三菱電機は3月16日、睡眠と換気に関する調査結果および寝室換気のコツとその効果を発表した。閉め切った寝室の二酸化炭素(CO2)濃度は朝方には4,000ppm以上に達するが、「睡眠中の換気」を実施することで、CO2濃度が約68%改善されることなどを紹介している。
この調査は、3月18日の「睡眠の日」を前に、全国の20代〜60代の男女1,000人を対象に実施したもの。
まず、コロナ禍による睡眠に関する変化を聞いたところ、約3割が「睡眠時間が長くなった」(30.3%)と回答した一方で、「睡眠に関する悩みが増えた」(35.5%)、「睡眠の質を上げたいと思うようになった」(64.1%)との回答も多い。現在の睡眠時間は平日で平均6.41時間、休日は平均7.31時間で、4割は「十分ではない」 (42.4%)と感じている。
現在の睡眠の悩みを聞くと、「眠り足りない」「日中に眠気」「寝つきが悪い」が上位となり、何らかの「睡眠の悩みがある」と答えたのは全体で83.9%。また、睡眠時間が十分と答えた人でも約4人に1人は「日中に眠気を感じる」(23.4%)と回答した。
睡眠前の環境で良い睡眠のために工夫していることは、「お風呂に入る」「規則正しい生活を心がける」「毎日同じ時間に寝る」が上位であった一方で、「エアコンを使用し寝室の室温を調整する」「加湿器を使う」など室温や湿度を調整する人は1割程度と少なく、さらに、窓や寝室のドアを開けたりして「換気をする」と答えた人は8%にとどまった。
また、睡眠中の環境で良い睡眠のために工夫していることとしては、まくらや布団、マットレスなど寝具にこだわる人が多く、睡眠中に「エアコン」や「加湿器」を使う人は1割、「換気する」と答えた人は睡眠前よりさらに少なく5%しかいなかった。
換気への関心が高まる一方、寝室は盲点に
良い睡眠のために寝室の換気をする人はごくわずかであったが、コロナ禍をきっかけに「換気の重要性を考え始めた」と答えた人は73.9%と、多くの人が換気の重要性を意識。換気の重要性は認識している一方で、寝室の換気はできていないのが実態のようだ。
朝、起きた時に、寝室の空気がよどんでいると感じた人が23.1%。寝室の広さ別にみると「7畳以上」の寝室でよどみを感じる人は20.6%、「5〜7畳未満」23.8%、「5畳未満」28.1%と、寝室が狭い人ほど空気のよどみを感じる割合が高い。
三菱電機の調査では、寝室のドアを閉めたまま換気扇もつけないとCO2は就寝後、右肩上がりに増加。換気扇をつけたり寝室のドアを開けたりして換気をすると、寝室内のCO2濃度は約68%も改善されたという。健康的なCO2濃度は800〜1,000ppmとされているが、閉め切った寝室のCO2濃度は、朝方に4,000ppmを超えていた。
三菱電機では、この実験をもとに「良い睡眠」と「寝室の換気」には影響があると結論づけたが、睡眠の質と寝室の換気の関係を知っている人はわずか24.7%だった。
睡眠前に寝室の換気を行うと答えた人(全体の8%)に換気方法を聞くと、「窓を1か所開ける」(51.3%)が最多。睡眠中に寝室の換気を行う人(全体の5%)の換気方法は「ドアを開ける」(42.0%)がトップで、睡眠中には窓を開けづらい様子がうかがえる。
正しい換気のためには窓を対角線上に開けたり、換気扇を活用したりすることが求められるが、「窓を2か所以上開ける」(睡眠前31.3%、睡眠中24.0%)、「窓もドアも開ける」(前 22.5%、中22.0%)、「換気扇を使う」(前13.8%、中4.0%)、「窓を1か所開けドアを開ける」(前13.8%、中 16.0%)、「窓を2か所開けドアを開ける」(前11.3%、中8.0%)となった。ちなみに、空気清浄機は「換気」の方法としては正しくないという。
寝室の換気には防犯面の心配も、対応策は「睡眠前の換気」
寝室の換気をしていないと答えた人(60.4%)に理由を聞くと、「換気の必要性を感じない」(29.8%)が最多。次いで「室温調整ができない」(25.5%)、「外の音が気になる」(24.8%)、「防犯面が不安」(22.4%)なった。性年代別では、女性20代(35.4%)・30代(38.3%)は「防犯面」が高く、寝室の換気は防犯や騒音などを理由に実施が難しい場合もある。
快眠セラピストの三橋美穂氏によると、睡眠中の窓を開けての換気に抵抗がある人は「睡眠前の換気」が重要だという。睡眠前に窓開け、換気扇などを使用して新鮮な空気を部屋に取り入れた後にエアコンによる温度・湿度調整を行うことでCO2濃度が下がり、睡眠の質向上が期待できるという。
部屋に備え付けの換気扇があれば、就寝中も使うことを推奨している。季節や気候、住居の立地などで難しい場合、窓を開けずに換気できる三菱電機の換気空清機「ロスナイ」など最新の換気扇の導入や、寝る前の事前換気などに注目することを推奨している。