退職理由にはさまざまなものがありますが、職場の反応などを考えると正直に言えない場合もあります。人によっては「嘘をつくべきなのか?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、退職理由を述べる上で嘘をついてもいいのかどうかについてくわしく解説。また、体裁がよく会社を納得させられるおすすめの理由や、仮に嘘をつくとしたら、注意すべきポイントなどもあわせて紹介します。

  • 退職理由が嘘でも問題はない

    退職理由を述べる上で嘘をついてもいいのかどうかや、体裁のいいおすすめの退職理由などを紹介します

退職理由が嘘でも問題はない

結論から申し上げますと、退職理由を述べる際に必ずしも本当の理由をいう必要はありません。

労働基準法や民法においても退職時に退職理由を述べなくてはならないという決まりはなく、労働者が会社側に理由を説明する義務はないのです。

したがって、たとえ他に理由があっても「一身上の都合」としておけば問題はありませんし、嘘をついたとしても法的に咎められるということはないでしょう。

場合によっては嘘をついたほうがいいケースも

「退職理由に嘘をつくなんてありえない」と考える人もいるはずです。ただ、時には退職理由を正直に述べないほうが都合がいいケースもあるのです。

例えば

  • 仕事に飽きた
  • 性格が合わない人がいて、人間関係がしんどい
  • 会社の方針についていけない

といったネガティブな理由で退職する場合、正直に言うと周りから反感を買ったり同僚を不快にさせてしまったりする可能性があるでしょう。

退職を申し出ても、しばらくは引き継ぎなどで上司や同僚らと仕事を続けることを踏まえると、円満に退職するために必要に応じて体裁のいい退職理由を準備しておくことをおすすめします。

  • 退職理由が嘘でも問題はない

    退職理由として必ずしも本当の理由をいう必要はなく、場合によっては嘘をついたほうがいいケースもあります

退職理由で嘘をつくメリットとデメリット

とはいえ、果たして本当に嘘をついても問題が起きないのかどうかと、不安に感じてしまう人もいるでしょう。そこでここからは、退職理由で嘘をつく場合のメリットとデメリットについてくわしく解説します。

退職理由で嘘をつくメリット

嘘をつく大きなメリットとして挙げられるのが、波風を立てずスムーズに退職できるという点です。

体裁のいい理由を述べることで周囲とトラブルになるリスクの芽を摘むことができ、和やかな雰囲気のまま円満に退職できるでしょう。

また、会社側が納得しやすい理由を述べることで引き止められるのを回避できたり、周囲と気まずくならないため退職後の手続きがしやすかったりすることも利点です。

退職理由で嘘をつくデメリット

嘘をつく最大のデメリットは、退職日まで辻つまを合わせ続けなければいけないという点です。特に、バレるとトラブルになりそうな嘘をついて辞める場合は、退職の日まで細心の注意を払って行動しなければなりません。

また、本当は会社に不満があるものの体裁のいい嘘をついて辞めるという人は、悶々としたまま退職することになる可能性も。

さらに、罪悪感を抱いたり精神的な負担があったりする点もデメリットだといえるでしょう。

  • 退職理由で嘘をつくメリットとデメリット

    嘘をつくと円満退職できるなどのメリットがある一方で、辻褄を合わせなければいけないなどのデメリットも

体裁のいいおすすめの退職理由

嘘の退職理由を述べること自体に問題はありませんが、自分を偽るとやはり罪悪感や精神的負担を感じるものです。退職日までできる限り心穏やかに過ごすためにも、どのような嘘をつくべきかは慎重に考えたほうがいいでしょう。

そこでここからは、体裁のいいおすすめの退職理由を2つ紹介。それぞれ状況次第で真実だとも捉えられる心理的負担が少ない嘘となりますので、ぜひ参考にしてください。

おすすめの退職理由1.他にやりたい仕事がある

スキルアップや新しい分野への挑戦のため転職するという理由は、周囲を納得させやすい退職理由の一つです。前向きな理由なので会社側も不快になりませんし、場合によっては応援してくれることもあるでしょう。

実際に退職した後に転職する人が大半でしょうから、「嘘はついていない」と自分に言い聞かせることで、精神的負担を軽くできるという点でもメリットがあると考えられます。

おすすめの退職理由2.夢を叶えたい

「子どものころからの夢であった海外留学を実現させたい」や「前から目標にしていた起業に挑戦したい」などもおすすめの退職理由として挙げられます。周囲とトラブルになるような理由ではない上に、実現させるためのプランや明確なスケジュールなどを答える必要もありません。

  • 体裁のいいおすすめの退職理由

    体裁のいいおすすめの退職理由としては、「他にやりたい仕事がある」や「夢を叶えたい」などが挙げられます

退職理由で嘘をつく際に注意すべきポイント

円満に波風を立てず退職するためにも、状況に応じて準備したほうがいいと考えられる嘘の退職理由ですが、嘘の内容や伝えるタイミングによっては、問題が生じてしまうこともあります。

ここからは退職理由で嘘をつく際に注意すべきポイントを紹介しますので、トラブルを引き起こさないよう確認しておきましょう。

明らかにバレそうな嘘はつかない

退職理由として、簡単にバレてしまいそうな嘘を選ぶことはおすすめできません。

例えば、「結婚・出産する」という嘘や「夫の転勤で引っ越す」などの嘘をついてしまうと、偶然同僚や上司に会ったときなどに言い訳ができず、すぐに嘘を見破られてしまいます。特に、退職する会社が自宅近くにある場合は常に細心の注意を払って行動する必要が生じるため、退職理由として使う嘘は慎重に選びましょう。

また、身内の介護や自身の病気なども避けたほうが賢明です。

「転職先が決まっている」という嘘は安易に言わない

体裁のいい理由の一つとして紹介した「転職」ですが、嘘をつく際に「転職先が決まっている」というのは避けることをおすすめします。というのも、会社側はすでに転職先が決まっている労働者にはあえて離職票を発行しないため、離職票が必要だと伝えたときに嘘がバレてしまう可能性があるのです。

離職票は失業手当受給に必要な書類のため、できればトラブルなくスムーズにもらっておきたいところです。したがって、仮に「転職する」という嘘をついて退職する場合は、あくまでも「これから転職先を探す」というニュアンスで退職の旨を伝える必要があります。

転職活動の面接では嘘をつかないほうがいい

転職活動の面接で、退職理由を述べる際に嘘をつくことはおすすめできません。

例えば、ネガティブな理由を前向きなニュアンスに言い換えるということは問題ありませんが、あからさまな嘘をつくと入社後に辻つまが合わず追及されてしまう可能性があります。

その後のキャリアに大きく影響するケースもありますので、見栄を張ったり都合のいい嘘をついたりすることは避けたほうがいいでしょう。

  • 退職理由で嘘をつく際に注意すべきポイント

    嘘を述べる際は、バレそうな嘘をついたり転職面接で虚偽の発言をしたりすることは避けるようにしましょう

退職理由で嘘をつくメリットやデメリット、注意点を覚えておこう

退職理由を伝える際、職場の反応などを考えると正直に言いたくないと悩んでしまいがちですが、法律上、労働者が退職理由を説明する義務はありません。退職理由は「一身上の都合」でも問題はなく、円満に退職するためには時と場合により嘘をついたほうがいいケースがあることも覚えておきましょう。

ただし、嘘をつくデメリットや嘘をつく上で注意すべきポイントなどを押さえておかなければ、トラブルに発展する可能性もあります。

体裁のいいおすすめの退職理由や注意点などを理解し、スムーズに退職や転職活動を進められるようにしましょう。