飛島建設、NTT東日本(東日本電信電話)、およびNTTの3社は3月3日、共同出資による新会社「ネクストフィールド」を設立したと発表した。新会社では建設現場のDX化をサポートするほか、ICTサービス、業務改善サービスの提供なども行っていく。代表者は「建設業のノウハウとICT技術によって、建設現場DXをトータルでサポートしていきたい」とアピールした。
新会社が目指す方向は?
ネクストフィールドは、資本金4.9億円の新会社。株主構成は、飛島建設が50%、NTTグループ(NTT東日本、NTT)が50%となっている。代表取締役社長には、飛島建設で取締役を務めてきた大堀裕康氏が就任。オンライン記者会見で大堀氏は、会社設立の背景について次のように語った。
「建設産業ではいま、就労人材の高齢化が進み、技能労働者数の減少が加速しています。一方で、建設投資は当面50兆円規模を維持すると推定されています。今後は、より生産性の向上が求められる時代になる。そこで新会社を設立し、DXを推進していく考えです」(大堀社長)
大堀社長は、建設業ではDXの取り組みが遅れており、特に中堅、中小規模の建設会社で遅れが目立つと指摘。その理由として、建設現場は期限が決まっており、場所(環境)も携わる人も日々変化してしまう、といった業界の特殊性を挙げた。
NTTグループではICTをはじめとした最先端の技術、ノウハウを提供する。大堀社長は「グループには多岐にわたるアセットがあり、また地域密着の営業力もある」と期待。また飛島建設には建設業の知見があるほか、建設現場に精通した建設技術者を有し、また建設現場DXの実績も持っている。
「それぞれの強みを活かすことで、建設現場における生産性の向上、働き方改革、現場の標準化、安全性の確保といった課題の解決につなげていければ」(大堀社長)
いま現場に必要とされているのは、建設現場とICTの両方のノウハウを持った人材(IT監督)。会社設立時は従業員20名でスタートするネクストフィールドは、そのうち10名をIT監督としている。
オープンなプラットフォームを提供することで、ゆくゆくは様々な建設関係者が利用できるサービスにしていきたい考え。大堀社長は「建設資材、道具、保険など、多岐にわたる連携サービスを利用できるようにし、バックオフィス業務も軽減していけたら」と抱負を語る。
最後に「建設現場のDX支援を通じて、生産性の向上と安全性の確保に努めていきます。ひいては社会インフラの構築・維持を担う建設産業の課題を解決し、持続可能な社会、地方創生にも貢献につなげていきたい」とまとめた。
NTT東日本も期待
また、登壇したNTT東日本 代表取締役社長の井上福造氏は「今後、事業継続のため中小企業でもDX化が避けられなくなってくる。そのときにリモートでも遅延なくロボット、機械が動く品質の良い・安い通信回線が必要になるでしょう。そこでNTT東日本のマネージド・ローカル5Gサービス『ギガらく5G』が大きな切り札になる。中小規模の工場、建設現場などIoTの通信環境が整っていない環境にも、積極的に導入されていくと考えています」と、まずは自社が発表したばかりのサービスを紹介。
そのうえで「でも肝心なのは、その技術をどう使うか。まずは現場の声を聞くこと。その道のプロの知見に勝るものはありません」と話す。
そこで活躍するのがIT監督であるとして、ネクストフィールドの展開に大きな期待を寄せた。