米Netflixは3月16日(現地時間)、”共に暮らす人達”という範囲を超えてパスワードが共有されている問題への対策を、チリ、コスタリカ、ペルーでテストすると発表した。同居していない人でも、最大2人まで有料のサブアカウントとして追加できるようにする。
Netflixでは、1つのアカウントで最大5つのプロフィールを作成でき、最大2画面(スタンダード)または最大4画面(プレミアム)への同時ストリームが可能だ。そうした家族や同居している人達がコンテンツを共に楽しみ、話題を共有できる環境を提供してきたことが、同サービスが大きな成功を遂げられた要因の1つに数えられている。
ところが、共有しやすさが拡大解釈され、友達のアカウントを使わせてもらうといった本来は認められない共有が増え始めた。Mindnet Analyticsが2020年10月30日〜11月2日に米国のNetflixユーザーを対象に行った調査によると、1,003人の回答者の52.5%が同居していない人とNetflixのパスワードを共有していた。内訳は、親戚が25.6%、同居していない子供が9.2%、そして友達が17.7%だった。広い範囲でパスワードが共有されると、アカウント所有者が把握していない人にもパスワードが伝わって悪用される危険性が高まる。また、適切ではないアカウント共有にNetflixの売上が奪われれば、コンテンツへの投資が減少したり、サービスの値上げにつながる可能性もある。
Netflixは昨年から、不適切に共有しているメンバーが安全にそして負担を抑えて共有できる方法の提供に取り組み始め、チリ、コスタリカ、ペルーの3カ国で2つの対策を試す。
1つは、スタンダードまたはプレミアム・プランのメンバーが、同居していない最大2人をサブアカウントとして追加できるエクストラメンバー(Extra Member)。サブアカウントのユーザーは、個別のログイン/パスワード、プロフィール、パーソナル化されたおすすめを利用可能。テストサービスでエクストラメンバーの料金は、チリで月額2380ペソ(約352円)、コスタリカで同2.99USドル(約355円)、ペルーで同7.9ペルー・ヌエボ・ソル(約251円)となっている。
もう1つは、新アカウントへのプロフィールの転送。ベーシック、スタンダード、プレミアム・プランのアカウントから、共有していた人が閲覧履歴、マイリスト、パーソナライズされたおすすめ情報などプロフィール情報を新規アカウントまたはエクストラメンバーのサブアカウントに転送できる。
NetflixはノートPCやモバイルデバイスでも利用でき、世帯外の利用をどのように識別して確認するかは不明だ。外出時の利用や旅行時に警告が発せられたり、本人確認が求められるようだとサービス体験が損なわれる。同社は、サービスを楽しむメンバーにとって2つの対策が「柔軟で有用なものである」としており、3カ国におけるテストで2つの対策の効果を確かめた上で他の国への拡大を判断する。