キリンビールは、同社が手掛ける「発酵レモンサワー」ブランドを中味・パッケージともに3月15日にリニューアルする。それに伴い3月8日、新「発酵レモンサワー」お披露目会を開催。成長するRTD市場における同社の戦略方針や、ニーズが高まる高付加価値RTDのトレンドについても発表された。
「高付加価値RTD」を成長エンジンに
まず、キリンビール 代表取締役社長 堀口英樹氏より、同社のRTD(Ready to drink、缶酎ハイなどを指す)カテゴリーにおける2021年の成果、そして2022年の戦略方針について発表が行われた。
まず、現在のキリンビール全体の戦略としては、大きくふたつの柱がある。ひとつは「強固なブランド体型の構築」、もうひとつは「新たな成長エンジンの育成」だ。「強固なブランド体型の構築」では「一番搾り」や「氷結」といった定番のブランド、「新たな成長エンジンの育成」では「SPRING VALLEY 豊潤<496>」や今回リニューアルする「発酵レモンサワー」などの高付加価値ブランドが該当する。
酒類市場はRTDの成長により堅調に推移しており、2021年のキリンのRTDカテゴリーは前年比105%。主力ブランドである「氷結」の成長はもちろんのこと、「発酵レモンサワー」「麹レモンサワー」といった同社が高付加価値RTDと位置づけるジャンルは前年比342%と大きな伸びを見せているという。キリンが手掛けるRTD内の構成比でも、高付加価値RTDが占める割合は2020年が約2%だったところ約7%と拡大している。高付加価値RTDが伸びる背景には、消費者がRTDカテゴリーにおいても「品質の良さ」「本格的な感じ」「高級感」を求めるようになったこともあるようだ。
同社では、この伸長する高付加価値RTDの分野に注力していくが、"キリンらしい"高付加価値RTDとはどのようなものだろうか。
堀口氏は「キリンならではのお客様満足を高めるための高付加価値RTD」として3つのポイントを挙げた。「ひとつは、氷結をはじめノンアルコールや機能性を加えるなど、新たな市場を開拓してきた"パイオニアマインド"。ふたつめは、自然由来の素材と向き合って作っていく"ものづくりの精神"、そしてビール技術で培った"発酵技術"です」。
今回の「発酵レモンサワー」リニューアルも、その考えに基づくものだ。自然の恵みである"発酵"の概念を取り入れ「発酵ナチュラル系」というコンセプトのもと、新たな価値を提供する
リニューアルする「発酵レモンサワー」の2022年販売目標数量は約420万ケース、前年比プラス38.6%を目指す。また同社RTDカテゴリー内での高付加価値RTDの構成比は7%から10%超と、こちらもさらに伸ばす意気込みだ。秋には新商品も予定しているという。
新「発酵レモンサワー」リニューアルのポイントは?
続いてキリンビール マーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当 カテゴリーマネージャー 鈴木郁真氏より、高付加価値のRTD育成に関する説明が行われた。
今年1月製造品より順次リニューアルしている「発酵レモンサワー」は、自然の恵み「発酵」で作る心地よい美味しさを提供し、「発酵ナチュラル系」という社内開発コンセプトのもと、この新しい価値で第四次レモンサワーブームの到来を狙う。
リニューアル後の「発酵レモンサワー」は、レモン果汁を発酵させる酵母を見直したことで香気成分が約15%の増加、レモンの豊かな美味しさや、香料・酸味料・甘味料は無添加であることはそのままに、さらに飲みやすく心地よい美味しさになったという。パッケージも「心地いいおいしさ」を表すデザインに刷新する。
同社によると、現在の「発酵レモンサワー」のユーザーは約100万人いるという。今回のリニューアルで「人工感がなく体に取り入れやすい美味しさ」を独自の価値として広め、「体のことも気にしながら、美味しいお酒を楽しみたい」というインサイトを持つ潜在ユーザーを獲得していくと期待を寄せる。
最後に鈴木氏は、「新しい『発酵レモンサワー』を飲んで実感して欲しいですし、これからのキリンの高付加価値ブランドに期待してください」と締めくくった。