森内九段は決勝トーナメント一番乗り

■将棋界を長年に渡り牽引してきた羽生世代

藤井聡太竜王への挑戦権を争う第35期竜王戦(主催:読売新聞社)のランキング戦1組、羽生善治九段―丸山忠久九段戦と、ランキング戦2組の佐藤康光九段―森内俊之九段戦が3月7日に行われました。将棋界を長年にわたり牽引してきた羽生世代の棋士も50歳を過ぎ、ベテランの域に達していますが、いまだ各棋戦の上位クラスで戦っています。

■カウンターを決めた丸山九段

羽生―丸山戦はランキング戦の2回戦。本局に勝つと決勝トーナメント進出に大きく前進することになります。また敗れても2連勝すれば決勝トーナメント進出の可能性が残ります。羽生九段の先手番で、丸山九段得意の後手番一手損角換わりに進みました。この戦型の序中盤について「不満がないということはない」と丸山九段は言います。「仕方ない部分はある」と続けましたが、そこはさすがのスペシャリスト、局面の均衡をうまく保ちました。

その結果として先手の無理攻めを誘い、うまくカウンターを決めます。104手目の△8一飛が優勢を決定づける飛車回りで先手玉の受けが困難となり、丸山九段が1組のベスト4進出を決めました。

■森内九段が決勝トーナメント進出一番乗り

佐藤―森内戦はランキング戦2組の準決勝。本局に勝つと決勝トーナメント進出が決まります。後手番の佐藤九段が角交換振り飛車を作戦に採ります。序盤からお互いが馬を作る大立ち回りで、いきなりの乱戦となりました。25手目の▲2四歩に対して△同歩と取ったのが、なんと事実上の敗着。▲2三金と打たれて後手の飛車が捕まります。無論、この金打ちを見落としていたわけではありませんが、以下の変化でどこまで行っても後手に芳しい変化が出てこないのが誤算だったようです。▲2四歩に対しては△2二飛としておけば難解とされました。このあとも激闘は続きますが、森内九段がリードを保ったまま押し切って勝利。全クラスを通しての決勝トーナメント一番乗りを果たしました。

相崎修司(将棋情報局)

竜王戦決勝トーナメント進出にあと1勝とした丸山九段(右)(写真:相崎修司)
竜王戦決勝トーナメント進出にあと1勝とした丸山九段(右)(写真:相崎修司)