日増しに選択肢の幅が広がっている「加熱式タバコ」。今ではメーカーも増え、デザインにも磨きがかかり、スティックやカプセルなどの種類も実に豊富。むしろ、そのラインナップの豊かさは、どれを選べばいいか判断に困るほどである。
ただし、もし「タバコの喫味は楽しみつつ、なるべくニオイは抑えたい」と考えているなら、選ぶべきは低温加熱式タバコ一択になるだろう。
そこで今回は、改めて加熱式タバコのラインナップやそれぞれのメリット、デメリットを整理し、より親しみやすい低温加熱式タバコの魅力をおさらいしたい。
高温加熱式タバコと低温加熱式タバコのメリット・デメリットを比較
そもそも加熱式タバコとは基本的に、紙巻きタバコと違って火は使わず、電気の力でタバコ葉を加熱し、喫煙を楽しむ仕組みを採用している。そのため、紙巻きタバコと比べて煙が少なく、メーカー側は有害物質を大幅にカットすることにも成功したと報告している。
加熱式タバコは大きく分けて「高温加熱式タバコ」と「低温加熱式タバコ」のふたつがある。
高温加熱式タバコのメリットとデメリット
一般的に、加熱式タバコといえば「高温加熱式タバコ」をイメージする人が多数派だろう。高温加熱式タバコのメリットとしては、【1】低温加熱式タバコよりも高い喫味が味わうことができ、【2】デバイスのバラエティに富んでいる点などが挙げられる。
高温加熱式タバコは200度以上の高温でタバコ葉を直接加熱することで、紙巻きタバコに近い強い喫味を再現した。最近では喫煙できる場所も随分と減ったが、加熱式タバコは紙巻きタバコに比べれば喫煙できる場所も多く、高温加熱式タバコであれば紙巻きタバコに劣らない満足感が得られるということで、高温加熱式タバコに乗り換える人は年々増えている。
そして、デバイスのラインナップの多さも魅力のひとつだ。
加熱式タバコブームの先駆けとなったのがフィリップ モリス ジャパンの「iQOS」で、その最新機種がこの「IQOS ILUMA」。従来の加熱ブレードを見直し、ブレード代わりとなる金属製の誘熱体をスティックに内蔵することで、高い喫味はそのままにイヤなニオイを低減。デバイスの耐久性も向上し、メンテナンスも不要となったおかげで使用感も手軽になった。
続いてはブリティッシュ・アメリカン・タバコの最新機種「glo Hyper+」。新技術の導入によって、前モデルの「グロー・ハイパー」と比較してブースト時の最高加熱温度を10度アップし、より高い喫味を備えることに成功した。また、デバイス本体の価格が1,000円以下と圧倒的なコスパを誇るだけでなく、デザイン的にもスタイリッシュで高い人気を得ている。
2年の開発期間を経て完成したのが、JTの最新機種「Ploom X」だ。最高加熱温度は約295度に到達し、ユーザーも納得の高い喫味を実現。他社と比べてニオイも少なく、流線型のアルミボディというこれまでにない美しいデザイン的要素も相まって、一気に人気を拡大している。
一方で、低温加熱式タバコと比べるとまだニオイがキツく、加熱時間もかかってしまうというデメリットも存在することは覚えておこう。
低温加熱式タバコのメリットとデメリット
低温加熱式タバコはタバコ葉を直接加熱せず、リキッドと呼ばれる液体から発生した蒸気をタバコ葉に通過させることで喫煙する仕組みを主に採用している。そんな低温加熱式タバコのメリットは主に、【1】高温加熱式タバコよりも限りなくイヤなニオイが抑えられ、【2】加熱時間もなく吸いたいときに吸えるなどのメリットが挙げられる。
低温加熱式タバコは30〜40度という低温で加熱しているため、タバコ臭さはほぼ皆無。目の前で吸われてもほとんど気付かないほど、ニオイは少ない。加熱にも時間がかからないので、吸いたいときにサッと吸うことができるのも魅力だ。
低温加熱式タバコで今一番高い人気を得ているのが「Ploom TECH+with(プルーム・テック・プラス・ウィズ)」。女性の手のひらにも収まるコンパクトサイズで、デバイスの上部にバッテリーの残量とタバコカプセルの残量がわかるディスプレイが実装されているのも嬉しい。
一方で、40度の低温で加熱しているので、高温加熱式タバコと比べてどうしても喫味には劣るというデメリットがある。タバコらしい味わいを求める人にとって、吸いごたえという点で物足りなく感じるという声は少なくない。
実際に「Ploom TECH+with」を使ってみた
今回は、実際に約一週間かけて「Ploom TECH+with」を使ってみた。
普段は高温加熱式タバコを愛用している筆者だが、「Ploom TECH+with」はタバコカプセルだけでなく、リキッドの補充も必要だという手間はあるものの、交換頻度は高くなく、決して気になるレベルではない。それよりも、加熱時間がなく、吸いたいときにすぐに吸えるというメリットのほうが大きく、この手軽さは高温加熱式タバコにはない大きな魅力だ。
また、タバコ独特のニオイもないので、自宅での仕事中に吸っても部屋の中がまったく臭くならないという点もやはり大きなメリットである。紙巻きタバコはもちろん、高温加熱式タバコでもタバコ臭は残るので、どうしても換気扇の下以外の場所で吸うのは抵抗があるが、「Ploom TECH+with」なら自宅のどこでも気にせずに喫煙が楽しめる。
これは車内でも同様で、狭い車の中で「Ploom TECH+with」を吸ってもニオイは気にならず、煙たくもならない。再三になるが、やはり加熱時間がないので、信号などの待ち時間でサッと吸って、すぐに手放すことができるのもありがたい。いつでも手軽にリフレッシュできるという意味では、低温加熱式タバコの「Ploom TECH」シリーズに大きな軍配が上がると言って良さそうだ。
もちろん、喫味に課題が残るのは事実だが、これも「Ploom TECH+with」だけを吸い続けていれば自然と慣れてくるもので、日を追うごとに吸いごたえの少なさが気にならなくなるという点も意外な収穫だった。
今年1月には、フル充電時間が約90分から約60分へと大幅に短縮されたスティックタイプの「Ploom TECH+1.5」も発表されたばかり。また、より低温の30度で加熱するタイプの「Ploom TECH」も依然として安定的な人気を保っている。
圧倒的な手軽さ、ニオイの少なさを備えた低温加熱式タバコ「Ploom TECH+with」。どうせ物足りないだろうなどと決めつけず、一度使ってみることをオススメしたい。