世の中、DX(デジタルトランスフォーメーション)全盛の時代。ついに相性のよいエンジニアの働き方にも及んできたようだ。エンジニアの新しい働き方や暮らし方の実現を目指す、アドレスとbluecode、2社の提携発表会からその実情を紹介したい。
リモートワークの弱点を克服できる大きな可能性
イベントは、それぞれの会社代表によるパネルディスカッションと、実際にライフスタイルDXを体現するITワーカーによるトークセッションの2部構成となっている。
ITコンサルティング事業を柱にするbluecode、多拠点居住サービスを提供するアドレスの両社が提携した背景や目的は、どこにあるのだろうか。Bluecode創業者である玉木栄三郎氏が次のように語った。
「背景として『リモーワーク=幸せな働き方なのか』という疑問がありました。確かに、エンジニアの多くがリモートワークを希望するアンケート結果もありますが、一方で企業側は米国の大手IT企業がオフィス回帰している状況があります。特に、bluecodeは全員がフリーランスなので、多様性に富むチームメンバーでいかに仕事の質を高めるか、という命題がありました。そこで、取り組んだのが好きなことを共有できる環境づくりであり、アドレスとの提携もこの一環です」
同社では、この提携によりADDress(多拠点居住サービス)利用契約の全額補助という特典を所属しているエンジニアに付与する。一方、アドレスの代表である佐別当隆志氏も提携によるメリットをこう説明した。
「もともとアドレスでは多拠点居住サービスに加え、会員同士が趣味でつながる部活動を推進。サウナ部や日本酒部、釣り部といった部活が誕生していました。この提携でADDress会員は、bluecodeが所有する船を利用できるようになります」
「所有する船」という聞きなれない言葉が出てきて、筆者も最初面食らった。これについては、bluecode代表 伊賀麗佳氏が補足説明してくれた。
「組織として仕事の質を高める目的に、海を趣味にしているエンジニアが多いことからオフィスをサーフサイドやマリーナサイド、船舶上の3ケ所に開設。釣り用の船舶も所有し、メンバーが働きながらいつでもサーフィンや釣りを楽しめる環境を提供しています」
同社の社員への取り組みは目を見張るものがあり、オフィス環境を整えるだけでなく、湘南エリアへの移住費や船舶免許の取得費も補助する徹底ぶりだ。
エンジニアにとってリモートワークが便利な働き方であることは間違いない。しかし、一方で孤独感が強まることも確かだろう。これを解消するのに、メンバーが好きなことを一緒にできる環境を提供することは非常に意味がある。
スキルしだいで働き方を自分でデザインできる時代に
次のトークセッションでは、bluecodeで実際に働くエンジニアやADDress会員、ADDress家守の3名が登場。それぞれどんなライフスタイルDXを体現しているかを話してくれた。
最初に登場した輿石衣里氏は、bluecodeでWEBディレクターとして活躍する傍ら、「釣りガール」としてオフタイムを楽しんでいる。
「もともと海が好きで、最近になって釣りを始めました。歩いて5分くらいのところに釣りスポットがあるので、平日でも業務が早く終われば釣りに行っているほか、連休も釣りキャンプに出かけることが多いです。また、会社の補助を活用して船舶の免許を取得しました」
続いて発表したのが、フリーランスのエンジニアとして活躍しながらADDress会員になった高田浩気氏。釣り部の部長でもある。
「1週間のライフスタイルは、週6で宴会。それ以外で、空いた時間を見つけて釣りを楽しんでいます。釣り部の活動では、ADDressの拠点ひとつを借り切って、その日釣れた魚を捌いて宴会で盛り上がりました。今回の提携でbluecode所有の船が利用できるようなったので、とても楽しみです」
最後に登場したのがWEBエンジニアとして活躍しながら、ADDress拠点を管理する『家守』の宮本涼輔氏だ。
「10年前からリモートワークができるようになったので、すぐにサーフィンが楽しめる千葉県の外房に移住しました。家守になったのは3年前から。ADDressでは会員同士や家守の交流が盛んなので、子どもたちにいろんな人と触れ合う機会を与えたかったのです。今では家族と一緒に家守の生活を楽しんでいます」
以前ワーケーションを推進する企業のイベントを取材したことがあるが、3人が実践しているのはまさにこのワーケーションにほかならない。
エンジニアのように市場価値のあるスキルを身に付ければ、働き方を自分でデザインできる時代が到来したようだ。