ゼンハイザーは、シングルダイナミックドライバーのオーディオ愛好家向けイヤホン「IE 600」を3月8日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は99,880円前後を見込む。

  • IE 600

最上位モデルの「IE 900(実売179,080円前後)」と「IE 300(実売41,250円前後)」の中間に位置する、カナル型(耳栓型)有線イヤホン。

自社開発・製造の7mm径「TrueResponseトランスデューサー」(ドライバー)を搭載し、「シングルダイナミックドライバーならではの低域から高域までの滑らかなつながりを感じられる」としている。振動板はコーティングを施さないプレーン形状。高内部損失を追求し、自然発生的に起こる不要な共振と歪みを最小限に抑え、全高調波歪(THD)は0.06%(94dB,1kHz)以下を実現した。

  • IE 600

最大の特徴は、独へレウスが提供する、「AMLOY-ZR01」というアモルファスジルコニウム素材をハウジングに採用している点。ジルコニアとは違う素材で、通常の金属素材よりも頑丈ながら伸縮性があり、気温の変化にも強い特性を持つ。3Dプリンターを用いてパウダー状態から製造しており、レーザー照射でレイヤーごとに積層していく粉末焼結積層造形法で本体を形成した。

  • ハウジングにはアモルファスジルコニウム素材を採用

この素材は腐食に強く経年劣化しにくく、イヤホン内のパーツを保護するという点でも優れるという。さらにアルミやプラスチックよりも重さがあるため、外からの音を遮断することに優れ、周囲の音に左右されずIE 600のサウンドを楽しめるとのこと。重さは片側約6g。

  • ハウジングは3Dプリンターを用いて製造

ノズルには同社のこだわりの技術として、マスキングによる共振を排除するための「デュアルレゾネーターチャンバー」を搭載。高域を伸びやかにして繊細な音を再現するもので、2つのチャンバーを備えることで余計な振動を抑え、中高域の周波数帯の「耳に刺さるような音」を抑える。これによって高域、中域、低域の全体の周波数帯域に調和をもたらし、まとまりのあるサウンドを追求した。

  • デュアルレゾネーターチャンバーを搭載したノズル

さらに、イヤホン内の空気の流れをコントロールする「アコースティックバックボリューム」を装備。ハウジング内のエアーの方向と量を調節して低域と中域の分離感をスムーズにするもので、「不要な共振を取り除き、不快な音をなくし、淀みないニュートラルで確かな存在感の低域と中域のサウンド」を追求している。

  • IE 600の内部構造

IE 600の音作りについては、オーディオ愛好家からニュートラルなチューニングへの需要が高まっているとして、そうしたニーズに応えたチューニングを施した。また、最上位イヤホン「IE 900」との大きな違いは2〜3kHzの箇所にあり、各イヤホンのバックボリューム機構のサイズによって盛り上がる周波数帯域が異なっている。具体的には、IE 900は全帯域において高い再現性を実現しているが、IE 600は「ボーカルに臨場感がでて近さを感じられる」チューニングとした。

ケーブルは着脱可能。MMCXをベースに、端子周辺が独自形状になっているゴールドプレートの「Fidelity+ MMCXコネクター」を採用した。入力プラグが3.5mmのステレオミニケーブルに加え、4.4mm 5極プラグを採用したバランスケーブルも同梱する。ケーブルはいずれもY型で長さは125cm。特殊素材であるパラアラミドを採用し、数千回の折り曲げに耐えられる、高い耐久性を備える。

  • ゴールドプレートのFidelity+ MMCXコネクターを採用

周波数特性は4Hz~46.5kHz。感度は118dBで、インピーダンスは18Ω。イヤーピースはフィルタを内蔵した専用設計で、シリコンタイプとフォームタイプをそれぞれS/M/Lの3サイズを用意。ケーブルクリップ、キャリングケースなども付属する。

  • IE 600の製品内容。キャリングケース(左上)、イヤホン本体と各種イヤーピース(右上)、クリーニングツールとケーブルクリップ(右端)、4.4mmプラグのバランスケーブル(左下)、3.5mmステレオミニケーブル(右下)を同梱

  • IE 600のパッケージ。左はサイズ比較用のiPhone 12 mini