俳優の内野聖陽が、舞台『M.バタフライ』の主演を務めることが10日、明らかになった。

  • 内野聖陽、岡本圭人

    内野聖陽、岡本圭人

同作は劇作家 デイヴィット・ヘンリー・ファンによって創作され1988年トニー賞最優秀演劇賞を受賞、世界30カ国以上で上演されてきた。1960年代、文化大革命前夜の中国・北京が舞台で、駐在フランス人外交官のルネ・ガリマールはオペラ『蝶々夫人』を披露した京劇のスター女優 ソン・リリンに魅了され恋に堕ちていくが、ソンは毛沢東のスパイであり、男だった。

あるフランス人外交官が国家機密情報漏洩という大罪を犯すほど愛に溺れた相手は、性別を偽った中国のスパイだったという事実をヒントに、オペラ『蝶々夫人』を劇中に取り入れながら創り上げられた同作。ブロードウェイで上演されると、京劇のもつエキゾチシズムや興味深い登場人物たち、そして重層的な戯曲の構成が絶賛された。日本では1990年に上演されて以来、この度、32年ぶりの上演となる。

内野は主人公のルネ・ガリマールを演じ、投獄されたルネが観客に自身の「正しさ」を『蝶々夫人』と対比させながら説いていくうち、全貌が浮かび上がっていく。毛沢東のスパイでありながら、京劇女優に身分を偽るソン・リリンは岡本圭人が務め、京劇女優の立ち振る舞いも表現するなど、新たな挑戦となる。

ルネの妻ヘルガ役に朝海ひかる、ソンの監視役の共産党員 チン同志役に占部房子、ガリマールの浮気相手役に藤谷理子、ルネの駐在中の上司 トゥーロン役に三上市朗、ルネの幼馴染 マルクにみのすけといった実力派が揃い、演出は劇団チョコレートケーキの座付き演出家、日澤雄介が務める。

東京公演は新国立劇場 小劇場にて6月24日~7月10日、大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて7月13日~15日。ほか、福岡・愛知公演を予定している。

日澤雄介 コメント

あまりにも荒唐無稽な実話を、劇作のデイヴィット・ヘンリー・ファンは様々な事象を重層的に組み入れることによって、現在我々が拭い切れていない問題にまで昇華することに成功しました。
「蝶々夫人」が生きた国で『M.バタフライ』と向き合う事が我々の立ち位置を明確に照らし出してくれることを期待しています。
妥協を許さない内野聖陽さん、瑞々しい感性の岡本圭人さんをはじめ、個性豊かな職人肌の俳優が揃いました。
7名の俳優がどの様に化学反応を起こしていくか。俳優のぶつかり合いにご期待ください。

内野聖陽 コメント

実際に起こったセンセーショナルな事件。それを元にした全くのファンタジー作品です。僕はガリマールの中にある、一見特殊なものの中にある普遍性みたいなものを、いかに表現できるかを大切にしたいと思っています。
彼のメンタリティーを生々しく掘り起こしていくこと。まずはそこからだと思っています。
現実と虚像、男と女、裏切りと誠実さ、愛と幻想、などなど様々なテーマを投げかけてくれるとても素晴らしいエンターテイメント作品です。
素敵な役者さんたちといっぱいお稽古して、お客様を幻想の世界に誘えたらと今からワクワクしています! どうぞご期待ください!

岡本圭人 コメント

僕が「M.バタフライ」と出会ったのは、ニューヨークの演劇学校でした。「圭人は東洋と西洋の文化や演劇を肌で知っているから劇作家デイヴィット・ヘンリー・ファンの描くこの世界観を届ける力がある」と先生から勧められて勉強していたのが、ソン・リリンの役でした。今回、その役でオファーを頂けたことに驚いているのと同時に、ソン・リリンとの偶然の再会を心から嬉しく思っています。
とても挑戦的な役です。ですがその先に役者として、どう成長していけるのか? ソン・リリンとして彼の人生を舞台上で生き抜けた時にどのような景色が見えるのか?その答えを探るべく役作りに没頭していきます。
いつかご一緒したいと思っていた日澤さんが演出される舞台に参加できる喜び、そして尊敬する内野さんをはじめ素晴らしいキャストの皆様とご一緒できるご縁に感謝をして、この作品を皆様にお届けできる日まで、歩み続けていきたいと思います。