PhotoshopやIllustrator、Lightroomで知られるアドビが、猫をテーマにした写真&動画の投稿コンテスト「#猫グラフィー フォト/ムービーコンテスト」を3月21日まで実施しています。このコンテストの審査員でもあり、ふだん愛らしい猫の姿を撮影している2人の写真家に、猫をかわいらしく撮るコツを聞いてみました。アドバイスを参考に愛猫の写真を撮影し、コンテストに応募してみては?
「iPhoneでシャッター音を鳴らさずに撮影」 Ryosuke Miyoshiさん
写真家のRyosuke Miyoshiさんは、保護猫の魅力を写真で伝え続ける保護猫写真家として、多くの猫の写真を世界に発信しています。そんなRyosuke Miyoshiさんがまずアドバイスするのが、「猫は上を向いている時の表情がかわいい」ということ。「おもちゃやおやつなどで猫の気を引きながら撮影しましょう。それらがなければ、カサカサと音の鳴る袋の音で気を引くのもよいと思います」。
いまどきのテクニックとして教えてくれたのが、子猫の声をスマホで流しながら撮影する方法。YouTubeやInstagramには、世界中の人が投稿した子猫の動画がアップロードされており、それらを流しながら近寄れば興味深そうにこちらを見てくれるので、目線もバッチリというわけです。
カメラではなくスマホで猫を撮影する人が多いことを踏まえて、Ryosuke Miyoshiさんは「意外に知られていないが、とっておきの写真が撮れるスマホ撮影テクニック」を教えてくれました。
その1つが、「ローアングルで撮影する際はスマホを上下逆にして持つ」こと。スマホを上下逆にして構えると、普通にスマホを構えるよりもカメラの位置が下に来るので、地面スレスレの低いアングルからの撮影が可能になります。低い位置から撮ると、ふだんの生活では見られない猫の表情が撮影できるほか、迫力が増して非日常的な仕上がりにできます。
もう1つが「猫が嫌がるシャッター音を鳴らさずに撮影する」テクニック。猫はカメラのシャッター音に敏感なので、自然な表情を撮るにはシャッター音を鳴らさずに撮るのがベター。日本版のiPhoneはシャッター音を消す設定はありませんが、シャッター音を鳴らさずに写真を撮る裏ワザを教えてくれました。
動画モードに切り替えてから中央の動画ボタンを右にスワイプすると、動画撮影が始まるとともに右側に白いボタンが出現。このボタンを押すと、シャッター音を鳴らさずに写真が撮影できます。満足できる写真が撮れたら、中央の動画ボタンをタップして動画撮影を終了させましょう。
撮影できる写真は、通常の写真モードで撮れるものよりも若干サイズが小さくなりますが、それでも7メガ~8メガピクセル相当の解像度はあるので、SNSで使うならばクオリティに不満はありません。撮影の際に作られた動画ファイルは不要なので、削除しても大丈夫です。
Ryosuke Miyoshiさんは「最初から動画モードで猫を撮り、いいシーンを切り出して写真にするのも手軽でおすすめ。iPhoneは4K画質の動画が撮れるので、動画からの切り出しでも十分キレイです」と語ります。動画からの切り出しは、標準の写真アプリの編集機能ではできないので、動画切り出しに特化した「動画のコマを写真に」などのサードパーティ製アプリを利用する必要があります。
仕上がった写真は、被写体の猫に応じて明るさを調整し、より理想的な写真に仕上げているといいます。背景などハイライトが多少飛んでも、猫の描写を優先すべく大胆に明るくするのがよいそう。黒猫を撮影した場合のみ、全体に暗くするのがよいそうです。
「とにかく話しかけて猫ちゃんと仲よくなるべし」 山本正義さん
続いてお話をお伺いしたのが、まるで人間のように二本足で立つ猫の姿をとらえた「立ち猫」の写真で知られる写真家の山本正義さん。いい写真を撮るコツとして、「何よりも猫ちゃんと仲よくなることが大切です!」と力説します。
猫と仲よくなるために山本正義さんが常に実践しているのが、猫にひたすら話しかけること。「元気? 調子いい? 今日はやさしいね~、とひたすら猫ちゃんに話しかけますね。周りからは、ちょっと変な人…と思われていると思いますが(笑)。だけど、0.01%でも猫ちゃんと気持ちがつながれば心を開いてくれて、とっておきの表情を見せたりお腹を出してくれるんです」と語ります。
「僕も、最初のうちは黙って撮っていました。だけど、気づかないうちにしゃべりながら撮っていて、しゃべっていたらいい写真が撮れていたんです」と、話しかけることの重要性を説きます。
猫と一緒に遊ぶのもいい表情やポーズを引き出すポイントだと語ります。「指や猫じゃらしを使って遊んであげるのも大事ですね。猫ちゃんは、テンションが上がると表情やポーズがとても豊かになるんです。楽しく遊びながらカメラに指を添えてノーファインダーで撮ります。立ち猫の写真も、そうやって撮影してきました」。
撮りっぱなしではなく、撮影後のレタッチも大事だと語ります。デジタル一眼レフカメラの写真はRAW形式で撮影し、現像ソフト「Lightroom」で明るさやコントラスト、色あいを調整したあと、画像処理ソフト「Photoshop」で角度調整などの細かなレタッチを施して仕上げていきます。
「カメラで撮った写真は、明るさや色合いが肉眼で見た印象と異なることがあるので、できるだけ自分の目で見た印象に近づけるようにしています。被写体である猫ちゃんに露出を合わせたり、肉球の本来の色をちゃんと出したり、空や雲を印象的に出すべくハイライトとコントラストを調整しますね。猫ちゃんは毛並みをしっかり出すと生き生きとした印象が増すので、その点もぜひ覚えておいてください」。
ちなみに山本正義さんは、LightroomやPhotoshopのAI機能の進化に驚いているそう。「アップデートのたびに機能がどんどん増えるのにびっくりしてますが、特にAIを用いた補正や被写体と背景の切り抜きの進化はすごいなぁと思いながら使っています」と語ります。
Creative Cloudを用いた複数デバイスの連携機能もフル活用していました。「パソコンのLightroomに読み込ませれば、クラウド経由でスマホと連携できるじゃないですか。電車の中でも編集作業の続きができるのは便利ですね」。
「猫ちゃんの時間をいただいて撮らせてもらっている、という心がけは忘れないようにしています。猫ちゃんがいなければ、僕は何もできませんし」と語る山本正義さん。“猫ちゃん”と表現するところにも、優しさがあふれていました。