東武鉄道は、竹ノ塚駅を中心とする東武スカイツリーライン西新井~谷塚間上下緩行線の高架化に先立ち、3月12日に竹ノ塚駅新駅舎見学会を実施した。上下緩行線の高架区間と竹ノ塚駅新駅舎は3月20日始発から使用開始する予定となっている。
竹ノ塚駅は東京都足立区に所在し、東武スカイツリーラインにおける都内最北の駅。隣の谷塚駅から埼玉県となる。西新井~竹ノ塚間に東京メトロ日比谷線の車両基地があり、竹ノ塚駅発着で東京メトロ日比谷線へ直通する列車も設定されている。
駅周辺では、足立区の都市計画事業として、2011年度から「東武伊勢崎線(竹ノ塚駅付近)連続立体交差事業」が進められてきた。竹ノ塚駅を中心とする東武スカイツリーライン西新井~谷塚間(栗原4丁目付近から東伊興3丁目付近まで。延長約1.7km)の複々線区間などを高架化するもので、下り急行線は2016年5月、上り急行線は2020年9月から高架区間の使用を開始している。同区間の上下緩行線を高架化することにより、「開かずの踏切」と化していた竹ノ塚駅付近の踏切2カ所が廃止され、交通渋滞の解消による安全性向上が期待されているという。
竹ノ塚駅の新駅舎は、2018年に実施したアンケート結果を踏まえ、「明るい」「シンプル」「自然的」との意見を反映したデザインに。駅前広場に面した部分をガラス壁としてホームに明るさを取り入れ、高架下の一部に木目調の幕板を採用する。地上改札口は利用者動線に配慮し、改札幅を広げたほか、車いす利用者や高齢者が利用しやすいウォークインカウンター(有人改札)を設置した。
ホームへの階段は3カ所あり、うち2カ所にエスカレーターを1基ずつ設置。エレベーターはアンケートの意見を踏まえて大型化し、ストレッチャー対応・20人乗りのエレベーターを採用した。
多機能トイレは面積を拡大。付近にこどもトイレとおむつ替えコーナー、授乳室を設置している。女性用トイレにパウダーコーナーも。男性用トイレ・女性用トイレともに簡易多機能トイレ(ベビーベッド、ベビーチェア、簡易型オストメイト用設備)を1カ所ずつ設けた。トイレの待合スペースに設置したベンチは、足立区の姉妹都市である鹿沼市の木材(スギ)を使用したものだという。
竹ノ塚駅の新設ホームは1面2線。上下緩行線を走る列車のみ停車可能な島式ホームで、ホーム延長は約170m、ホーム幅員は約9m。1番ホームに上り普通(西新井・北千住方面)、2番ホームに下り普通(草加・北越谷方面)が停車する。駅舎デザインの「自然的」という要素を表現するため、天井の一部に木組みを採用。屋根材に透過性のあるポリカーボネート材を一定間隔で設置し、自然光を取り込むようにすることで「明るさ」も表現している。
新設ホームにホームドアも設置される。見学会が行われた3月12日の時点で、ホームドアは1番ホームのみ設置されていたが、今後、2番ホームにも設置され、4月16日の初列車からホームドアの使用を開始する予定。新設ホームの使用開始日(3月20日)からホームドア使用開始日まで、安全確保のため警備員を配置する。ホーム上に赤外線センサ音声案内機も設置し、ホームドアが工事中である旨の音声案内を行うという。
なお、竹ノ塚駅を中心とする西新井~谷塚間の上下緩行線で行われる高架切替工事にともない、東武スカイツリーラインは3月19日の22時40分頃から終列車まで、北千住~草加間の普通および東京メトロ日比谷線直通列車を上下線とも運休とする(東武スカイツリーラインの急行・区間急行・準急・区間準急は上下線とも通常通り運転)。他社線への振替輸送を実施するほか、北千住~草加間の運休区間でバスによる振替輸送も実施する予定だが、道路事情により相当な時間がかかる場合もあるとのこと。翌日(3月20日)は初列車から通常通り運転する。
高架区間の使用開始後も、竹ノ塚駅周辺では引上げ線の高架化や仮設ホーム・仮設地下駅舎撤去、西口駅前広場整備、沿線道路の復旧、高架下施設整備などの工事が行われる。東武鉄道は足立区と協力しつつ、2023年度の事業完成に向け、工事を進めるとしている。