現在の職場を退職して新しい仕事を探す際に、必要になってくる退職届や履歴書・職務経歴書。スムーズに新しい環境へと飛び込みたいものの、そこに記入する退職理由の書き方がわからず悩んでしまっている人もいるでしょう。

今回は、退職届や履歴書における退職理由の書き方をくわしく解説します。具体的な記載方法や注意点などを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

  • 退職届における退職理由の書き方とは?

    退職届や履歴書における退職理由の書き方・注意点などについて解説する記事です

退職届における退職理由の書き方とは?

仕事を辞めるうえで準備する必要がある「退職届」ですが、退職理由はどう書けばいいのでしょうか。

ここからは、退職届における退職理由の書き方について解説します。

基本は「一身上の都合」でOK

退職届に記載する退職理由は、基本的に「一身上の都合」と記載すれば問題ありません。

「一身上の都合」は企業とは関係のない個人的な事情があることを示す言葉で、退職時によく使われる表現です。自分の希望で退職する場合は特に詳細な理由を書く必要はありませんので、覚えておきましょう。

ただし、企業側から説明を求められ詳細を伝える必要があるケースもあります。その際は引き止めにあったり周囲と気まずくなったりしないよう、円満退社しやすい理由を述べるようにしましょう。

【記入例】
・一身上の都合により、

会社都合の場合は必ずその旨を記載する

「一身上の都合」は便利な表現ですが、リストラや早期希望退職制度などの会社都合で退職する場合は使用することができません。会社都合にも関わらず退職届に「一身上の都合」と書いてしまうと、失業保険の受給に関して受給要件が厳しくなったり、受給開始時期が遅くなったりと不利になる可能性があるのです。

早期希望退職制度や倒産の場合はきちんとその旨を記載し、適切な保障を受けられるようにしましょう。

【記入例】
(人員整理の場合)
・貴社、事業部門縮小に伴い、

(早期希望退職制度の場合)
・早期退職のため、

なお、希望退職制度のなかでも「早期退職優遇制度(選択定年制)」に応募して退職した場合は「会社都合」には該当せず、自己都合の退職となります。また、業績悪化を不安に思い自分から退職したケースなども自己都合となるため、覚えておくといいでしょう。

  • 退職届における退職理由の書き方とは?

    退職届に記載する退職理由は「一身上の都合」で大丈夫ですが、会社都合で退職する場合はその旨を記載します

【退職届】具体的な退職理由の書き方3選

退職届に書く退職理由としては、「一身上の都合」が主流です。しかし、状況によっては詳細な理由を求められるケースもあるでしょう。

そこでここからは、「一身上の都合」以外の具体的な退職理由の書き方について解説していきます。後腐れなく円満に退社するための理由を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

家庭の事情

家庭の事情はプライベートな問題であり、基本的に会社側が介入することはできません。例えば親の介護で実家へ帰省する、両親の家業を手伝うなどの理由を伝えると、納得してもらえることがほとんどでしょう。

【記入例】
・家庭の事情で郷里へ戻ることとなり、

・家庭の事情で遠方へ転居することとなり、

ほかには結婚・出産や、パートナーの引っ越しに伴う転居なども家庭の事情にあたります。

体調不良

自分の健康面を理由にするのも、退職理由の伝え方のひとつです。

「体調不良を退職理由にするのは気が引ける」と考える人もいるかもしれませんが、無理をすると大きな病気につながってしまう場合もあるので、健康面を第一に考えた選択をしましょう。

【記入例】
・体調不良により勤務継続が困難となり、

・病気治療のため、

体調不良や病気で退職する場合は、会社側から具体的な病名やいつごろから体調が悪かったのかなどを聞かれる可能性があるため、詳細を伝えられるよう準備しておくとスムーズです。

転職

「将来を見据えてスキルアップしたい」や「現在の仕事とは違う分野に挑戦したい」などの理由も、円満退社につながりやすい退職理由です。前向きな退職理由ですので周囲とトラブルになる可能性は低く、体裁のいい退職理由だといえるでしょう。

【記入例】
・営業職から事務職へと転職し、自分に最適な労働をしてみたいと考えており、

ただし、転職の原因として「給与が低い」や「残業が多い」などの今の職場への不満をいってしまうと、引き止めの材料にされる可能性があります。

スムーズに退職したいのであれば不平・不満を伝えることは避け、あくまでも新しい挑戦やスキルアップのために退職したい旨を強調しましょう。

  • 退職届】具体的な退職理由の書き方3選

    詳細な理由を求められた場合、家庭の事情や転職などを理由に退職の旨を伝えると円満退社しやすくなります

履歴書・職務経歴書に退職理由を書くべきか?

転職活動の際に悩んでしまうのが、履歴書や職務経歴書の書き方です。前職の退職理由を書くべきなのかどうかがよくわからず、なかなか筆が進まないという人もいるでしょう。

ここからは、履歴書・職務経歴書に退職理由を書くべきかどうかについて解説します。

履歴書には基本的に定型文を記載しておけば問題ない

まず基本的に、履歴書には詳細な退職理由を書く必要はありません。

「一身上の都合により」などの定型文を書けばいいので、状況に応じた書き方を覚えておきましょう。なお、ケース別の定型文に関しては後述します。

詳細を記載したほうがいいケースも

通常は「一身上の都合」を退職理由にすれば問題がない履歴書ですが、退職理由をはっきり説明しないと選考が不利になるケースもあります。

例えば、転職回数が多かったり離職期間が長かったりする場合は、「親の介護に伴い退職」とか「結婚に伴い退職」など納得されやすい理由を添えておきましょう。

職務経歴書には退職理由を書かなくてもいい

履歴書には何かしらの退職理由の記載が必要です。しかし、職務経歴書に退職理由は必須ではなく、ポジティブな退職理由をアピールしたい場合を除いて記載する必要はありません。

理由がうまく伝えられない場合やネガティブな内容で離職した場合は、記載を避けたほうが安全でしょう。

  • 履歴書・職務経歴書に退職理由は書くべき?

    履歴書には基本的に詳細な退職理由を書く必要はなく、職務経歴書においては退職理由の記載自体が不要です

【履歴書】ケース別の退職理由の書き方3選

基本的には詳細な退職理由を書く必要がなく、定型文を記載すればいい履歴書。大きく分けて3つの種類の定型文がありますので、状況に応じて使い分けられるように覚えておきましょう。

ここからは、履歴書におけるケース別の退職理由の書き方を3つ紹介します。

自己都合の場合

自己都合の退職の場合は、基本的に「一身上の都合により退職」と記載すれば問題ありません。例えば転職や結婚など、労働者自らが希望して退職した場合はすべて自己都合にあたります。

退職した年月とともに、「一身上の都合により退職」の文言を記しておきましょう。

【記入例】
・一身上の都合により退職

期間満了の場合

派遣社員や契約社員などで労働期間の定めがあり退職した場合は、「契約期間満了につき退職」と記載します。

【記入例】
・契約期間満了につき退職

なお、たとえ契約延長の申し出を断って辞めたとしても、契約期間の区切りで退職したのであれば基本的に「契約期間満了」と記載して問題ありません。

ただし、定められた期間より前に退職した場合は自己都合にあたるので注意しましょう。

会社都合の場合

リストラや倒産などを理由に一方的に会社側から契約を解除された場合は、「会社都合により退職」と書きます。

【記入例】
・会社都合により退職

  • 【履歴書】ケース別の退職理由の書き方3選

    履歴書に記載すべき3つの退職理由の定型文を覚えておき、状況に応じて使い分けられるようにしましょう

退職理由の書き方や注意点などを正しく理解しよう

退職届における退職理由の書き方は、基本的に「一身上の都合」と記載すれば問題ありません。ただし、リストラなどの会社都合で退職した場合は失業保険の受給条件などが変わりますので、必ず「会社都合」である旨を記載しておきましょう。

また、履歴書に退職理由を書く場合は定型文を記載するのが一般的ですが、詳細な理由を記載したほうがいいパターンもあります。

退職理由の具体的な書き方や注意点などを正しく理解して、スムーズに退職や転職の準備を進めましょう。