履歴書に書いたり、面接などで質問されたりすることもある「退職理由」。
上司や人事担当者を納得させるためにも、きちんと答えられるように準備しておかなければなりませんが、適切な退職理由の述べ方がよくわからない人もいるでしょう。
今回は退職理由の例文を、履歴書用や面接用などケース別に紹介します。また、退職理由を記載するうえでの注意点や退職希望の伝え方なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
退職希望の伝え方は?
スムーズに退職するためには、まわりが納得する退職理由を準備するだけではなく、退職の伝え方も重要になってきます。
そこで、上司などへの退職希望の伝え方について具体的に解説します。退職を伝えるうえでのタイミングや注意点などを押さえておき、円満退職できるようにしましょう。
退職希望日の1~2ヶ月前までには伝える
退職希望は、民法上は2週間前までに会社側に伝えれば問題ないとされています。
しかし、引き継ぎや自分が抜けることによる人員調整などを考慮すると、2週間という期間は短すぎるでしょう。余裕を持って退職の準備を進めるためにも、退職希望日の1~2ヶ月前までには辞職する旨を伝えることをおすすめします。
人事異動のタイミングや繁忙期は避ける
会社が慌ただしい時期に自己都合で退職してしまうと、どうしても社内の他の人に迷惑がかかってしまうもの。したがって、体調不良などの急な事情でない限りは、人事異動のタイミングや繁忙期での退職は避けるようにしましょう。
また、進行中のプロジェクトなどに参加している場合は、退職までのスケジュールを管理しやすくするためにも、プロジェクトがひと区切りつくまでは退職を控えたほうが賢明です。
上司には静かな場所で話す
いくらタイミングを見計っても、直属の上司が退職を受け入れてくれなければスムーズに辞職することはできません。交渉が難航したり上司の反感を買ったりすることのないように、静かな場所で落ち着いて退職の意思を伝えることをおすすめします。
メールや電話での申し出は避け、対面でゆっくり話せる機会をセッティングし、失礼なく決意を伝えるようにしましょう。
退職届を出す際の退職理由の例文
円満に退職するためには、周囲に退職を納得してもらえるような理由を準備しておくと安心です。退職届を出す際におすすめの退職理由の例文を、ケース別に紹介します。
家庭の都合を理由にする場合
家庭の都合での退職とは、親の介護や結婚・妊娠などを理由に辞職することです。プライベートな問題であるため、会社側の納得も得やすい理由です。
【例文】
・高齢の両親の介護に専念するため、退職を決意しました
・大変恐れ入りますが夫の転勤により転居することになり、退職したいと考えています
・私事ですが来年結婚することになり、今後の育児などを考えた結果退職することにしました
転職や留学などを理由にする場合
転職や留学は将来を見据えた前向きな退職理由であるため、円満退社につながりやすいでしょう。上司や同僚などが応援してくれるケースも多いので、これまでの感謝を添えてうまく退職の意を伝えましょう。
【例文】
・突然のことで恐縮ですが、かねてより◯◯業界に興味があり転職することにいたしました
・大変身勝手ではありますが、学生のころからの夢であった海外留学をすることに決めました
・将来のことを考え資格取得の勉強に専念したく、退職を決意いたしました
体調面などを理由にする場合
体調不良での離職も、退職理由としてよく見られます。不調を我慢して仕事を続けてると、大きな病気やトラブルにつながってしまう可能性も。体力面や精神面の不調のために勤務継続が困難だと感じた場合は、無理をせずに正直に退職したい旨を伝えるといいでしょう。
【例文】
・健康状態が悪化したため、退職して療養することにしました
・昨年より体調を崩しており治療を続けてきましたが、残念ながら病状の改善が見られず、退職してしばらく療養に専念しようと考えています
履歴書における退職理由の例文
転職活動をするうえで必要となる履歴書。通常、履歴書にも退職理由を書く必要がありますが、ネガティブな理由で退職した場合は記載の仕方に悩んでしまいます。履歴書における退職理由の書き方を、例文とともにケース別に解説します。
特に詳細を聞かれていない場合
特に企業側から退職理由に関して記載を求められていない場合は、基本的に履歴書に詳細を書く必要はありません。
下記のような定型文を記載しておけばいいので、覚えておきましょう。
【例文】
・自己都合で退職した場合:「一身上の都合により退職」
・リストラなど会社都合により退職した場合:「会社都合により退職」
・契約社員などで期間満了につき退職した場合:「契約期間満了につき退職」
ただし、転職回数が多かったり短期間で離職したりしている場合などは、面接官を納得させられる理由を添えたほうが選考の際に有利に進む可能性があります。
詳細の記載を求められている場合
応募した企業から詳細を求められた場合は、くわしい退職理由を添えるようにしましょう。基本的に、会社都合の場合であればありのまま伝えてもネガティブに取られることはありません。
自己都合の場合はできるだけ前向きなニュアンスになるよう、次の会社でスキルアップしたい旨や実現したい働き方があることなどを記載するといいでしょう。
【例文】
・会社都合で退職し詳細を記載する場合:「業績不振による整理解雇のため退職」
・自己都合で退職し詳細を記載する場合:「キャリアアップを目的とした転職のため退職」
面接における退職理由の例文とNG回答例
履歴書には詳細を求められた場合以外は基本的に定型文を記載しておけば問題ありませんが、面接では必ずといっていいほど退職理由を聞かれるもの。面接官にいい印象を与えるためにも、代表的な退職理由の答え方を確認しておきましょう。
また、あわせて面接における退職理由のNG回答例も紹介します。
面接で印象をよくする退職理由の例文
面接でいい印象を持ってもらうためには、できるだけ前向きな内容の退職理由を述べる必要があります。例えば、キャリアアップやスキルの幅を広げるといった理由が代表的なため、例文を確認しておきましょう。
【例文】
・前職は営業職でしたが、お客様の声を本部に伝えても商品改善にはつながらず、仕事に限界を感じました。お客様のニーズをくみ取ってきた経験を、ぜひ御社の企画部で活かしたいと考えています
・御社の求人情報にて若手社員が経営企画職として多数活躍していることを知りました。自分もこれまで培ったスキルや経験を武器に、御社で挑戦したい気持ちが強くなりました
面接で印象が悪くなるNG回答例
転職時の面接でマイナス評価を受ける回答としては、不平不満やあいまいな理由ばかりを連ねることが挙げられます。どのような企業であっても、自己をかえりみずに愚痴や悪口ばかりを述べたり、退職の理由がはっきりわからなかったりする人材は雇用したいと思わないもの。
例文を参考に、ネガティブで不明瞭な理由を述べることは避けるようにしましょう。
【例文】
・私ばかり上司に指摘されたため、相性が合わないと思い退職しました
・忙しい時期は連日残業で疲れてしまい、やりがいも感じられなかったため離職しました
例文を参考に適切な退職理由を述べよう
退職の意を会社に伝える際、上司や人事担当者が納得しやすい理由を添えれば、スムーズに退職できると考えられます。人事異動のタイミングや繁忙期などは避け、落ち着いた場所で適切な退職理由を伝えるといいでしょう。
また、履歴書における退職理由は基本的に定型文で問題ありません。面接で退職理由を聞かれた場合は具体的かつ前向きなニュアンスとなるように伝えることが大切です。それぞれのケースにおける退職理由の例文を理解し、スムーズに退職や転職活動などを進められるようにしましょう。