「低価格のキャンプギア」が話題のワークマン。実は春夏モデルでワークスーツも登場しています。
去年の秋冬用には電熱ヒーター付きの「ヒータースーツジャケット」(4,900円)を発売するなど、高機能性を打ち出す同社のスーツ、今回はどんな進化を遂げたのでしょうか。
ワークスーツは生地が透け透け
内覧会はキャンプギアが話題ということもあり、大きく目をひくのはそれらのディスプレイたち。そんな中、ひっそり? と展示されていましたよ。
今回リリースされたのは「2WAYジャケット」(2,900円)、「2WAYパンツ」(1,900円)の上下アイテム。春夏モデルらしく「通気性の高さ」がウリのよう。パッと見たところ、そこまで変わった印象はないですが果たして……。
このジャケットは「DotAir」という東レ社の独自技術を採用しています。説明によると「通気孔を発現させた~」とありますが、どういうこと? という疑問も触った瞬間に解消しました。
「めちゃめちゃ透けている!」生地がすさまじく薄く軽いのですよ。そりゃあ通気性もすごいわ、という代物です。
分かりやすい機能ではありますが、本当にそれだけ? と思うのはワークマンの製品を知れば誰もが思うのでは。とにかく「機能性てんこ盛り」なのがこの会社の恐ろしさ、と過去に参加した発表会から学んだ筆者。
運よく(?)同社の製品開発を担当する牧野康洋さんより、話を聞くことができました。
取り扱い注意無用のイージーケア
「本商品、去年も展開していましたが、より生地に『コシとハリ』があって型崩れせず、きっちり見えるように進化させています」と昨年との違いを牧野さんは説明します。
また耐久撥水機能に自信があるそうで、おもむろに霧吹きスプレーを取り出してプシュ、プシュ、プシュとやり始めました。すると、なんということでしょう、見事に水を弾き返しているのです。
驚く筆者を尻目に牧野さん、冷静に説明を続けます。プロやな。
「例えばお茶をこぼしてかかっても、拭くだけでいい、イージーケアで扱えるのも特徴ですね」
機能はそれだけにとどまらず、ジャケットの内ポケットも左右の胸に付けていて、右側はさらにジップ仕様なのです。実は、ポケッタブル仕様で「たたんで収納」できるように作られています。
たたむとさすがにシワが付きますが、洗濯ネットに入れて家で普通に洗濯し、干す時にシャツのように「ピンと伸ばして」やればキレイな状態になるそうです。
「1万円を超えるようなジャケットと異なり、そこまで気を遣って使う値段の商品でもないので、気楽にラフに扱ってもらえば構いません」
確かに3,000円で買えるものですから、使い捨てとは言わないまでも、ある程度使えれば元は取れる、という考えは理にかなっているのでは。
あくまで作業ありき
もう一つが気になったのが、まさかの「フード」(笑)。ジャケットなのに、着脱式のフードが付いているのですね。
「撥水機能もあるので、雨が降っても傘をささずにフードを使って雨をやり過ごせればいいかな、という考えから機能として持たせました。襟の裏に隠れたボタンを使って装着できます」
実はこの説明を聞いて腑に落ちたのです。これは「スーツの姿」をした作業着だと。現場作業で、小雨が降ったり、上着が邪魔になったりした時でもストレスなく着用できる、そういう設計思想の製品なんでしょう。
さらに襟の裏には第一ボタン? も隠れていて、それを留めると首元までカバーするシルエットに変化。
これについては牧野さん、「ワークジャケットっぽい見た目になるし、例えばラーメンを食べる時、下に着たシャツまで染みないよう強力な撥水機能が効果を発揮します」と言います。
てゆーか、ラーメンを食べる時に通常はジャケットを脱ぎますよね(笑)。この言葉からも、先ほどの「スーツの見た目をした作業着」という推測の裏付けがされたような。とにかくラフに、自分の好きなように着倒すのが正解! な代物でしょう。
パンツにも変態的な機能あり
ジャケットとセットになるパンツですが、これも同じくポケッタブル仕様で、素材や機能性も変わりません。独特な機能では、ヒップポケットに「道具を入れることができる」多機能ポケットが付いていることです。
変態的なほど「存在感のある」ポケットで、ここまでの機能、多分通常のオフィスでは使わない(褒めている)。
「例えばペンケースを入れて座っても、ヒップ部分が突っ張ることもないので、私はよく使っていて、かなり便利ですよ」と使用感を話してくれる牧野さんでした。
徹底的に現場目線で考えると、こうした機能が必要なのでしょう。「スーツのシルエットを美しく保つため、ポケットには何も入れない」という、一般のビジネススーツとは「発想がまったく異なるもの」と理解すれば納得しかない。
紹介したジャケット、パンツはともに限定生産品となり、サイズはジャケットがM~LL、パンツはS~3Lで展開します。カラーはグリーン、ネイビー、ブラックが用意されています。なお、ブラックのジャケットのみ3Lもあります。
お客さん相手の商談場面では躊躇しますが、昨今増えたテレワーク、室内や室外での現場作業、ラーメンをすする時(笑)など、アクティブなシーンでは重宝しそうな、「ワーク」マンらしい製品でした。