お笑い芸人のヒコロヒーがドラマ初脚本を手掛けた作品『お前によろしく』(全5話)が、30日にテレビ朝日公式YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』と『TELASA』で第1・2話を配信する。
昨年7月にテレビ朝日の番組『まんが未知』(毎週水曜25:56~)で漫画の原作に挑戦し、独特の世界観を見せつけたヒコロヒー。これに目を留めた制作陣からドラマ脚本の執筆をオファーされ、「いつか映像の脚本を勉強させてもらえる機会があればいいなぁ、と思ってたんです」と快諾した。
『お前によろしく』は、仲良しだったはずのホステス4人が繰り広げる本格派ノンストップ・サスペンス。物語はそのうちの1人で、今では女優として成功を収めた香台まりこがふらりと店に遊びに来たことからスタートする。ところが懐かしい再会も束の間、別れた直後にまりこが謎の死を遂げることに。まりこを殺したのは誰なのか。本作では4人の女たちの奥底に潜む嫉妬や狂気をスリリングに描き出していく。
「『最近、口の悪い女って見てないなぁ。ちょっと見てみたいなぁ』と、この1~2年ずっと思ってたんですよ」と話すヒコロヒーが、下積み時代に働いていたスナックでの思い出も振り返りながら描いた「口の悪い女たちが織りなすサスペンス」。先の読めない謎解き要素にも注目だ。さらに、TELASAでは配信オリジナルエピソードを加えた完全版も配信する。
本作には力強いスタッフが集結。京都発の人気劇団「ヨーロッパ企画」の面々も参戦する。監督を務めるのは『所さんの目がテン!』の実験プレゼンターとしてもおなじみの酒井善史。また、映画『ドロステのはてで僕ら』(20年)やドラマ『警視庁捜査資料管理室』シリーズ(18~20年)の監督も務めた山口淳太氏が監督補佐を担当。さらにドラマ『お耳に合いましたら。』(21年)や『おとりよせ王子 飯田好実』(13年)の脚本も務めた大歳倫弘氏が脚本補佐を務める。キャスト陣は追って発表される。
■ヒコロヒー(脚本)コメント
――ドラマの脚本を書くことが決まった時のお気持ちを教えてください。
「そんなこともやらせてもらえるん」って、すごくうれしかったです。もともと脚本を書くことは好きなんですけど、今まではコントも舞台用の脚本が多かったので、「いつか映像の脚本を勉強させてもらえる機会があればいいなぁ」と思ってたんです。そんなこともあって今回は挑戦させていただきました。
――『お前によろしく』はどこから着想を得て、どんなふうに脚本を作っていったんですか?
「最近、口の悪い女って見てないなぁ。ちょっと見てみたいなぁ」と、この1~2年ずっと思ってたんですよ。それが今回の脚本を書く上で、一番大きな取っ掛かりでしたね。そこから物語を考えていくうち、結果的にサスペンスになったんです。
脚本自体は2カ月くらいで全部書き終えました。書きながら、自分がスナックで働いていた頃の思い出がよみがえってきましたね。当時、待機中とかにホステスのお姉さんたちと一緒に、客の悪口を言ったりしてたんですけど、「そういえば、あんなんも楽しかったなぁ」って。
――実際に書いてみて、ネタの脚本を書く時との違いや苦労はありましたか?
映像と舞台の脚本の違いは感じました。最初、ヨーロッパ企画の皆さんが「何も気にせず書いてください」と言ってくださったので、自分が思うままにバーッと書いて送ったんですよ。でも、やっぱり舞台での手癖が出ちゃうんですね。例えば、舞台だと設定上あるはずのものが、実際には置いてなかったりするので、それとなくセリフで触れたりするんです。でも、映像だと映しちゃうだけでいい。そういう方法論をヨーロッパ企画の皆さんが1個1個丁寧に教えてくださって、勉強になりました。だから、苦労はなかったですね。全部楽しかったです。
――『お前によろしく』の本編および、テラサ配信オリジナル・エピソードの見どころを教えてください。
本編はちょっとずつ違和感が積み重なっていく一方で、もしかしたら共感してもらえるかもしれないお話。「なんか腹立つけど、見たいなぁ」というドラマになってると思います。配信オリジナルエピソードは見た後に「もう一回本編を見てみよう」と思ってもらえるようなエピソードにしたつもりではあります。オリジナルエピソードも全部まとめて見ていただければ、より深く作品を楽しんでいただけると思います。
――ちなみに、地上波ドラマの脚本も書いてほしいと依頼が来たら、お引き受けになりますか?
私自身ももう少し、いろんな脚本の勉強をさせていただいて、ご迷惑をお掛けしないようになった時に、地上波のドラマも書かせていただける機会があればな、とは思います。ただ、今はまだコツコツと勉強させていただくのがいいのかな、と。
――ゆくゆくは脚本だけでなく、演出もやりたいな、というお気持ちはありますか?
映像作品も撮ってみたいな、というのはずっと思ってました。ただ、今はまだ素地が全然ない。10年後、40歳くらいになって“脚本の作り方も現場の感じもだいたい分かります”というレベルになったら、挑戦してみたいですね。実現に向けて、これからも頑張りたいと思います。