帝国データバンクは3月8日、「コロナ融資後倒産」動向調査の結果を発表した。法的整理(倒産)となった企業のうち、政府系金融機関・民間金融機関による「無利子・無担保融資(コロナ融資)」を受けたことが判明した倒産を集計した(件数は2022年2月時点における判明ベースによる)。

コロナ融資後倒産210件

  • コロナ融資後倒産件数推移(累計)

2022年2月時点の「コロナ融資後倒産」は210件。最初に判明したのは2020年7月で、当初は1カ月で平均2件前後のペースだった。しかし、コロナ禍から1年目が経過した2021年2月以降は月間10件を上回るペースで推移し、2021年8月に累計100件を突破。2021年10月には初めて月間20件を上回り、100件から200件までの到達期間は6カ月と、「コロナ融資後倒産の発生ペースは加速している」(同調査)。

業種別にみると、「小売業」が44件で最多。中でも居酒屋などの飲食店の割合が最も多く、小売業全体の約4割を占めたほか、アパレルの件数も多かったという。次いで「製造業」「卸売業」が各42件、「建設業」が38件、「サービス業」が25件、「運輸・通信業」が11件と続き、このうち「製造業」「卸売業」では食品関係での倒産が目立った。

同調査は、「政府の新型コロナウイルス対策はこれまで倒産を抑制してきた一方、中小・零細企業における借金の返済負担は増しており、資金繰りは悪化している」と指摘。中小・零細企業における2021年4~12月期の有利子負債の重さは、月商対比で約5.6倍に拡大。これはコロナ禍前より1カ月ほど多い水準で、コロナ融資などにより、過去2年間に負債が大幅に増えていることがわかる。

同調査では、「これら制度融資の大半が今年末までに返済が始まると目される一方、収益力が戻らなければ返済原資の確保ができず、最終的に事業継続が困難になる中小企業が続出しかねない危険性を孕んでいる」と懸念している。