothing OSは迅速かつスムーズにパーソナルな仕様体験を実現する設計で、ハードウェアとインタフェースには一貫性があり、カスタムのフォント/色/視覚要素/サウンドを通じてソフトウェアとシームレスに統合されているとのこと。OSアップデートは3年間、セキュリティアップデートは4年間対応するという。
プレゼンテーションでは動作画面が映し出され、Nothingが多用するドットデザインのフォントやアイコン、いくつかの独自アプリケーションが紹介された。4月にはNothing OSの最初のプレビューが公開され、いくつかのスマートフォン機種で利用できるようになるとのことだった。
「NOTHING phone (1)」の外観は公開されず、イメージアイコンが公開されたのみ。動作画面を見る限り、画面の縦横比は一般的なスマートフォンに近いシネマスコープサイズ、インカメラのパンチホールが見られなかったため画面内インカメラ搭載の可能性が予想されるが、今後の情報公開を待つしかないようだ。
現在のNothingの企業規模を考えると、「Appleに取ってかわる」というのはいささか大言壮語にも思えるが、プレゼンテーションで「『NOTHING phone (1)』は産業界が必要としている“目覚まし”です」と語るなど、Pei氏はこの製品が大きなインパクトを与えることを確信している様子。その姿が明らかになるのが楽しみだ。