「五月人形を処分したいけれど、どうやって処分すればいいのだろう?」「五月人形を、時間やお金を掛けずに処分するには?」などと、飾らなくなった五月人形の処分に困っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では不要になった五月人形を処分する方法について、費用や時間、手間などさまざまな観点から紹介します。そもそも五月人形はいつまで飾っておくものなのかなど、作法もまとめました。

  • 五月人形

    五月人形を処分する方法を知っておきましょう

五月人形を処分する前の確認事項

五月人形を処分する前に、一度下記を確認してみてください。

壊れた五月人形は修理してみる

五月人形が壊れてしまったために処分したいと考えているのであれば、処分する前に修理できないか確認してみましょう。五月人形を専門に販売している業者に相談すれば、修理してもらえる可能性があります。

処分方法を検討する

五月人形の処分方法はいくつかあるので、自分たちにとって都合が良い処分方法を事前に調べておきましょう。詳しい処分方法は後述しますが

  • 子どもの災難を引き受けてくれたことに感謝の気持ちを伝えたい
  • できる限り無料で済ませたい
  • 時間がないので手早く済ませたい

など、重要視するポイントによって処分方法が異なります。

捨てたり人に譲ったりするのはNG?

実は五月人形は、捨てたり人に譲ったりするのは避けた方がいいといわれています。

五月人形は古来より子どもの災難を引き受け、身代わりになって守ってくれるものとされています。その五月人形を捨てるというのは、恩を仇(あだ)で返すことになってしまいます。

同様に、災難を引き受けてきた五月人形を人に譲ることは、引き受けてきた厄も一緒に譲り渡すことになると考えられているため、推奨はされていません。

  • 五月人形

    五月人形を他人に譲るのは、本来はおすすめしません

五月人形の処分方法1. 供養

五月人形を処分する方法として最も一般的なのが供養です。人形には魂が宿るといわれているため、そのまま処分するのをためらってしまうという方も多いでしょう。供養することで人形から魂が抜けるとされています。

具体的な供養方法を見ていきましょう。

人形供養をしているお寺や神社に持ち込む

五月人形を供養するときは、お寺や神社に持ち込むという方法が一般的です。お寺や神社の僧侶は供養の方法にも長けているので、供養の方法がわからなくても安心して任せられるでしょう。

人形供養を行っているお寺や神社は限られるので、事前に問い合わせてから持ち込むことをおすすめします。

人形供養代行サービスを利用する

近くのお寺や神社では人形供養を行っていないという場合は、供養代行サービスを活用するといいでしょう。一般社団法人日本人形協会が提供するサービスでは、「お人形差出キット」を用意してくれるので発送もしやすいです。

こちらのサービスは東京大神宮の人形感謝祭での供養になりますが、供養代行サービスを行っているお寺や神社もあります。

費用を掛けたくないなら、自宅にて無料で供養する方法も

お寺や神社に供養を依頼すると料金が掛かります。お金は掛けたくないけれど供養はしてあげたい、という方は自宅で供養することを検討してみましょう。

人形をきれいに磨き、白い布の上に置いて塩をふりかけます。感謝の気持ちを述べたあと、白い布で包んであげれば完了です。

  • 五月人形

    五月人形は供養する方法があります

五月人形の処分方法2. 他の人に使ってもらう

五月人形の処分方法としてあまり強くおすすめはできませんが、他の人に使ってもらうという方法があります。きれいな状態なので処分するのはもったいないと感じる方は検討してみてください。

知人に譲る

親しい間柄の知人であれば、譲るという方法もあります。しかし前述したように五月人形が引き受けた厄も譲ってしまうことになるため、あまりおすすめはしません。

相手の方が新品の五月人形を購入する余裕がなく、誰のものかわからない中古品を購入するよりは知人から、というのであればいいかもしれません。

寄付する

児童養護施設やNPO法人に寄付すると、五月人形を買ってもらえない子どもたちに使ってもらえる可能性があります。施設や団体によっては、寄付する際に供養してくれるところもあります。

自分で売る

「手っ取り早く処分したい」と考えるなら、自分で売るという方法があります。近年はフリマアプリなどで手軽に売れるようになっているので、思わぬ高値で売れる可能性もあるでしょう。

しかし発送時に自分で梱包する手間が発生する上に、買い手とトラブルになるリスクもあります。また中古の五月人形を購入したいと考える人は少ないので、なかなか売れずに結局自分の手で処分することになるかもしれません。

買取業者やリサイクルショップに依頼する

自分で売るよりは、業者に買い取ってもらったりリサイクルショップに持ち込んだりした方が効率が良いかもしれません。しかし基本的に中古の五月人形は売れにくいため、業者やショップによっては買い取りを断られてしまう可能性もあります。

五月人形が有名な作家の手によるものだったり、ブランドものだったり、新品同様にきれいだったりする場合は、需要が高く買い取ってもらえるかもしれません。買い取り業者に依頼するときは事前に査定してもらうといいでしょう。

  • 五月人形

    希少価値が高ければ買い取ってもらえるかもしれません

五月人形の処分方法3. ゴミとして処分する

五月人形は家庭ゴミとして処分することができます。その際は、前述したように自宅で供養してからゴミとして出すのがおすすめです。

自治体のゴミ収集で出す

五月人形は兜などの飾りに金属が含まれるため、可燃ゴミと不燃ゴミなどにきちんと分類した上で出すようにしましょう。大きさや地域によって、粗大ゴミに該当する場合もあります。

ゴミの分類は、各自治体のルールにしたがってください。

ガラスケースなどの分別が面倒なら、不用品回収業者に依頼

「ゴミの分別が面倒」「処分する時間を作れない」という方は、不用品回収業者に依頼するといいでしょう。料金は掛かりますが、ガラスケースや金属部分も含めて、細かなゴミの分別や回収を任せられます。

人形を自分でゴミ袋に入れるのは気が引ける、という方も、業者が代わりに処分してくれるのであれば気にならないかもしれません。五月人形を手早く処分したいと考えたときは、不用品回収業者の利用を検討してみてください。

  • 五月人形

    きちんと分別すればゴミとして処分できます

そもそも、五月人形はいつまで飾っておくのか

五月人形を処分するタイミングを知るために、端午の節句の基本的なマナーも確認しておきましょう。

五月人形をしまう時期に決まりはない

ひな祭りのひな人形は行事のあとすぐにしまう家庭が大半ですが、五月人形をしまう時期は特に決まりがありません。湿気で人形を傷めてしまわないよう、湿気が多くなる梅雨に入る前にしまう家庭が多いようです。

五月人形は何歳まで飾る? 成人するまで?

五月人形は男の子が何歳になるまで飾るのかという点については諸説ありますが、現代では一般的に20歳の成人を迎えたときまでとされています。

五月人形は男の子の健康や成長、立身出世を願うものなので、年齢にかかわらず毎年飾るのが伝統で、飾る期間は厳密には決められていなかったようです。

元来男の子の成人は「元服」といい、数え年で12~16歳の男の子が子ども用の髪型から大人用の髪型に改める儀式がありました。そのため、昔は12~16歳の元服を終える時点まで飾っていた可能性があります。

現代でも成人までとはいうものの、実際には子どもが小学生になるときや、進学や就職で家を出るときなどの成長の節目で飾るのをやめる家庭も多いようです。

五月人形は男の子の成長を見守る人形

五月人形を飾る時期は端午の節句で、日本の五節句の一つです。日本では昔から暦にのっとって伝統的な年中行事を行う習わしがあり、節句は暦上で季節の節目にあたる時期で、年中行事は節句に合わせて行われてきました。

五節句のうち、上巳の節句はいわゆる3月のひな祭りで、女の子の健康と成長を願う行事です。一方で男の子を祝う行事が、5月5日の端午の節句です。

端午の節句に五月人形を飾るのは、五月人形が災難から男の子を守ってくれる「お守り」と考えられているからです。一般的には3月下旬のお彼岸後から4月の終わり頃の間に飾るとされているので、兄弟姉妹がいる家庭ではひな人形をしまったあとに飾り始めることも多いようです。

  • 五月人形

    五月人形は男の子の健康と成長を願って飾ります

五月人形の処分は自分に合った方法を選ぼう

本記事では五月人形の処分方法についてまとめました。子どもの厄を引き受ける身代わりの役割を持つ五月人形は、処分する際は供養するのが望ましく、他人に譲るのはあまりおすすめしません。

しかし価値観が多様化している近年では、自分に合った方法を選ぶのがベストでしょう。本記事で紹介した内容を、ぜひ参考にしてみてください。