お子さんの進級や進学にあわせて、連絡や見守りのために携帯電話を持たせ始める人も多いこの季節。ドコモ、au、ソフトバンクの子ども用携帯の料金やサービスの違いをまとめました。

  • キッズケータイ SH-03M(NTTドコモ)/mamorino5(au)/キッズフォン2(ソフトバンク)

    キッズケータイ SH-03M(NTTドコモ)/mamorino5(au)/キッズフォン2(ソフトバンク)

子ども用携帯で何ができる?

大手携帯キャリアは3社とも、子ども用の携帯端末と専用の料金プラン、見守りサービスを用意しています。ドコモは「キッズケータイ」、auは「mamorino」、ソフトバンクは「キッズフォン」というシリーズです。

数年前までは、ガラケーのカーソルキーだけ(テンキーなし)で操作する機種が多かったのですが、現行機種はすべてタッチ操作になりました。家や学校でタブレットを使ったり、親のスマホを触ったりしている子なら、すぐに違和感なく使いこなせるでしょう。

  • 一世代前の機種(F-03J)と現行機種(SH-03M)。最近の子ども用携帯はスマホのようなタッチ操作になっている

    一世代前の機種(F-03J)と現行機種(SH-03M)。最近の子ども用携帯はスマホのようなタッチ操作になっている

見た目や操作は「子どもサイズのスマホ」という印象ですが、機能は別物。アプリを入れたりWebサイトを見たりはできません。通信機能は、家族などのあらかじめ登録した相手との電話やメッセージのやりとりのみで、安心して持たせられる仕様になっています。

子どもと親の連絡のほかには、居場所がわかる見守り機能がもうひとつの大きな役目です。親のスマホからGPSで位置検索ができ、帰りが遅いなどの不安があればすぐに確認できます。

また、ストラップを引っ張ると防犯ブザーが鳴るようになっており、そのような緊急時には自動で位置情報を送ってくれる点も安心ですね。3社とも現行機種はWi-Fiに対応しており、外から帰って家のWi-Fiにつながると自動で親のスマホに知らせてくれるという隠れた進化にも注目です。

それから、各社ともに小学校低学年ぐらいから持ち始めることを想定しているだけあって、一般的なスマートフォン以上に壊れにくいことを大前提として作られています。防水・防塵はもちろん、落としたりしても割れにくく、ふざけて電池やSIMカードを抜いてしまうこともありません。

  • ストラップを引くと防犯ブザーが鳴り、あわせて保護者に連絡が行く(画像はauのmamorino5)

    ストラップを引くと防犯ブザーが鳴り、あわせて保護者に連絡が行く(画像はauのmamorino5)

各社の機能の違いは?

「親との連絡手段」「いざという時に備えた見守りツール」という2点は、どれを買っても同じです。実はよく見ると意外な機能の違いもあるので少し見比べてみましょう。

なお、以下で紹介する内容は、各社の現行機種「キッズケータイ SH-03M」(NTTドコモ/2020年1月発売)、「mamorino5」(au/2019年2月発売)、「キッズフォン2」(ソフトバンク/2020年1月発売)の場合となります。

まず、子ども用携帯としてとても重要な見守り機能で一歩リードしているのはauの「mamorino5」といえます。子どもの居場所を手動で検索する、帰宅を知らせる、防犯ブザーが使われたら緊急通知する……という基本的な部分はどの機種もしっかりカバーしていますが、セコム連携でさらに強力な防犯ツールになるのはauだけの特長です。

利用には別途「ココセコム」の契約が必要となりますが、防犯ブザー使用時に保護者への通知だけでなくセコムへの通報も自動で行います。保護者が本当に必要だと思う場合はそのまま位置情報をもとにセコムの緊急対処員を現場に向かわせることもでき、万が一の備えとしては心強いサービスです。

  • auのmamorino5は「ココセコム」と連動

    auのmamorino5は「ココセコム」と連動

親の気持ちとしては「スマホはまだ早いけど、安心のためにキッズケータイぐらいは持たせないと」というニュアンスだと思いますが、それでもお子さんにとってははじめてのスマホ(のようなもの)。楽しく使えるような工夫も、意外とたくさん施されているのです。

たとえばドコモの「キッズケータイ」は、習い事の日を通知できるスケジュールアプリ、宿題の時間を管理できるタイマーアプリなど、子どもの生活にあわせつつも、大人さながらにスマホを使いこなしているような少し背伸びした気分が味わえる機能が豊富です。また、メッセージを入力する際に学年に合わせて習った漢字だけ変換できる機能もあります。どこまでの機能を使わせるかは保護者が制限でき、低学年から高学年まで少しずつステップアップしながら長く使っていける機種です。

  • ソフトバンクの「キッズフォン2」はカメラを搭載している。メインカメラは約500万画素、インカメラは約200万画素

    ソフトバンクの「キッズフォン2」はカメラを搭載している。メインカメラは約500万画素、インカメラは約200万画素

お子さんが欲しがる機能という点では、実は現行の子ども用携帯にカメラが付いているのはソフトバンクの「キッズフォン2」だけ。やはり、周りの大人がスマホを使っている場面を見ると、自分も撮りたい!と思うことは多いのではないでしょうか。

通常、限られた相手との連絡だけに使う(電話帳などの大事なデータがない)子ども用携帯は自動バックアップ機能のないものが多いのですが、写真も撮れるキッズフォン2は「Yahoo!ボックス」を使って自動バックアップできる点も抜かりありません。はじめての携帯と同時にはじめてのカメラにもなるかもしれませんし、きっと大事な思い出を残せるはずです。

また、人気キャラクターとのコラボが多いのもソフトバンクの特長。執筆時点では、「キッズフォン2 すみっコぐらし」(2022年2月発売/3,000台限定)がオンラインショップ限定で販売されています。過去にはポケモンとコラボしたストラップなどを配布していた時期もありました(※現在は終了)。

  • 人気キャラクターとコラボした限定モデル「キッズフォン2 すみっコぐらし」

    人気キャラクターとコラボした限定モデル「キッズフォン2 すみっコぐらし」

本体代金・月額料金が安いのはどこ?

子ども用携帯は、普通の携帯電話やスマートフォンを持たせる場合と比べると、ランニングコストを大幅に抑えられます。また、本体代金も安いものが多いです。現行機種の本体代金・各種料金を下表にまとめました。

機種 本体代金 基本料金 検索サービス料金
キッズケータイ SH-03M(NTTドコモ) 14,256円 550円/月 220円/月、5.5円/回
mamorino5(au) 16,200円 550円/月 330円/月
キッズフォン2(ソフトバンク) 18,000円 539円/月 220円/月、5.5円/回(位置ナビ利用時)

auのmamorino5は3月10日現在、残念ながらオンラインショップでの販売は終了しており、実店舗で在庫があれば購入可能という状況です。

本体代金は3機種とも2万円以下。新規契約の場合が多いでしょうから、実店舗なら割引によって一括1円という場合も少なくありません。

基本料金は各社とも500円台で、位置検索のオプションを付けても1,000円以下。あとは必要に応じて端末保証のオプションに入る程度でしょう。なお、位置検索は子ども用携帯ではなく、親の回線(探す側)につけるオプションです。auのみ月額330円と他社より高めですが、auスマートパス/auスマートパスプレミアム会員なら無料となります。

  • 位置検索を使うには、ドコモなら「イマドコサーチ」、auなら「安心ナビ」という有料オプションが必要。ソフトバンクは「位置ナビ」「みまもりマップ」の二択

    位置検索を使うには、ドコモなら「イマドコサーチ」、auなら「安心ナビ」という有料オプションが必要。ソフトバンクは「位置ナビ」「みまもりマップ」の二択

ドコモの料金プランは主回線へのひも付けが前提となっているため、親もドコモの回線契約をしていないと申込できません。au、ソフトバンクは親が他社ユーザーであってもシステム上は契約可能です。

「システム上は」と前置きしたのは、親子で同じキャリアに揃えておかないと2つの理由で子ども用携帯を持たせる意味が薄れてしまうためです。

まず、子ども用携帯のプランは家族間の無料通話を使うことが前提。かけ放題などのオプションはないため、他社ユーザーの家族とやり取りするとかえって高くついてしまいます。

そして、位置検索の機能もやはり親子で同じキャリアが前提。ソフトバンクの「みまもりマップ」なら他社ユーザーの家族もグループに入れられますが、管理者はソフトバンク回線でないといけないため、やはり最低1人は子どもと同じキャリアを使っている必要があります。

まとめると、各社の子ども用携帯の本体代金・基本料金・位置検索オプション料金にはわずかながら差がありますが、値段で選ぶのは現実的ではなく、保護者・家族とそろえるのが基本となります。

「子ども用携帯」以外の選択肢

最後に、子ども用携帯以外の選択肢にも少し触れておきましょう。

まず、校則や先生の考え方などの理由で、キッズケータイを買ったけれど学校に持ち込めないから登下校を見守れず意味がない……というケースも残念ながらまだあると聞きます。このような場合は、小さなタグ型の見守りGPS端末を持たせるのが有効です。

携帯電話ではないので連絡は取れませんが、裏を返せばお子さんがいじるものでもなく、気が散ったり周りの子にうらやましがられたりする可能性も低いため、これなら持ち込みOKというケースもあるでしょう。ランドセルなど必ず持つものにつけておけば、親のスマホから子どもの居場所を確認できます。

  • ソフトバンクの見守りGPS端末「どこかなGPS」

    ソフトバンクの見守りGPS端末「どこかなGPS」

代表的な製品としては、ソフトバンクの「どこかなGPS」(本体13,200円/通信料2年間無料)、ミクシィの「みてねみまもりGPS」(第2世代は本体4,224円/月額528円)などがあります。

ひとつ注意してほしい点としては、AirTagsやMAMORIO、TileなどのBluetoothを使った忘れ物防止タグは、お子さんの追跡には不向きです。誰かのスマートフォンに捕捉されないと意味がないので人気のない場所では効果がありませんし、更新頻度や精度の違いから、一緒に出かけていて迷子になってしまった場合などはあまりあてになりません。一見よく似ていますが用途が異なるので、ちゃんと見守り用途で売っているGPS系のものをおすすめします。

  • トーンモバイル「TONE e21 rev.2」

    トーンモバイル「TONE e21 rev.2」

また、「普通のスマホはまだ早いけど、そろそろキッズケータイの次がほしい」という場合には、トーンモバイルの「TONE e21 rev.2」のような安心機能に特化したスマートフォンという選択肢もあります。

普通のスマートフォンと同じようにアプリなどを入れて使うこともできつつ、キッズケータイのような位置検索機能もあり、使いすぎ防止やフィルタリングの機能も充実しているので安心して持たせられます。MVNOでありながら今年からドコモショップでの取り扱いも始まり、手に取りやすくなりました。本体代金は9,980円、月額料金も1,100円と手ごろです。

たとえば小学生のうちはキッズケータイを使い、中学校に進学するタイミングで親として安心できるコントロールしやすい初スマホを渡す、といった場合にマッチする機能・価格です。大手キャリアも一時期はこのような「ジュニアスマホ」ポジションの機種を出していたのですが、最近は途絶えてしまいました。キッズケータイの次の選択肢として覚えておいて損はないでしょう。