映画『アイアンマン』は、2008年に公開されるやいなや歴代全米オープニング成績2位を記録し、全世界での興行収入は約5億8千万ドル超えとなった大ヒット作です。
本作は、人気のアメリカン・コミック・レーベル「マーベル・コミック」のヒーローたちが同一の世界観のもとで活躍する映画作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」の記念すべき最初の作品となっています。
また、このメガヒットを受けて『アイアンマン』は『アイアンマン2』『アイアンマン3』とシリーズ化され、さらにアイアンマンがリーダーシップをとるヒーロー軍団、アベンジャーズの活躍を描く「アベンジャーズ」シリーズへと続きました。
この記事では、まずはアベンジャーズシリーズを楽しむ上で知っておきたい、映画『アイアンマン』のあらすじや登場人物、見どころを紹介します。マーベル好きの心をくすぐる要素だけでなく、不器用な恋愛模様も盛り込まれている本作の魅力を独自の視点で解説していきます。
映画『アイアンマン』の作品情報
公開日/2008年
監督/ジョン・ファヴロー
脚本/マーク・ファーガス、ホーク・オストビー、アート・マーカム、マット・ホロウェイ
出演/ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロー、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、ショーン・トーブ
『アイアンマン』は、マーベル・コミックの人気作品をロバート・ダウニー・Jr主演で映画化した、全米で大ヒットを記録したアメコミ映画です。
監督は俳優の顔も持つジョン・ファヴローで、監督としてはこの『アイアンマン』が出世作となりました。ちなみに、本作では主人公トニー・スタークの運転手・ハッピー役として出演もしています。
『アイアンマン』は壮大な世界観を持つMCUシリーズ第一弾となる映画にふさわしい、痛快なヒーロー映画です。
映画『アイアンマン』のあらすじ
トニー・スタークは巨大軍需産業「スターク・インダストリーズ」の御曹司。亡き父・ハワードとともに会社を育てたオバディアと二人三脚で会社を経営していました。
しかし、トニーは自らが開発した最新ミサイル兵器「ジェリコ」のプレゼンで訪れたアフガニスタンで、現地のテロ組織「テン・リングス」に誘拐され、致命傷を負ったまま拘束されてしまいます。
トニーは、同じく敵地で拘束された医師で科学者のホー・インセン博士と協力して、小型の熱プラズマ反応炉である「アーク・リアクター」を作り上げます。そして、それをエネルギー源としたパワードスーツ「マーク1」を完成させたのです。
この圧倒的なパワードスーツの力でテン・リングスを壊滅に追い込み、ホー・インセン博士の犠牲の上でトニーは脱出に成功。しかし、飛び立ったマーク1はあえなく砂漠に落下してバラバラになってしまいます。トニーは残骸を破棄して逃亡しますが、親友でアメリカ空軍中佐のジェームズに発見され、無事アメリカに戻ります。
帰国後、トニーはスターク社が兵器製造から撤退する事を宣言。そして、自宅のラボにこもって新たなパワードスーツの開発に没頭し始めます。会社の方針転換を快く思わなかったのが、トニーと共同で会社を動かしてきたオバディアでした。トニーがパワードスーツの制作で表に出てこない間に、オバディアは怪しげな動きを加速させていきます。
トニーは、のちに「アイアンマン」と呼ばれる新型パワードスーツを作り上げ、その圧倒的な力でテン・リングスを叩きのめします。テン・リングスは砂漠に残されたマーク1の残骸を回収していたのですが、実はそれを手に入れていたオバディアこそがテン・リングスにトニー襲撃を命じ、スターク・インダストリーズを我が物にしようとしていた黒幕だったのです。
オバディアはトニーからアーク・リアクターを奪い、悪の兵器「アイアンモンガー」を完成させました。そして、トニーが作った「アイアンマン」とオバディアが作った「アイアンモンガー」は一騎打ちとなり、ロサンゼルスの街を巻き込む激しい戦いが始まって……。
映画『アイアンマン』の主な登場人物
『アイアンマン』に登場する重要キャストを紹介します。
アイアンマン / トニー・スターク
巨大軍需産業「スターク・インダストリーズ」の社長で天才発明家の主人公、トニー・スターク。天才的な頭脳を持つ億万長者のプレイボーイ。しかし、大好きなことには少年のように熱中する、どこか憎めないキャラクターです。
トニー・スタークを演じるのは、子役からキャリアをスタート。紆余曲折ありながらも、現在は個性派俳優として活躍するロバート・ダウニー・Jr。「もっとも価値ある映画スター」ランキングで2年連続1位を獲得しています。
ペッパー・ポッツ
ペッパーはトニーの頼れる有能な社長秘書であり、公私にわたりトニーを支える存在。トニーを異性として意識していますが……。
ペッパー役のグウィネス・パルトローは、1998年の映画『恋におちたシェイクスピア』で第71回アカデミー賞主演女優賞を受賞した名女優です。
オバディア・ステイン / アイアンモンガー
オバディアはトニーの亡き父・ハワードの親友で、スターク社の重鎮ながら、トニーに反旗を翻す人物。本作品ではヴィラン(悪役)となり、試作機「マーク1」と「アーク・リアクター」を盗み、凶悪兵器「アイアンモンガー」を作り上げてトニーと対峙します。
オバディアを演じたジェフ・ブリッジスは、SFからシリアスなドラマ、ヒーローから悪役まで、どんな役柄も巧みに演じきる俳優。2009年の映画『クレイジー・ハート』では、第82回アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
映画『アイアンマン』の見どころ
迫力十分のストーリー展開と、個性的なキャラクターを演じる実力派の俳優陣。これだけでも見応えたっぷりなのですが、映画『アイアンマン』の魅力はそれだけではありません。
パワードスーツ「アイアンマン」の魅力
この作品の何よりの見どころは、やはりトニー・スタークが作り上げるパワードスーツでしょう。捕らわれの身の洞窟で完成させた「マーク1」の粗削りなフォルムも魅力的ですが、帰国後に財力と知力の限りを尽くして開発した新型スーツ「アイアンマン」のクールさは、シリーズを重ねた今見ても初期型ならではの魅力にあふれています。
トニーがコレクションする愛車を模したスパルタンなボディカラーのこの最強スーツ。トニーが一つひとつのパーツを丹念に組み合わせて作り上げていく姿は、少年がプラモデルを完成させていくような、ワクワク感に満ちたシーンとなっています。そして、完成したスーツを装着する場面では、まるで戦隊ヒーローの変身シーンや巨大ロボの変形・合体シーンにも似た興奮を呼び起こしてくれます。
トニーとペッパーの恋愛模様
さらに『アイアンマン』は、トニーと美しき社長秘書・ペッパーとの恋愛模様も見どころのひとつとなっています。
莫大な資産を持ち、女性にもモテまくっているトニーですが、公私ともに自分を支えてくれるペッパーをリスペクトしつつ、淡い恋心も抱いています。
その一方で、社長秘書としての立場を崩さないペッパーも、トニーを長年近くで見てきただけに、彼の長所も短所も知り尽くしています。少なからず好意を抱いているように見えますが、トニーの口説き文句もスマートに交わすばかり。秘書としては有能なペッパーですが、恋愛に関してはかなり奥手なのかもしれません。
対外的には大人なふたりですが、まるで少年と少女かのような初々しいやり取りを繰り広げる……そんな恋愛模様にキュンキュンできる展開も『アイアンマン』の見どころです。
エンタメ要素満載の『アイアンマン』
『アイアンマン』は「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」シリーズの開祖というだけでなく、ひとつの映画としてとても魅力的な作品です。
ヒーローが誕生する過程をじっくりと描きつつ、登場人物の心情描写もしっかりと盛り込んだ内容となっています。スカッとする戦闘シーンから、ニヤニヤしてしまうような恋愛シーンまで、「娯楽映画ここにあり!」と絶賛したくなるような見事なストーリー展開です。
まだ鑑賞したことがない方は、ぜひ一度『アイアンマン』をご覧になってみてください。