台湾TrendForceは3月1日、2021年第4四半期のスマートフォン生産台数が前四半期比で9.5%増の3億5,600万台に達するとのレポートを発表した。好調の要因としてはAppleの新型iPhoneの貢献を挙げている。ただし主要コンポーネントの不足の影響を受けているブランドもあり、前々年度/前年度の同四半期と比較すると生産台数は減少しているという。
Appleは例年、新製品の発表により第4四半期のシェア首位を獲得することが通例となっている。2021年度も例外ではなく、第3四半期に首位だったサムスン電子に変わってシェア24.0%で首位となった。以下、2位はサムスン電子の20.0%、3位がOPPOで13.5%、4位Xiaomiが12.8%、5位Vivoが8.4%と続く。
Appleの第4四半期の生産台数は過去最高の8,550万台で、年間でも2億3,300万台と、2020年の2億台から3,300万台の増加。TrendForceではHuaweiが持っていたフラッグシップモデルのシェアをiPhoneで獲得し、中国での市場シェアが10%から16%に拡大したことが大きく影響しているとみている。
サムスン電子は第4四半期の生産台数が7,100万台。年間を通じては第4四半期をのぞいて首位を堅持しており、第2四半期にCOVID-19の影響で生産施設の稼働率に影響を受けたものの、年間生産台数2億7,500万台で首位となっている。
OPPO(Realme/OnePlusを含む)は第4四半期の生産台数が4,800万台で、第3四半期の5,100万台から減少。Xiaomi(Redmi/POCO/Black Sharkを含む)の生産台数は4,550万台で100万台の増加。Vivo(iQooを含む)は400万台減の3,000万台。TrendForceでは、この3社はターゲット市場と製品戦略が近いため、引き続き不足が続いている部品の調達が今後の生産量に影響するとみている。また、ファーウェイからスピンアウトしたHonorが2021年に大きく数字をのばしており、中国市場を重視する戦略をとっていることから、Honorの動向が同様に中国市場を重視するOPPO/Xiaomi/Vivoにも影響するとしている。
2022年の年間スマートフォン生産台数については、前年比3.6%増の13億8,100万台になると予測。ただし、中国では需要が低下し、他の既存市場でも成長が限られるため、成長は買い換え需要と新たな市場での需要に依存している。このため年間生産量が下振れするリスクもあるという見解だ。
また、直近のロシア-ウクライナ間の問題が、為替/インフレ/ロジスティクスの問題を引き起こし、東欧でのスマートフォン販売に影響を与えているという。2021年のロシア/ウクライナではグローバル市場の3%にあたる4,500万台のスマートフォンが販売されており、サムスン電子/Xiaomi/Appleがシェア上位。現時点でこの問題がスマートフォンの生産に大きな影響を与えるというわけではないが、世界経済の動向いかんによってはスマートフォンの需要に影響が出る可能性も排除できないと指摘している。