パーソル総合研究所は3月22日、「有職者の地方移住に関する調査」の結果を発表した。調査は2021年3月25日〜31日、20代〜60代の就労者(パート・アルバイトを除く)1万3,845名を対象にインターネットで行われた。
社会人になって以降、自身の意向で(会社都合の転勤・帯同は除外)、都道府県をまたぐ地方圏への移住をしたことがある移住経験者7,866名に対し、移住タイプを教えてもらったところ、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」が最も多く38.6%。次いで、故郷の市町村に移住する「Uターン型」(20.2%)、主たる生活拠点を持ちつつ他の地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」(17.3%)と続いた。
また、移住に伴う転職状況について尋ねたところ、53.4%が「転職はしていない」ことが明らかに。次いで「転職した(仕事内容が大きく変化)」(28.4%)、「転職した(仕事内容は同様)」(15.0%)と続き、移住に伴う年収の変化については、58.6%が「変化なし」と回答。「減った」人は23.4%だった。
さらに、移住後の生活に対する幸せの評価を5段階評価で聞いたところ、「Uターン型」が3.53点、「配偶者地縁型(配偶者やパートナーの故郷など)」が3.47点と高い結果に。「Jターン型」「Iターン型」「多拠点居住型」は評価が低い傾向が見られた。
次に、今後移住を検討中である東京23 区、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、大阪市、京都市、神戸市在住の移住意向者2,998名に対し、検討している移住タイプを聞いたところ、「Iターン型」(56.7%)が最も多く、次いで、主たる生活拠点を持ちつつ他の地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」(40.1%)が続く結果に。
また、移住の検討段階と、テレワーク環境との関係をみると、「在宅勤務」や「遠隔地居住」の働き方が可能な状況にある人ほど、近い将来の計画として移住を具体的に検討していることが明らかに。一方、移住意向者のうち51.3%は、何らかの不安があり移住に踏み切れないでいることがわかった。
移住意向者に、移住時の減収について許容できる減収幅を聞いたところ、「減収は考えられない」が最も多く27.4%。次いで「10%程度まで」(22.2%)、「5%程度まで」(19.4%)、「20%程度まで」(14.2%)と続いた。「減収は考えられない」と回答した割合を年代別にみると、20代では46.7%と半数近くを占める結果に。一方、40代は27.2%、60代では19.1%と年代が上がるに連れ減少傾向となった。
また、移住検討時に影響する項目を教えてもらったところ、1位「地域での日常的な買い物などで不便がない」(76.4%)、2位「地域の医療体制が整っている」(75.0%)、3位「街並みの雰囲気が自分の好みに合っている」(72.2%)、4位「穏やかな暮らしを実現することが出来る」(72.1%)が上位にあがり、生活上必要な具体的条件(生活基盤の担保)だけでなく、移住候補地に対してポジティブな印象や期待感を抱けるといった情緒的な側面も重視されていることが読み取れた。