Googleによると、M1 Max搭載14インチMacBook Proを使用した「Speedometer」ベンチマーク(Apple、Webブラウザの応答性を計測)で、Mac用「Chrome」のバージョン99(M99)が初めてスコア「300」を達成した。ハードウェアやOSからも性能を引き出せるAppleの「Safari」が有利なM1 Macにおいて、ChromeがSafariを上回った。
M99で、GoogleはThinLTOを有効化した。複数のファイルやライブラリにまたがる場合でもインライン展開の利益を最大限に引き出すビルド最適化技術で、それによって全体的なスピードが向上し、GoogleのテストでSafariより7%高速に動作するようになった。グラフィックス性能も、パススルーデコーダーやアウトオブプロセス・ラスタライゼーションといった最近の最適化によってSafariを15%上回っているという。
Chromeの開発チームは2021年を通じてパフォーマンスの改善に取り組み、2020年11月にM1ネイティブのChromeをリリースして以来、17カ月でMac版Chromeのスピードは43%向上した。
その間、ThinLTO以外では、V8エンジンに新たに導入したSparkplugコンパイラとショートビルトインコールの2つが高速化に大きく貢献した。Sparkplugは、IgnitionとTurbofanの中間を取りなすJavaScriptコンパイラで、コンパイルのオーバーヘッドを抑えて効率的にコードを生成する。ショートビルトインコールは、V8エンジンが生成したコードのメモリ上の配置を最適化する。関数を呼び出す際の間接ジャンプを回避することでパフォーマンスを向上させる同技術は、特にM1搭載Macで高い効果を発揮すると説明している。
Android用のChromeもパフォーマンスが向上している。UIスレッドで重要なナビゲーションを優先することでページロードにかかる時間を15%短縮。また、ロード時に軽量版のタブを使用し、実際のタブはバッグラウンドで読み込むFreeze-Dried Tabsを導入して起動時間を13%削減。プロセスコードの大部分をバックグラウンド・スレッドでプリロードして起動時間を改善するIsolated Splitsによって、速度とメモリ使用が向上した。