米AMDは昨日のMilan-XベースEPYC発表の翌日となる米国時間の3月22日、PCI ExpressカードベースとなるRadeon Instinct MI210の発売開始をアナウンスした。
Radeon Instinct MI200シリーズはCDNA 2に基づく製品で、まずはOAM(OCP Accelerator Module)に準拠したMI250XとMI250については昨年11月に出荷がアナウンスされている。MI250XはORNLに納入されるFrontier向けの高速動作版、MI250はもう少し速度と消費電力を落としたHPC向け汎用というものだが、OAMという時点で割と汎用性に欠けるし、I/FもInfinityFabricベースという形なので、一般には使いにくい。ただ当時からPCIeカードの形での提供も予告はされており、これの一般出荷が3月22日になったという訳だ(Photo01)。
カード形状は2Slot厚のPCIeカードで、Radeon Instinct MI100と見かけはよく似ている(Photo02)。ただ意外にも補助電源コネクタは8pin×1で(Photo03)、ということはRadeon Instinct MI210の消費電力は225W以下に抑えられている計算になる。意外に省電力な構成である。
もっともこれは当然で、Radeon Instinct MI250/250Xは、一つのパッケージに2つのCDNA2 Dieと8つのHBMが搭載されていたのに対し、こちらは1つのCNDA2 Dieと4つのHBMに抑えられているためで(Photo04)、スペック的にはRadeon Instinct MI250の丁度半分(Photo05)になっている。消費電力的には300Wとされているが、実際にはもっと少ないものと考えられる。性能に関しては、NVIDIAのA100 40GB PCIeカードとの比較がこちら(Photo06)となっている。このMI210に関しては、パートナー企業からこれを搭載した製品という形でリリースされるようで、カード単体での供給が今後あるかどうかは不明である(Photo07)。
またこのMI210の発表に合わせてソフトウェア環境の発表もあった(Photo08)。最大の目玉はROCm 5(Photo09)で、この原稿執筆時点ではまだROCm 4.5までの提供が公式であるが、Release Noteそのものは5.02が既に公開されている。既にアプリケーション側のROCm 5.0への対応も進んでいるという話であった(Photo10)。