積極的な切込みで勝利をつかむ
渡辺明棋王へ永瀬拓矢王座が挑戦する第47期棋王戦五番勝負(主催、共同通信社)の第3局が、3月6日に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われました。結果は87手で永瀬王座が勝利し、五番勝負の成績を1勝2敗としました。
■永瀬王座の工夫
本局は永瀬王座の先手番で角換わりに進みました。42手目の局面で7九の玉を8八へ入城するのではなく、▲6八玉と逆側に上がったのが永瀬王座の工夫です。以下は△7六銀▲同銀△同角▲6六歩と進んでいますが、8八玉の形だと、この時に△6七銀と打たれてしまいます。この銀打ちを防ぐことで6筋の歩が突け、△6五角や△6五桂に備えています。
そして55手目の▲4五桂は「いきなり切り込んでくるとは思わなかった」と渡辺棋王が振り返った一着です。形勢は何とも言えませんが、お互いに攻め合うスリリングな展開となりました。
■永瀬王座が一気に攻め倒す
67手目の▲4三角が勝着でしょうか。渡辺棋王はこの一手を見落としていたといいます。対して△4二銀ならまだ難しい勝負のようですが、△2三銀と打ってしまったことで、▲3二角成△同銀▲4三銀打で先手の攻めが切れなくなりました。
土俵際で踏みとどまった永瀬王座が1勝を返し、五番勝負の行方は後半戦に持ち込まれました。「まずは第4局につなげることができてよかったと思いますので、精一杯準備して頑張りたいと思います」と永瀬王座は語りました。第4局は3月20日に行われます。
相崎修司(将棋情報局)