ダイハツ工業の軽バン「アトレー」は、キャンプにも使えるのだろうか? この問いに対するプロの模範解答を「ジャパンキャンピングカーショー2022」で見ることができた。キャンピングカービルダーが手掛けたアトレーベースの軽キャンパーだ。どんな仕上がりなのか、作り手に話を聞きながら確認してきた。

  • ダイハツ「アトレー」のキャンピングカー

    香川県の岡モータースが「ジャパンキャンピングカーショー2022」(会期:2月10日 13日 千葉県・幕張メッセ)で展示していた「ミニチュアクルーズ アトレー」。車両が手元に届いてから2週間ほどで完成したという

軽ならでは工夫が満載

「ミニチュアクルーズ アトレー」を手がけたのは、1961年創業の岡モータース。2004年にキャンピングカー部門を立ち上げ、現在はオリジナル車両の開発・販売などにも取り組んでいる。

同社の人気シリーズである「ミニチュアクルーズ」の第3弾としてラインアップに加わったのが、「ミニチュアクルーズ アトレー」だ。同社キャンピングカー事業部係長の岩崎聡さんによれば、基本コンセプトは「ミニチュアクルーズ エブリィのDNAを全て移植すること」だったという。

ミニチュアクルーズの大きな特徴は「ベッドマットのフラット感や寝心地」(以下、カッコ内は岩崎さん)。アトレーでも3層構造のベッドマットを採用している。シートを足元に格納してフラットにする機能をあえて使わず、背もたれだけを倒した状態にして、足元に荷物を置けるよう工夫したそうだ。

  • ダイハツ「アトレー」のキャンピングカー

    シートをフラットにした状態で足元に収納スペースを確保

  • ダイハツ「アトレー」のキャンピングカー

    ベッドマットには21段階のリクライニング機構を搭載。寝転んでの読書や就寝時など、過ごし方によって高さ調整が可能だ

「ミニチュアクルーズ アトレー」では「組み家具工法」と呼ばれる手法を採用していることも特徴のひとつとなっている。

「単純に板同士を合わせるのではなく、綺麗に入り込むように組み合わせることで、ビスが緩んでも外れないようになっています。それと、ベースが軽自動車なので、軽く仕上げたいという思いもあります。そこで軽量芯材を使っていますが、どうしても強度が落ちてしまうので、組み家具工法を用いることにより強度を上げているんです」

車両後部のリアスライドアウト式格納庫に収納されるテーブルにもこだわりが感じられる。

「このテーブルはもちろん外でも使えますが、車内でも役立ちます。左右の高耐荷重跳ね上げ式テーブルを上げていただくと、間に乗るように設計されています。車内でのお食事にも使えますが、就寝時にはテーブルに荷物を置くことで足元の空間を広くとることができます。テーブルの表面はメラミンという樹脂で加工し、ハードに5年、10年と使っていただいても大丈夫なように頑丈な設計にしてあります」

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    こだわりのテーブルはリアスライドアウト式格納庫に収納できる

  • ダイハツ「アトレー」のキャンピングカー

    左右の高耐荷重跳ね上げ式テーブルの間にセッティングした状態

四国八十八箇所巡りでも軽キャンパーが活躍

近年は軽キャンパーの人気が高まっているそうだが、岡モータースの状況を岩崎さんに聞いてみた。

「当社のクルマに関しては2名就寝モデルが多いので、50代くらいからのご夫婦が購入されるケースが多いです。最近は1人旅をされるアクティブな女性も増えているので、『オリーブ』というモデルは女性によく選ばれています」

軽キャンパーで四国八十八箇所巡りを楽しむ人も増えているそうだ。

「大きなキャンピングカーをお持ちの方の中にも、軽キャンパーを追加で購入して四国八十八箇所巡りを楽しんでいる方がいらっしゃいます。道がそんなに広くないところも多いですから、お遍路を楽しむ時は軽キャンパーでという感じで使い分けていらっしゃるようです。軽キャンパーの維持費が安いことも、2台目として選ばれる理由かもしれません」

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    「ミニチュアクルーズ アトレー」のサイドビュー。車両サイズはベース車両から変更なし

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    「ミニチュアクルーズ アトレー」のリアビュー

ベース車両であるアトレーのグレードは「X」(2WDが156.2万円、4WDが171.6万円)と「RS」(2WDが167.2万円、4WDが182.6万円)の2種類。これから軽キャンプを始めたいという人はもちろん、2台目の軽キャンパーとして購入してみるのも楽しそうだ。