Oracle EPM CloudとOracle Analytics Cloudを導入
オラクルの財務改革では、柱として「テクノロジー」「プロセス」「タレント」を据えた。テクノロジーは基盤となり、プロセスは簡素化する。西山氏は特に強調したいのは「人が重要だということ」と語った。というのも、最新のテクノロジーを入れて、合理的なプロセスを入れても、人が使いこなせなければうまくいかないからだ。
「クラウドを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)は、クラウドの導入後も変化を求められる。その変化に人も対応していかなければならない。そして、人に求められるものは、考え方やモノの見方といったマインドセットだ」(西山氏)
基盤となるテクノロジーとしては、「Oracle EPM Cloud」と「Oracle Analytics Cloud」が導入された。「Oracle EPM Cloud」によって、「データ収集の自動化」「予測の透明性と精度の向上」「AIによるリスクと機会特定の強化」「自動集計とレポーティングによる業務の効率化」が実現したという。
西山氏は、Oracle EPM Cloud導入によって現場が得られるメリットとして、さまざまなソースからのデータを加工なしで扱えることを挙げた。具体的には、人事のデータと連携した結果、従業員予測が簡素化されたそうだ。採用や異動の情報が連携されることで人事からデータをもらう必要がなくなり、間違いや抜けが減り、手間も時間も減った。
さらに、適正な権限に基づき、データにアクセスできるようになり、ストレスが軽減されたそうだ。「Oracle EPM Cloudを利用することで、人から人に情報を渡さずに済む。これにより、現場では『この人にこのデータを渡していいのか』『自分がこのデータをもっていいのか』と悩まなくて済むようになった」と西山氏。
一方、「Oracle Analytics Cloud」では「エンタープライズのデータセットに基づくレポートと分析の提供」「分析と可視化のためのプラットフォームの構築」「精緻なデータ管理」「データサイエンスによる洞察」「迅速なレポート」が実現された。
西山氏は「Oracle Analytics Cloudはビジネスファイナンスで最もはやっているツール。その理由は2つある」と述べた。1つ目の理由は「さまざまなデータソースを一つの場で扱えること」だ。Oracle Analytics Cloudではデータを一つずつダウンロードしてデータを結合する必要がないため、データの手直しの際のトラブルがない。
もう1つの理由は「知見の共有が容易であること」だ。通常、セキュリティを考えると、データを渡す際に加工する必要があり、手間がかかる。しかし、Oracle Analytics Cloudにはデータに適切な権限が付与されているので、自身が権限があるデータしか見ることはできない。そして、だれかが作ったデータを基に、自分のデータを作ることが容易になったことから、お互いが助け合うようになったそうだ。
クラウド移行で達成できたこととは?
西山氏は「Oracle EPM Cloud」と「Oracle Analytics Cloud」による統合のベネフィットの一つとして、スピードを挙げた。リアルタイムで情報を自動的に入手できるようになったことで、アクションを考えることに集中できるようになり、ビジネス側との会話の質がよくなったという。
さらに、ツールが統合されたことで、部門や地域を越えて共通言語ができたことも統合のベネフィットとなる。「世界共通の共通言語ができ、人事や営業の情報も統合された。その結果、知見を共有する敷居も下がった」と西山氏。
そして、クラウドへの移行によって、ビジネスファイナンスと事業部門のリーダーと関係強化を達成できたという。西山氏は「こちらから報告するだけでなく、事業部門から意見を求められるようになった。なぜなら、クラウド移行により、事業部門は必要な情報をリアルタイムでアクセスできるようになっているため、われわれはそうした情報を取りまとめる作業から解放され、よりビジネスに必要な今何をするべきかを提言できるようになったから」と話す。
最後に、西山氏は、「DXにおいて最も大事だと思うのは、絶え間ない変化を受け容れ、日々の改善を貴ぶ文化。変革とは、人の考え方やモノの見方を変えることになる。クラウドはこうした変化を可能にする」と語って、講演を締めくくった。