ベネッセ教育総合研究所は3月10日、「小中学校の学習指導に関する調査2021」の結果を発表した。調査時期は2021年8月末~9月中旬、調査対象は全国の公立の小学校・中学校の教員、有効回答は小学校737校の教員2,125人、中学校719校の教員 2,264人。
GIGAスクール構想、7~8割が「実現している」
1人1台端末を活用した教育を推進するGIGAスクール構想の実現度合いを聞くと、教員による一斉指導に関しては、小学校では84.3%、中学校では73.3%が「実現している(かなり+まあ)」と回答。今後の実現可能性(一斉指導・協働的な学習・個別指導)については、約7~9割が楽観的な見通しを持っていることがわかった。
GIGAスクール構想を進める上での教育環境の充実度を尋ねると、校務支援システムや校内ネットワークなどのインフラ面については、「充実している」との回答が約5~6割に。一方、授業準備に使える時間(2割前後)や実践事例の共有(約2割~5割未満)など、「端末活用の質を高めるための環境」への充実度は低い傾向がみられた。
1人1台端末を活用した学習が及ぼす子供への影響を問うと、小中学校とも「情報モラルのリスクが心配」に対して9割超が「そう思う」と回答し、強い懸念を示す割合も高かった。また、視力低下など健康面の心配をしている教員も約7~8割に上った。その一方で全体的には、情報収集・活用力や学習意欲、主体的な学習態度などプラスの側面を挙げる割合も高かった。
ICT機器の活用がもたらす子供の学力向上への効果については、全体的に学力上・中位層への学習効果をより強く感じていることが判明。特に学習意欲の面では「とても効果がある」が3~6割弱に上り、学力下位層に対しても3~4割超の教員が高い効果を感じていた。