俳優の勝地涼が、フジテレビで生放送されるドラマ『生ドラ! 東京は24時』(31日24:25~ ※関東ローカル)に主演することが21日、明らかになった。

  • 勝地涼(左)と八嶋智人=フジテレビ提供

完全ワンカットの生放送となるこのドラマは、勝地の主演に、八嶋智人のナビゲート、脚本・演出を新進気鋭の劇作家・奥村徹也氏(劇団献身)が担当。24時の東京に生きる市井の人の物語を描いていく。

東京、24時30分すぎ。とあるカラオケ店の一室では、座長・飯島(勝地)率いる「劇団大崎ベイビーズ」のメンバーが結婚式でやる余興を練習していた。本番は翌日。結婚するのは、劇団のかつての看板俳優だ。そこに当の新郎が駆けこんで来て、突如「結婚をとりやめにしたい」と言い出す。新郎から語られる新婦の衝撃的な過去。さらに、そこに新婦もやってきて事態は予想外の展開に。座長、劇団員、新郎、新婦…さまざまな思惑が絡まる中、結婚の行方は。深夜のカラオケボックスでいつまでも青春にしがみつく男たちのシチュエーションコメディーが展開される。

勝地は、昨年末に放送されたスペシャルドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジ)で加藤茶役を好演し、今年1月期クールは連続ドラマ『ドクターホワイト』(カンテレ)、『となりのチカラ』(テレビ朝日)にレギュラー出演。さらに、『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』(フジ)、『水曜NEXT!「Around the Corner 曲がり角のところで」』(同)のドラマにも出演。舞台『いのち知らず』(21年)で主演を務めるなど、生の芝居経験も豊富だ。

八嶋は、番組冒頭からドラマブロックへいざない、生放送の口火を切る。舞台出身のスター俳優だが、ワンカットの生放送ドラマに出演するのは本作が初となる。

奥村氏は、2014年に劇団献身を自ら旗揚げし、16年に劇団ゴジゲンに加入。以降、俳優としても活躍している。演出を担当した舞台『アルプススタンドのはしの方』(19年)では「浅草ニューフェイス賞」を受賞、脚本を担当した短編映像作品『利用規約の男』が「第25回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品」に選出されるなど、小劇場界で今、最も注目を集めるひとりだ。

番組公式Twitterでは視聴者参加型の企画を実施。劇団の座長役・勝地にやってほしい、勝地が小劇場界で一世を風靡(ふうび)したという設定の“モノマネネタ”を「#東京は24時」「#勝地涼にやってほしいモノマネ」で募集する。視聴者投稿から選出されたネタは、生放送のドラマ中に勝地に伝えられ、即興で“モノマネネタ”を披露する予定だ。

そして放送終了後には、勝地、八嶋ら出演者、奥村監督が生放送を振り返る、『生ドラ! 東京は24時 生で大反省会SP』(25:25~26:05予定)をFODで生配信する。

コメントは、以下の通り。

■勝地涼
――今作のオファーをお聞きになった際の感想は?
「言葉を選ばないで言うと、とんでもない企画を考えられたな、と(笑)。出演させていただくから言うわけではなく、生ドラマをずっとやりたいと思っていたんです。“連続ドラマで一部シーンを生放送”というのを、かつて、いち視聴者として見たことがあり、それがすごく楽しくて。さらに、昨年『志村けんとドリフの大爆笑物語』に出演させていただいたことで、生放送で演じることへの思いが強くなっていたので、そのタイミングでオファーを頂けたのでうれしかったです。僕の役者デビューはドラマでしたが、15、16歳くらいから舞台を観劇するようになって、17歳の時に蜷川幸雄さんの舞台を経験させていただいて。今の自分にとって、舞台は欠かせない存在です。そこで出会った監督や先輩たちから言われたことは“演劇で学んで、テレビに出てファンを増やして、また演劇に帰って来てほしい”ということ。だから、今回の企画に参加させていただけてすごくワクワクしています。また、演劇界もコロナ禍で大変な状況になっていますが、そんな中で人に興味を持っていただけるように、新しいチャレンジは必要なことだと思いますので、参加することができてうれしいです」

――ワンカット生放送という企画について
「今回いちばん大変だなと思うのは、ワンカットという点だと思います。今までワンカットの手法はいろいろな作品で用いられてきました。“ここ間延びしてる”“ここの表情が見たかったのに”なんて勝手なこと言っていましたけど(笑)、実際に参加する立場になると難しそうだなと感じています。監督やカメラマンが試行錯誤してくださる中で、役者の自分たちにできることは何かということを常に考えたいです。当然、カメラに写っていないところでは、位置どりをしたり、カメラマンを優先してよけたりする必要がでてきます。僕が古田新太さんなど先輩方に教わっていることは“稽古してきたことをやるのが本番”ということ。カメラの前では気持ちが繋がっているように見せながら、俯瞰(ふかん)で現場をとらえて臨機応変に対応していけることが今回のカギになると思います。ひとりではできない、皆さんと作り上げていく共同作業なので、しっかり稽古していきたいと思います」

――初タッグとなる奥村監督について
「やりたいことがたくさんある方だと思いますので、いい意味でぶつかって、腹を割ったコミュニケーションをとっていきたいです。このドラマのカットをかけるのは奥村監督なので、お互いに信頼し合って作り上げていけたらと思います」

――台本をお読みになって
「面白いです!脚本や“大崎ベイビーズ”の設定資料を拝見して、奥村監督の経験、見てきた人々が描かれているのかなと感じました。劇団を大きくするためには外部の舞台にも出る必要があるけれど、呼ばれる劇団員と呼ばれない劇団員がいる。看板俳優が外部の舞台で忙しくて、本公演ができない。そんな環境の中で、役者を辞める人やフリーランスになる人もいる。ひとつの劇団にもいろいろな人がいて、いろいろな人生があると思うんです。僕は劇団に所属したことはありませんし、役者をやめようと思ったこともない。ただ13歳で今の事務所に入って、さまざまな節目のタイミングで役者を辞めていく、芸能界を去っていく人をたくさん見てきました。だから共感まではできないのかもしれないけれど、そういう人生に寄り添うことはできると思っています」

――視聴者の方にメッセージ
「僕としては、台本の面白さをちゃんと伝えたいです。個性豊かな役者さんがそろっているので今の段階でも面白いけれど、それは本来の台本が持っている魅力とは違うように感じているので、稽古でいろいろ試してみたいです。しかも今回は、ワンカット。少し不安ですけど、今回の見どころのひとつだと思いますので、ご期待いただけたらうれしいです。生放送なので何が起こるかは分かりません。だから、ミスや細かいことはあまり気にせず、新しいことにチャレンジする気持ちを大切に臨みたいです」

■八嶋智人
――今作のオファーをお聞きになった際の感想は?
「フジテレビ、思い切ったことをやるなぁ、と。今、ちゃんと椅子に座ってテレビをつけて見るという習慣が減ってきたと言われています。テレビはもともとドラマも含めて全部生放送だったわけですよね。僕ら演劇人としては、テレビドラマと生芝居というのは、すごくかけ離れていそうな気がするんだけど、それがひとつになった企画でうれしかったです。僕は生放送のテレビドラマに出演するのは初めての経験です。劇場で公演をしていてそれを配信生中継というのはありますけど、テレビではないですね。僕はガッツリとは出演しないですけど、勝地くんはじめ他の出演者の皆さんはすごいなと思います。劇場はお客さんが目の前にいるから、僕らは反応を感じながら演じられる。だからコロナ禍で、お客さんを入れずに劇場から配信をやったときに、結構みんなうろたえたんですよ。でも映像で芝居をするときはお客さんの反応がない。反応がないまま演じていくのは不安になる瞬間があると思いますけど、ランナーズハイのように、みんなが集中する瞬間があるんじゃないかなと期待しています。今回は『FNS歌謡祭』などを担当している技術チームが担当すると伺いましたが、不確定要素が多いものを撮っている人たちとの出会いも楽しみです。ドラマはいろいろなことを決めて撮りますけど、生でいろいろやっていくと、どうなるかわからない。台本通りやってと言われても、本番はどうなるか僕もわからないです(笑)」

――生放送について
「僕は番組ナビゲーターとして、まず、冒頭に出演します。僕が失敗すると、たいしたことない番組が始まると思われそうなのがこわいですね。勝地さんや出演者の皆さんはすごいことに挑戦しているわけだから。そう考え出したら、もう緊張し始めてしまって。だから今日稽古場を少しのぞかせていただいて“俺、演劇界の先輩だぞ”みたいなマウントをとって気持ちを落ち着かせようと。実に小さい男です(笑)。稽古場は、座長の勝地くんを中心に、それぞれのキャラクターについて“こういうパターンはどう?”“ああいうのもいいね”なんて話し合っていてすごく健全でいい現場だなと思いました」

――主演・勝地について
「僕は、俳優は良いことも悪いことも、何でも経験したほうが良いと思います。最近の勝地くんはたくさんの経験をして、いろいろな角度から物事をとらえられるようになっているんだなぁと感じています。すごく頼もしい存在なんですが、昔貸した水着はいつ返してくれるんだろう(笑)。奥村監督とは、今回初めてお会いしたんですが、実は早稲田大学の演劇サークルの後輩で。今回、作品に呼んでいただけてうれしかったですね。演劇、テレビドラマ、映画の脚本を書いて制作していらっしゃると伺ったので、僕にも家族がいますので今後ともよろしくお願いします(笑)」

――視聴者の方へメッセージ
「あまり見たことのないことがテレビの箱の中で起こります。同じ時間を共有するというライブ感にお付き合いいただくと、見終わった後に僕らと一緒に何かをやり遂げたなと感じていただけると思いますので、楽しみにしていただきたいです。そして放送後は、FODで反省会を生配信でやります。ご覧いただいて“あしたも頑張ろう”と元気になっていただければうれしいですし、一緒に楽しんでいただけたらと思います!」

■脚本・演出 奥村徹也氏(劇団献身)
――今作のオファーをお聞きになった際の感想は?
「舞台とテレビドラマの境界線が限りなくゼロになる企画で、とてもワクワクしました。テレビだからと過剰に意識することなく、普段舞台を作っている感覚の延長線上で物語を立ち上げられたらと思っています」

――勝地、八嶋について
「普段、テレビ画面を通して観てきたおふたりとご一緒できて、まずとても光栄です。勝地さんも八嶋さんも、リハーサル中のエネルギーと瞬発力が桁違いで、自分たちがどこまで食らい付いていけるか。作品を共に作る仲間でありつつ、全力で立ち向かっていきたいです」

――視聴者の方へメッセージ
「普段から、“作品は全て誰かに見てもらうことで完成する”と思っています。特に、今回はその思いがひときわ強いです。何が起きるかわからない、一発勝負のワンカット。ぜひテレビの前で、リアルタイムで、一緒にハラハラドキドキしてもらえたらと思います」

■企画・プロデュース 五十嵐元氏(フジテレビ第二制作部)
「私自身、学生時代に演劇をやっていたこともあり、とにかく演劇・お芝居が大好きなのですが、ここ2年は、コロナ禍で数々の公演が中止に追い込まれるなど、演劇界には、非常に厳しい逆風が吹いておりました。知り合いの劇団は事実上、解散、ここ2年で役者をやめた友人も何人もいました。そんな状況の中で、“生の芝居の面白さ”をもっとたくさんの人に知ってもらいたい、そして、今の小劇場界にも“才能あふれる人たちが実はたくさんいる”ということを知ってもらいたく、今回、このような“新進気鋭の劇作家が手掛ける”、“完全ワンカットの生放送ドラマ”というものを企画させて頂きました。
脚本・演出を手掛けていただく、劇団献身の奥村徹也さんは、そんな才能あふれる若き演劇人のうちの1人です。奥村さんの作品には、宮藤官九郎さんを彷彿(ほうふつ)とさせる、人間らしさにあふれた魅力的なキャラクターがたくさん登場します。個性的な登場人物たちが紡ぐ、笑えてハートフルなストーリーに是非、ご注目ください。
そして、“生放送ドラマ”というチャレンジングな企画に、今回、力を貸して頂けるのが、主演の勝地涼さん。10代の頃から、ドラマや舞台の第一線で活躍し続けてきた勝地さんが、劇中では、まさに“奥村監督の今”を映し出したかのような“劇団の座長役”を演じます。夢を追いかけることへの奥村さんの思いに、ほぼ同世代ながらずっと一線に立ち続けている勝地さんからのエールが掛け合わさり、本当にすてきなお芝居になっておりますので、そうしたおふたりの化学反応もお楽しみください。
さらに、ドラマ内では、生放送ならでは仕掛けもございます。Twitterの投稿が勝地さんのお芝居に影響したり、出演者も正体を知らない“隠しゲスト”が、本番中にサプライズ登場したり…。その瞬間まで、どうなるか分からない仕掛けもたくさんございますので、是非、リアルタイムでご覧ください。
翌朝からまさに新年度が始まるこの日、キャスト・スタッフ一丸になって前代未聞なチャレンジに挑戦しますので、少しだけお付き合いいただけたら幸いです」

■プロデュース 草ヶ谷大輔氏(フジテレビ第一制作部)
「バラエティーの同期である五十嵐から今回の企画を初めて聞いたとき、ずいぶんと恐ろしいことを考えたなと思いました。普段、撮影に時間を掛け、1カット1カット丁寧に繋いで編集して、ドラマを制作している私にとって、やり直しがきかない生放送の一発本番、しかも1カットのドラマというのは全く無い発想でした。しかしながら、同時に同期である五十嵐とだからこそ挑む価値があるのではないかと思いました。主演を引き受けて下さった勝地さん、そして、演出の奥村さんにとって前代未聞の挑戦だと思いますが、この企画はテレビの真価が問われている今の時代だからこそ、“テレビマン”である私たちにとっても大きな挑戦です。本番で何が起きるか分かりません。誰かがセリフを忘れてしまうかもしれません、音声が途切れてしまうかもしれません、スタッフが見切れてしまうかもしれません、それでも私たちは“ショー・マスト・ゴー・オン”の精神で最後までお届けしますので、その歴史的な瞬間を是非目撃していただけたらと思います」

(C)フジテレビ