全国の高校生を対象とした最大級のビジネスコンテスト、「キャリア甲子園2021」の決勝戦が3月13日に開催された。

今年で8年目の開催となった本大会では、数々の審査を勝ち抜いたファイナリスト6チームがビジネスのアイデアをプレゼン。真和高等学校の「GRAY」チームが総勢1,738チームの頂点に輝いた。

  • 高校生のビジネスコンテスト「キャリア甲子園」

総勢1,738チームがエントリー

マイナビが運営する大学生向け総合メディア「マイナビ学生の窓口」主催で2014年からされている「キャリア甲子園」は、高校生へのキャリア教育プログラムとしても活用されているビジネスアイデアを競うコンテストだ。

高校生は2〜4人でチームを結成し、協賛企業・団体からそれぞれ出題されたテーマを選択してエントリー。書類審査、動画によるプレゼン予選、準決勝を経て決定した各協賛企業・団体の代表チームが決勝の舞台へと進む。

「キャリア甲子園2021」では総勢1,738チーム・6,643名の高校生がエントリーし、本大会の決勝には、約8ヶ月にわたる審査を勝ち残った6チーム・21名の高校生が進出。

決勝戦では本大会のテーマ「Re:Creation」と、各協賛企業・団体から出題された課題をもとに各チームが練り上げたビジネスアイデアを10分間のプレゼン、5分間の質疑応答が実施された。

審査員を務めたのは経済産業省 新規事業創造推進室 係長の榎本樹氏、ビジネス・ブレークスルー大学 副学長の宇田左近氏、Senjin holdings CEOで「キャリア甲子園」OBの下山明彦氏、マイナビ学生の窓口事業部 事業本部長の曽我則幸氏の4名。

「キャリア甲子園」では書類審査から決勝まで一貫して、「情報収集力」「テーマ分析力」「実現可能性」「持続可能性」「新規創造性」「使命感」の6項目で審査される。決勝戦の様子はニコ生でも配信され、その視聴者も審査に参加。審査員が採点した審査項目のポイントと視聴者のポイントを踏まえ、審査員の議論を経て最終的に総合優勝チームを決定する仕組みとなっている。

見事、決勝大会へ進出を決めた6チームと授賞結果は以下の通り。

東京電力代表・ぐんま国際アカデミー高等部「葵まる」
鹿島建設代表・清風南海高等学校「kumonecta」(視聴者賞)
コーセーコスメポート代表・国際基督教大学高等学校「チーターズ」(審査員特別賞)
バイエル代表・渋谷教育学園幕張高等学校「そあにすと」
生命保険協会代表・真和高等学校「GRAY」(総合優勝)
LG Electronics Japan代表・慶應義塾湘南藤沢高等部「たこやきーず」

「やり続けていれば、いつか勝つ」

審査員を務めた下山明彦氏は結果発表前の総評で、「皆さんもすごい熱量を投下していて、いろんな感情の揺れ動きがあるはずです。それは今後の人生に大きな意味があるということは、結果発表の前に伝えておきたいと思っています」と、メッセージを送った。

「審査する立場である以上、いろいろツッコんだ質問もしましたが、大人のことはそんな信用しないでもいいってことも覚えておいてほしいです(笑)。今回、1,738チーム参加したということは1,737チームが負けることになるんですが、勝ったり負けたりしながらやり続けていれば、いつか勝つ。将来もしビジネスをするなら日本や世界の舞台で戦うわけで、今日の結果はそんな勝負のひとつと思って、いまの感情や熱量を忘れず、人生に活かしてくれたらと思います」(下山氏)

  • 鹿島建設の代表チーム「kumonecta」

    鹿島建設の代表チーム「kumonecta」

鹿島建設の代表チーム「kumonecta」は、「鹿島がこれまで担ってきた役割を踏まえ、20年後の社会に新たな価値を創出するビジネスを自由に提案せよ」との課題に挑み、視聴者賞を獲得した。

日本で増加している放置林の問題解決のため、鹿島の自律型自動運転技術「クアッドアクセル」などを活用。優待としてアウトドアなどの体験を提供する“森林投資アプリ”で、世代を超えた森林との関わりと“環境の鹿島”像の確立を提案していた。

また、審査員特別賞にはコーセーコスメポートの代表チーム「チーターズ」が輝いた。高校生へのサンカット(日焼け止め)ブランドのプロモーション案を求める課題に、同チームは旧モデル商品や在庫商品を学校で配布・設置することを提言。

季節毎のデザインを採用したサンカット商品の販売で、日焼け止めは通念で使うものという意識を浸透させ、TikTokでの#キャンペーンと連動させながら話題づくりを行うといった内容をプレゼンした。

  • コーセーコスメポートの代表チーム「チーターズ」

    コーセーコスメポートの代表チーム「チーターズ」

審査員特別賞の受賞チームにはビジネス・ブレークスルー大学のオンラインキャリア面談権が、ニコ生視聴者の投票によって決定された視聴者賞の受賞チームには図書館5万円分が、それぞれ贈呈された。

優勝は“生理の貧困”問題の解決を目指すアイデア

総合優勝を果たした生命保険協会の代表チーム「GRAY」は、昨年度の「キャリア甲子園」準決勝で敗退。悔しい経験をバネに、今年度も同じメンバー同じチーム名で参加したという。同協会理事の駒田勇人氏はプレゼン前に「GRAY」チームを次のように紹介し、エールを送った。

「素朴な高校生たちですが、実は非常に芯が強く、とても頼もしく感じています。準決勝の後、期末試験や修学旅行などで忙しい日程でしたが、多くの時間をこの決勝のために費やし、ブラッシュアップを重ねてきました。彼女たちは昨年も我々のテーマに挑戦して準決勝で敗れています。また、一昨年前には同校の先輩たちが我々の代表チームとなりましたが、コロナの影響で決勝に出られなかったこともあります。今日はそんな彼女たちの素晴らしいプレゼンを期待しています」

「キャリア甲子園」への協賛は今回で3年目となる同協会からの出題は、「『生命保険会社が提供する安心』とは何かを再定義し、これまでにない新しいサービスを提案せよ」というもの。

「GRAY」チームは目まぐるしい変化の時代には万が一に備えるだけではなく、“日常の必ず”に備える安心を提供していくことが生命保険会社に求められていると考え、生理の貧困という社会課題に着目した。

  • 総合優勝を果たした生命保険協会の代表チーム「GRAY」

    総合優勝を果たした生命保険協会の代表チーム「GRAY」

生涯で約200万円という経済的負担、意識的要因から生理休暇などの活用されるべき権利や仕組みが利用されていない現状を指摘。性別・年齢を問わない加入者や企業とのつながりなど、生命保険会社の強みである相互扶助の仕組みを活かしたアプローチが重要だと訴えた。

生理用品の配送や定期的なヘルスチェックなどの特約の提供、企業や学校に対して生理研修と関連イベントなどによる意識改革を通じ、トイレでの生理用品の常設化を推進。生理の貧困の解決を目指すとした。

生理用品メーカーだけでなく、新規加入者やデータを獲得ができる生命保険会社、生理研修を開催した企業のイメージアップや生産性向上など、同チームはビジネス上の利点についても説明。

講評では「Re:Creation」という本大会のテーマを強く体現し、企業からの出題を深く掘り下げていた点などが、最終審査で評価された大きなポイントと紹介された。見事、優勝を果たした「GRAY」チームには有効期限なしの海外旅行券100万円分が贈呈される。

また、各賞の副賞として本大会のスペシャルパートナーを務めたカロリーメイトの詰め合わせも贈られた。

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