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【この記事のエキスパート】
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート:石関 華子
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。
現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。
地ビールは、全国各地にあるブルワリーのこだわりが詰まったおいしいさが魅力。産地やビアスタイルなどで飲み比べる楽しさもあります。日本で生産される地ビールの選び方とおすすめ商品をご紹介します。本記事の選び方を参考に、ぜひお気に入りの地ビールを見つけてくださいね。
地ビールとは
【エキスパートのコメント】
クラフトビールともよばれる地ビール。その定義は明確には定められていませんが、一般的には全国各地の小規模事業者がつくる、その地域に根づいたビールが地ビール(クラフトビール)とよばれています。
地ビールは、ヨーロッパの伝統的な製法で製造されていたり、地域の特産品を原料に使用していたりと、個性豊かな顔ぶれが多いのが特徴です。万人受けしやすい大手ビールメーカーのビールとは違い、好みが分かれやすい地ビールですが、その土地ならではの味わいが楽しめるのも、その魅力のひとつといえるでしょう。
地ビールとクラフトビールの違い
地ビールとクラフトビールは同じものですが、歴史や考え方によって使い分けされることがあります。1994年小さい醸造所でもビール作りがはじまったさい、地ビールと呼ばれるようになりました。その後2000年代にアメリカでクラフトビールが支持されるようになり、日本でも2010年ごろから地ビールがクラフトビールと呼ばれるようになったのです。
また、地ビールはお土産的な位置づけ、クラフトビールは職人技がこもったビール、という考え方もあります。
地ビールの選び方
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・石関華子さんに取材をして、地ビールの選び方のポイントを教えていただきました。ポイントは以下。
【1】ビールの醸造方法
【2】ビアスタイル(種類)
【3】産地(醸造地や醸造所)
【4】味わいや香り
【5】ギフトにするなら詰め合わせがおすすめ
ここから、一つひとつ細かく見ていきましょう。
ラガー、エール、そのほかにも!
【1】ビールの醸造方法(発酵方法)で選ぶ
地ビールのタイプは、発酵方法の違いによって、「ラガービール」「エールビール」「自然発酵ビール」に大別されます。地ビールは、日本全国でたくさん発売されているので、ぜひお好みやその日の気分に合わせてチョイスしてください。
のどごし重視なら「ラガービール」
【エキスパートのコメント】
発酵もろみの下面に沈む酵母を使い、低温で長期間発酵(下面発酵)させてつくられるビールのこと。すっきりとした爽快な喉越しのビールになります。
芳醇さが感じられる「エールビール」
【エキスパートのコメント】
発酵もろみの上に浮き上がる酵母を使い、常温で短期間発酵(上面発酵)させてつくられるビールのこと。泡が少なく芳醇で濃厚な味わいのビールになります。
独特な香りや酸味を楽しめる「自然発酵ビール」
常温で自然界に存在する天然の酵母を利用し、自然発酵させてつくる地ビールが自然発酵ビールです。使われている酵母によって地ビールの味わいが変わってくるので、オリジナリティのある味や酸味が楽しめます。最近では、飲みやすくおいしいフルーツビールなども注目を集めています。
珍しい味の地ビールを楽しみたいときにぴったり! 自然発酵の地ビールをあつめた詰め合わせのギフトも発売されています。
【2】ビアスタイルから選ぶ
ビールのタイプにはエールとラガーの2つのタイプがあることをご紹介しましたが、そこからさらにさまざまなスタイルに細分化することができます。ここからは、いくつかスタイルを紹介します!
ピルスナー
『アサヒスーパードライ』や『サッポロ黒ラベル』など、日本の大手ビールに近い味を楽しみたいなら、ピルスナーを選ぶのがおすすめ。ホップのさわやかな香りと、きれいな黄金色が特徴です。
日本の大手ビールメーカーのビールは、そのほとんどがラガータイプのピルスナーというスタイルで、ほどよい苦味と比較的軽い飲み口が特徴です。
ペールエール
ペールエールはイギリス発祥のスタイルで、おもにアメリカン・ペールエールとイングリッシュ・ペールエールの2つが存在します。世界的に人気となったアメリカン・ペールエールは、柑橘系やフルーツの香りが特徴。一方イングリッシュ・ペールエールは、麦芽由来の甘みを感じるのが特徴です。
IPA(インディアペールエール)
IPAもイギリス発祥で、ペールエールから派生して作られたもの。アルコール度数は高めで、ホップの苦みが強いのが特徴。
グレープフルーツやトロピカルフルーツのアロマと苦味が強い「アメリカンIPA」や、それ以上にホップを使った「インペリアルIPA」、「ダブルIPA」などIPAのなかでもさまざまな種類があります。よりパンチの強いペールエールが飲みたいときはIPAがおすすめです。
ヴァイツェン
ヨーロッパでは一般的なエールビールの一種である「ヴァイツェン」。材料には大麦麦芽や小麦麦芽、ヴァイツェン酵母を使っており、苦味が少なく、飲みやすく仕上げられています。
フルーティーな味わいで、ライトな口当たりなのも特徴。ふだんビールをあまり飲まない方でも飲みやすいでしょう。
スタウト
スタウトで有名なビールといえばギネスではないでしょうか。どっしりとした味わいのなかにも、香ばしさがクセになる味です。 香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りがするスタウトも数多く販売されています。
ベルジャンホワイト(ホワイトエール)
麦芽化していない小麦を使い、オレンジピールとコリアンダーシードを使ったビールです。柑橘系のスパイスがほのかに香り、爽やかな味わいが特徴。すっきりとした飲み口なので、女性に人気が高いスタイルのビールです。
フルーツビール
製造途中にフルーツや果汁を入れる「フルーツビール」。フルーツビールといっても、麦汁(ばくじゅう)にフルーツを加えるタイプや、ビールをつくった後にフルーツを加えるタイプなど、その種類はさまざま。作り方によってまったく味わいも異なるので、いろんな種類を飲み比べるのもおすすめです。
【3】産地から選ぶ
地ビールは北海道から沖縄まで日本全国で醸造されています。まずどの地ビールを購入するか迷ったときには、産地に注目してみましょう。自分の出身都道府県や、好きな都道府県の地ビールをためしに購入してみるのもよいです。
人にプレゼントするときも、その人の出身地など関わりのある産地の地ビールを選ぶと、よろこばれるでしょう。
【4】味わいや香りで選ぶ
【エキスパートのコメント】
さまざまな原料や製法でつくられる地ビールには、ありとあらゆる個性をもつものが存在します。地ビール選びで失敗しないためには、まずは味わいや香りをチェックすることが大切です。ビール初心者の方であれば、ここでご紹介している『水曜日のネコ』などの軽めで飲みやすいものを選ぶといいでしょう。
一方、普段からビールを飲み慣れている方であれば、『コシヒカリ 越後ビール』やコエドビールの『紅赤』のように米やサツマイモといっためずらしい副原料を使用しているビールがおすすめ。さまざまなビールを試して、ビールの世界を広げていってくださいね!
【5】ギフトにするなら詰め合わせがおすすめ
お歳暮など贈り物としてビールを選ぶことも多いですよね。地ビールやクラフトビールは、ビール好きの方にぴったりのギフトです。各地ビールメーカーから、さまざまなスタイルの地ビールを飲み比べできるよう、飲み比べセットや詰め合わせのギフトが販売されています。
定番のラガービールや女性に人気のホワイトビールなど、さまざまなスタイルを楽しむことができるので、ぜひ選んでみてくださいね。
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