2022年3月10日に「チョコボ」シリーズの最新作『チョコボGP(チョコボグランプリ)』がNintendo Switchで発売される。同作は「チョコボ」シリーズのキャラクターや「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズのキャラクターが登場するレースゲームだ。
2021年の発表のタイミングでメディア向けの試遊会が開催されたが、当時はまだ開発途中だったこともあり、使えるキャラクターや魔石が限定的だった。今回は発売前に製品版をプレイできたので、試遊では体験できなかった『チョコボGP』の魔石やゲームモードなどについて紹介する。
魔石やアビリティの激しい攻防があちこちで勃発! ラストまでなにが起こるかわからないハチャメチャさがおもしろい
『チョコボGP』最大の特徴は、グラフィックのかわいらしさとは裏腹に、レース中、激しい攻防が繰り広げられる点だろう。コースには魔石をゲットできる「マジカルエッグ」が設置されていて、手に入れた魔石を使うと、ほかのキャラクターを攻撃したり、自分のスピードを速めたりできる。
同じ魔石を集めて最大レベル3まで強化できるのも同作ならでは。レベル1の魔石はあまり相手の脅威にならない程度の威力だが、レベルが2、3となるにつれ、たとえば「ファイア」の魔石であれば、「ファイラ」「ファイガ」と効果も強力になる。
「マジカルエッグ」は、いきなりレベル2の魔石を入手できる「金」、同じ魔石のレベルをアップさせる「銀」、1つの魔石を手に入れる「銅」の3種類。特に注目したいのが、この「銀」のマジカルエッグだ。「金」と「銅」のマジカルエッグから手に入る魔石はランダムで決まるが、すでに魔石を保有している状態で「銀」のマジカルエッグを獲得すると、確実に魔石をレベルアップさせられる。魔石を持っていない状態で「銀」のマジカルエッグに触れると、「銅」と同じくランダムで1種類の魔石を手に入れる。
『チョコボGP』の前身とも呼べる『チョコボレーシング 〜幻界へのロード〜』(以下、チョコボレーシング)では、攻撃系の魔石である「ファイア」「ブリザド」「サンダー」「ホーリー」「アルテマ」などを最大レベルまで上げると、ほかの全キャラクターに対してほぼ回避不能の攻撃を仕掛けるほど強力だった。
一方『チョコボGP』では、レベル3まで上げても、ほかの全キャラクターを大クラッシュさせるほどの効果はない。しかし、「銀」のマジカルエッグの存在がレベル3の魔石発動のハードルを下げた。「金」→「銀」の順にマジカルエッグをゲットするだけで、簡単にレベル3の魔石を発動できるのだ。
するとどうなるか――。“カオス”である。強力な魔石を発動しやすくなった結果、あちこちでドッカンバッコン。レースというより、バトルといったほうがしっくりくるだろう。それだけ激しい魔石の攻防が繰り広げられる。
「全キャラクターを攻撃するほどの効果はない」といっても、レベル3の魔石はかなり強力で、周囲のキャラクターには大ダメージを与える。魔石攻撃の接近を「!」マークと音で知らせてくれるのだが、避ける余裕もなく周囲で大事故が発生することが何度もあった。
だが、この“ハチャメチャ感”がおもしろい。すべてのプレイヤーがスポーツマンシップにのっとり、全力で邪魔しあうのが最高にエキサイティングだ。魔石をほかのキャラクターにヒットさせ、逆転ゴールを決めたときの爽快感はひとしお。もちろん反対に魔石の集中攻撃を受ければ、一気に最下位まで転落する恐れもある。しかし、最後の最後まで何が起こるかわからないハラハラ感が『チョコボGP』の魅力なのだ。
使える魔石の種類もかなり豊富。2021年の試遊では、「ファイア」「エアロ」「ウォータ」「死の宣告」「マバリア」といった魔石を体験できたが、ほかにも「ヘイスト」「ブリザド」「サンダー」「クエイク」「チェンジ」「アルテマ」「バハムート」などが用意されている。
なかでも、ワープホールを出現させる「チェンジ」の魔石は曲者だ。気づかないうちにワープで追い抜かれていることがあるうえ、ほかのキャラクターが発動したワープホールも一定時間コースに残るため、先に出現する赤いワープホールに入って、手前の青いワープホールに逆戻りしてしまい、「1位を独走していると思ったら、いつのまにかうしろに下がっていて、5位になっていた」という、ありのまま起こったことを話しているのに何を言っているかわからないような状況が発生することもあった。
そのほか、放電する球体を発射し、近くにいるキャラクターをまとめて感電させる「サンダー」や、自分を中心に周囲の地面を揺らす「クエイク」など、さまざまな効果の魔石をほかのキャラクターに向けて撃つのも楽しい。
さらに、キャラクター固有のアビリティがハチャメチャさに拍車をかける。アビリティは一定時間経過で使える必殺技のようなもの。スピードアップ系や防御系のアビリティよりも、突進したり、凍らせたり、炎の波を発生させたりといった攻撃系のアビリティが多い印象を受けた。
魔石と違ってバシバシ使えるわけではないが、効果はかなり大きい。たとえば、『FFIX』から参戦したスタイナーの「月光斬り」は、前方のほかキャラクターに斬りかかり、さらに近くにキャラクターがいると連続して斬っていくアビリティで、うまくいけば全員斬り捨てて首位に立てる可能性があるほど強力である。
登場キャラクターは発売日時点でも20以上。それぞれがユニークなマシンに乗っているので、そのデザインも見ものだ。イフリートやシヴァ、タイタンといった幻獣に加えて、ギルガメッシュ、ティナ、ビビ、スタイナーといった「FF」キャラクターも参戦する。
キャラクターは「ストーリーモード」を進めることでアンロック。すぐに使えるようになるキャラクターもいれば、ショップへ追加され「アイテムチケット」で購入することで使えるようになるキャラクターもいる。
さらに、同じキャラクターでも複数のマシンが用意されており、通常の「ノーマルタイプ」に加えて、ショップで購入すれば「グリップタイプ」「スピードタイプ」のマシンを使えるようになる。マシンによってスピードや加速などの性能が異なるので、自分に合ったキャラクターとマシンの組み合わせを探してみよう。
なお、ストーリーモードは「レース大会で優勝すれば、なんでもひとつだけ願いが叶う」というご褒美につられたチョコボ一行が、レース会場を目指す道中でさまざまなキャラクターと出会う内容だ。チャプターごとに「01:20.00以内にゴールする」といったミッションが設定されており、クリアするとショップで使える「アイテムチケット」をゲットできる。ちなみに、『チョコボレーシング』ではストーリークリアでオリジナルキャラクターのエディットを行えたが、『チョコボGP』にその機能はない。
“もう1回”が止まらない「チョコボGP」モードで世界中の猛者と対戦!
ストーリーでキャラクターをアンロックしたら、おそらく「チョコボGP」モードで世界中の猛者と競い合うのがソロプレイのメインになるだろう。
「チョコボGP」モードは、最大64人によるサーバーマッチングでのトーナメント方式のオンライン対戦。4位以内に入ると次のレースに進出し、「Entry」「Select」「Semi-final」「Final」の最大4レースを走る。「Final」を1位でゴールできれば、みごとグランドチャンピオンだ。
実際に「チョコボGP」モードをプレイしてみたが、やはりオンラインの対戦は、CPU相手のレースよりも激しい。ほかのプレイヤーが魔石やアビリティを使うタイミングも的確で、容赦なしである。そんなガチなメンバー64人のなかからグランドチャンピオンになるのは一筋縄ではいかないが、それゆえ1位になったときの喜びは大きい。
しかも、1レースあたりの所要時間は2分ほど。4レース10分程度で勝負できるのも、カジュアルに楽しめる良さだろう。勝っても負けても「もう1回」と、ついついレースを続けてしまった。
なお、「チョコボGP」モードでは、レースに出ることで「ドライバーズポイント」と「GPポイント」を獲得する。これらのポイントをもとにランキングが集計されるようだ。発売後は、約2カ月間のシーズンイベントが随時開催され、シーズン開催中にプレイしてプライズスコアを獲得していくと、プライズレベルがアップし、レベルに応じて、ゲーム内のショップでさまざまなアイテムと交換可能な「ギル」のほか、アイテムなどのシーズン報酬を入手できるという。
また、ミスリルショップでプライズパスを手に入れると、シーズンごとに入れ替わる新キャラクターなど、プライズパス所持者限定のシーズン報酬を入手できるようになる。シーズン1のキャラクターとして「クラウド」「スコール」の参戦が発表されている。
さらに、ロビーを作成してほかのプレイヤーと対戦できる「マルチプレイ」モードを搭載。「ローカル通信」と「オンライン」の2種類を用意しており、「オンライン」ではさらに「オンラインマッチ」と「フレンドマッチ」から遊ぶモードを選べるようになっている。
「ローカル通信」は、文字通りローカル通信を利用した対戦で、家族や友だちとオフラインで集まってプレイする際に便利だろう。「オンラインマッチ」はオンライン上にロビーを作成してプレイヤーを募るモード、「フレンドマッチ」はNintendo Switchのフレンドに招待を送ることで、同じロビーに入室できるモードだ。
それぞれ、特定の4コースを走る「シリーズレース」、もしくは、自由にルールを設定できる「カスタムレース」で遊べる。たとえば「シリーズレース」では、ロビーにいるそれぞれのプレイヤーが希望のシリーズを選択し、抽選で走るシリーズが決まるようになっていた。
また、メインメニューにある「シリーズレース」と「カスタムレース」は、ソロプレイもしくはおすそわけの2人プレイで遊ぶモード。おすそわけの場合、画面が半分に分割されるが、ソフト1本でも手軽に家族や友だちとレースを楽しめる。
なお、「シリーズレース」で上位に入賞すると、新たなシリーズが追加され、より難易度の高いコースに挑戦できるようになる。スピードの緩やかな「ビギナー」と、ハイスピードの「マスター」をプレイしていると、コースが左右反転している「ミラー」モードが出現。ようやく慣れ始めたコースだったが、左右が反転しただけで、かなり勝手が違うように感じた。
全体を通して、少し物足りないと感じたのは、コースの種類だ。同じコースで「ショート」や「ロング」などいくつかのバリエーションを用意しているものの、コース自体は現時点で9種類。『チョコボレーシング』のコースが10種類だったこともあって、少ないと感じる人もいるだろう。
このあたりは、新キャラクターとともに今後のシーズンでの追加に期待したいところだ。個人的には『FFVIII』で魔女のパレードが行われた「デリングシティ」や、『FFX』の「ザナルカンド遺跡」が追加されるとうれしい。とはいえ、「ビッグブリッジ」や「ゴールドソーサー」のコースが採用されていたことには、かなりテンションが上った。なんといっても、レース中に流れるアレンジ楽曲がイイ。
そのほか、カラーを変えたり、ステッカーを貼ったりと、マシンのカスタマイズ機能も搭載。テスト環境でショップにあったものは、各キャラクターのマシンのカラー2種類と数字のステッカーくらいだったので、こちらもバリエーションの追加に期待したい。公式サイトを見ると、シーズン報酬でステッカーが手に入りそうだ。
『チョコボレーシング』の発売から約23年。待望のチョコボの新作レースゲーム『チョコボGP』をプレイしてみて、魔石やキャラクター、操作感に至るまで、大きな変更点があるものの、本質的なおもしろさは変わらず、パワーアップしたハチャメチャさを実感できた。発売後に「チョコボGP」モードでどんなバトルが待っているのか、いまから楽しみでならない。
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CHARACTER DESIGN: TOSHIYUKI ITAHANA/RUBI ASAMI