人気のアメリカン・コミック・レーベル「マーベル・コミック」のヒーローたちが同一の世界観のもとで活躍する映画作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」。

この記事では、どの映画から見たらいいのか悩むアベンジャーズシリーズ初心者に向けて、まず知っておくべきキャラクターとして、人気ランキング上位のアイアンマン 、キャプテン・アメリカ、そしてスパイダーマンを取り扱った3作品を解説します。

  • 映画『アイアンマン』 イラスト:くまいぬ

    映画『アイアンマン』 イラスト:くまいぬ

初心者が見るべき3作品と順番(公開順と時代順)

まずは作品の公開年、作中における時代を順に並べて見ていきましょう。

【公開年代順】

  • 『アイアンマン』(2008年公開)
  • 『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年公開)
  • 『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年公開)

【作中の時代順】

  • 『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』→ 第二次世界大戦中(1940年代)
  • 『アイアンマン』→ 現代
  • 『スパイダーマン:ホームカミング』→ 現代

作中の時代順に楽しみたければ、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』から見るのがおすすめですが、やはり公開年代順に見るのが一番楽しめるのかもしれません。

なぜなら2011年に公開された『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』は、2008年に公開された『アイアンマン』を踏まえて制作されているからです。内容を把握しているからこそ、映画に登場するエピソードが腑に落ちる部分もあるはずです。

それでも2017年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』をもう最初に見ている、という方もいるでしょう。でも大丈夫です。理解できないエピソードがあったとしても、シリーズ作品を見ていくうちに理解も追いついていきます。

この3作品を見るべき理由

アイアンマン、キャプテン・アメリカ、スパイダーマンは生きてきた時代も年齢も異なり、物事に対する考え方や信念もさまざまです。特に、アベンジャーズのリーダー格となるアイアンマンとキャプテン・アメリカのキャラクターの違いには要注目です。

それぞれ異なる魅力を持つヒーロー像に注目

頭脳派のアイアンマンことトニー・スタークと、肉体派のキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースのキャラクター像は対照的といえます。

トニーは一見すると大胆な振る舞いが印象的ですが、巨大企業の社長としてシビアに組織運営をしていく一面があります。一方、スティーブは軍人としての規律を重んじているように思えますが、自らの信念を貫くあまり組織の命令を逸脱することもあり、突出した能力を活かして少数精鋭で活躍するタイプ。

そんなふたりが衝突する姿を描いた作品が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)です。それぞれの能力を駆使して戦ってきたアベンジャーズですが、民間人に大きな犠牲を出したことで国際的な非難を浴びてしまいます。政府に従って戦えとの指示にトニーは「YES」、スティーブは「NO」の意思を示したことで対立を深めます。その後の結末はどうなっているのか……。

そんな対立の中でトニーにスカウトされたのが、スパイダーマンことピーター・パーカーです。まだ高校生のピーターが憧れのヒーローを前にはしゃぐ、ちょっと空気が読めない子どもっぽい一面が、対立による大人たちの緊迫感をほぐす存在になっています。

映画『アイアンマン』(2008年公開)

ここからはこの3作品の見どころやあらすじを具体的にみていきましょう。

まずは、アベンジャーズで中心的役割を果たすアイアンマンの活躍を描いた2008年公開の映画『アイアンマン』から紹介していきます。

主な登場人物

  • アイアンマン / トニー・スターク : ロバート・ダウニー・Jr
  • ペッパー・ポッツ : グウィネス・パルトロー
  • オバティア・ステイン : ジェフ・ブリッジス

あらすじ

天才発明家の主人公、トニー・スタークは父親から受け継いだ巨大軍需企業「スターク・インダストリーズ」の社長でしたが、テロリストに誘拐されたことをきっかけに兵器製造から撤退することを宣言。そして、「アイアンマン」と呼ばれるパワードスーツを開発しテロリストたちへ戦いを挑みます。

しかし、会社の方針転換に反対する重役オバディアにスーツの技術を盗まれ、彼の開発した最強兵器「アイアンモンガー」との戦いに引きずり込まれてしまいます。

見どころ

映画『アイアンマン』の見どころは、何といってもパワードスーツの格好よさに尽きるでしょう。大富豪で天才発明家ではあるものの、肉体的にはただの人でしかないトニーが、スーツをまとった瞬間から無敵のパワーを手に入れ大空を駆け巡ります。スーツの力を駆使して悪を倒す姿は、見ていてスカッとするシーンの連続です。

そんなトニーも本気の恋には奥手で、秘書のペッパーに想いを寄せるもなかなか気持ちを伝えられずにいます。ただ格好いいだけのヒーローではない、コミカルな展開が楽しめる作品になっています。

  • アイアンマン/トニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・Jr. (C)BANG Media International

    アイアンマン/トニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・Jr. (C)BANG Media International

映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年公開)

続いて紹介する映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』は、アベンジャーズの司令塔としてチームを率いる、キャプテン・アメリカの誕生を描いた作品です。

主な登場人物

  • キャプテン・アメリカ / スティーブ・ロジャース : クリス・エヴァンス
  • ペギー・カーター : ヘイリー・アトウェル
  • バッキー・バーンズ : セバスチャン・スタン
  • レッド・スカル / ヨハン・シュミット : ヒューゴ・ウィーヴィング

あらすじ

スティーブ・ロジャースは人一倍強い愛国心を持ちながらも、虚弱体質のため軍の入隊は不合格に。しかし「スーパーソルジャー計画」に抜擢され、人体改造により強靭な肉体を手に入れたことで、キャプテン・アメリカとして活躍します。

敵陣営で捕虜となっていた味方を救出したことにより、スティーブをリーダーとする独自の部隊が編成され、レッド・スカルが率いる悪の組織「ヒドラ」との戦いに挑んでいきます。

見どころ

身体が小さいことを馬鹿にされ、喧嘩には負けてばかりのスティーブ。

そんな彼が人体改造実験により超人「キャプテン・アメリカ」となり、胸がすくような活躍で敵を撃破していきます。地上最強の金属であるヴィブラニウムのシールドを駆使して、敵をなぎ倒していくスティーブ扮するキャプテン・アメリカの姿は痛快です。

しかし、第二次世界大戦中に活躍したキャプテン・アメリカが、なぜ現代のヒーローであるアイアンマンたちと同じアベンジャーズにいるのか……。その秘密についてはぜひ映画をご覧になってみてください。

映画『スパイダーマン:ホームカミング』 (2017年公開)

最後に紹介するのは、2017年に公開された映画『スパイダーマン:ホームカミング』です。主人公のスパイダーマンは高校生とチーム最年少のヒーローであり、本作ではまだあどけなさの残るヒーローが活躍する姿が楽しめます。

主な登場人物

  • スパイダーマン / ピーター・パーカー : トム・ホランド
  • バルチャー / エイドリアン・トゥームス : マイケル・キートン
  • アイアンマン / トニー・スターク : ロバート・ダウニー・Jr
  • ハッピー・ホーガン : ジョン・ファヴロー

あらすじ

スパイダーマンことピーター・パーカーは、トニー・スタークにスカウトされアベンジャーズの戦いに参加します。しかしその後はトニーからお呼びがかからず、くすぶり続ける毎日を送っていました。

トニーに認められたいピーターは武器密売組織を見つけ戦いを挑みますが、その過程で一般市民を危険に巻き込んでしまい、トニーを失望させる結果に。

失意のピーターは普通の高校生として生活しますが、ふとしたきっかけで武器密売組織のボスであるトゥームスと知り合います。怪人「バルチャー」として暗躍するトゥームスの恐ろしさを目の当たりにしたピーターは、再びスパイダーマンとして戦うことを決意します。

見どころ

ピーターがトニー・スタークからもらった特製スーツの凄さが見ものです。トニーのパワードスーツ「アイアンマン」にも引けを取らない高性能スーツで、ピーターの助け役になるのがスーツに搭載された対話可能な人工AI。

まるでクモのように、粘着性のある糸を使って街中を自在に飛び回るスパイダーマンの姿は、見ているだけで遊園地のアトラクションに似た感覚を覚えます。

また、たびたびピーターの前にあらわるトニーが、ヒーローとしての振る舞いを諭すシーンも印象的です。節度をわきまえないピーターに先輩ヒーローとして接するトニーの、「アイアンマン」が主人公の作品で見せる姿とは違った一面を垣間見ることができます。

  • アイアンマンの初代メインスーツ「マーク3」 イラスト:くまいぬ

    アイアンマンの初代メインスーツ「マーク3」 イラスト:くまいぬ

アベンジャーズの意味と基礎用語

最後にアベンジャーズ初心者が映画を楽しむために知っておきたい基礎用語について解説していきます。

アベンジャーズの意味とは

アベンジャーズは、マーベル・コミックのヒーローたちが、単独では解決できないほどの大規模な危機を乗り切るため結成したチームのことを指します。そして、アベンジャーズを束ねるのが国際平和維持組織「S.H.I.E.L.D.(シールド)」です。

MCUとは

アベンジャーズを描いた映画は多数制作されていて、その一連のシリーズは「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe)」、略して「MCU」と呼ばれています。

スパイダーマンが主人公の作品にアイアンマンが登場するように、作品の垣根を越えて違うヒーローが共演しているのもMCUの魅力です。

フェーズとは

MCUはフェーズと呼ばれる段階によって分けられています。現在までにフェーズ1からフェーズ3までが完了していて、2021年からはフェーズ4が進行中です。

フェーズ4以降は新作映画のみならずドラマシリーズも公開されており、フェーズ3までに描かれなかった世界を、さらに深く掘り下げていく内容になっています。

アベンジャーズ作品はどこから見ても楽しさいっぱい!

今回ご紹介した3人のヒーロー以外にも、魅力的なキャラクターが多数登場するアベンジャーズシリーズ。

どの映画から見るべきか悩んでしまうという方は、この記事を参考に、『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』、『スパイダーマン:ホームカミング』の3作品から鑑賞してみてはいかがでしょうか。きっと他のヒーローが登場するシリーズ作品も見たくなるはずです。