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【この記事のエキスパート】
料理家/栄養士/スポーツ栄養学講師:玉利 紗綾香

料理家/栄養士/スポーツ栄養学講師:玉利 紗綾香

栄養士免許取得後、食品会社に勤務。プライベートブランド商品の開発過程に携わる。

その後、料理研究家のもとで修行後、栄養士、料理家として独立。

現在は、自身のスポーツ経験、栄養士の知識を活かし、 スポーツ専門学校でスポーツ栄養学の講師や、CM、書籍、雑誌、料理教室等を開き、多方面で活動中。


強いこだわりで造られるクラフトビールは海外や日本でも多数発売されているので、どれを買ったらいいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。また記事では、クラフトビールの選び方とおすすめの商品をユーザー、エキスパート、編集部の視点からそれぞれ厳選してご紹介します。

クラフトビールとは

出典:Amazon

クラフトビールは、小規模な醸造所がつくる趣向を凝らしたビールのことを指します。かつては地ビールという言葉が一般的でしたが、最近ではクラフトビールと呼ばれることが多くなりました。

アメリカでは「小規模」「独立」「伝統的」の3つを満たすことがクラフトビールの条件ですが、日本においては、特に決まりはありません。

現在、400以上のブルワリー(醸造所)が日本全国でクラフトビールを製造しています。最近では、大手酒造メーカーもクラフトビールの製造を始めるなど、ビール好きにとっては喜ばしい状況になっています。

クラフトビールを購入するポイントは?

ブルワリー(醸造所)が多いこともあり、種類が豊富で個性的な味わいを楽しめるクラフトビール。今回312名のユーザーに、クラフトビールを購入するときに何を重視しているのかを聞いてみました。

クラフトビールは「味やビアスタイル」を重視!

アンケートをとったところ、下記のようになりました。

1位:味やビアスタイル(53.8%)
2位:価格(43.3%)
3位:のどごし・キレ・コク(33.7%)
4位:アルコール度数(27.2%)
5位:ブランド(24.4%)
6位:生産国(24.4%)
7位:内容量(16.3%)
8位:カロリー(9%)

物価高の影響もあり、価格の安いビールが人気ですが、アンケート結果では「味やビアスタイル」が1位となりました。クラフトビールは種類(ビアスタイル)が100種類以上もあると言われています。さまざまなビールのなかでも、選ぶ楽しみがあるので、価格よりもより自分の好みにあったクラフトビールを選びたいという人が多いのかもしれません。

クラフトビールの選び方

アンケートの結果、クラフトビールは「味やビアスタイル」を重視して、みんなが選んでいることがわかりました。ここからは専門家の玉利さんの解説も交えて、クラフトビールの味を左右する「ビールの発酵方法」と、代表的な「ビアスタイル(ビールの種類)」について詳しく説明していきます。おいしくクラフトビールを飲むために、おつまみとの相性についても説明していますので、参考にしてみてくださいね。

<クラフトビールを選ぶポイント!>
【1】発酵方法の違いで選ぶ
【2】種類(ビアスタイル)で選ぶ
【3】おつまみに合わせて選ぶ

【1】発酵方法の違いで選ぶ

ここでビールの基本となる発酵方法の違いについて簡単に解説しておきます。発酵方法には、大きくわけて下記3つがあります。

・下面発酵
・上面発酵
・自然発酵

酵母の種類や発酵温度、発酵工程の管理が異なってきます。それぞれの特徴と違いをみていきましょう。

ラガービールは、下面発酵でキレのある味わい

下面発酵酵母(タンクの底に沈んで発酵される)で造られるビールは、ラガービールと呼ばれます。酵母は約10℃前後からそれ以下の低温で、大体7~10日間ほどで発酵が完了します。日本の酒造メーカーから発売されるビールの多くはラガービールで、すっきりキレのある味わいやのど越しのよさが魅力。

ビアスタイル:ピルスナー、シュヴァルツなど

出典:Amazon

エールビールは、上面発酵で旨味と奥行がある味わい

上面発酵酵母(表面に浮き上がって発酵される)で造られるビールは、エールビールと呼ばれます。約16〜24℃の温度で発酵する酵母で醸しだされ、大体3~4日程度で完成します。香りが複雑で芳醇、味わいも旨味があり奥深いのが魅力。

ビアスタイル:ペールエール、ヴァイツェン、IPA(インディアペールエール)、ベルジャンホワイト、スタウトなど

出典:Amazon

自然発酵ビールは、フルーティーで強い酸味が特徴

培養した酵母ではなく天然酵母で造られるビールは、自然発酵ビールと呼ばれます。発酵・醸造されています。醸造所内などに生息している野生酵母(ワイルドイースト)を使い、1年以上長い期間をかけて常温発酵・熟成されます。強い酸味が特徴。

ビアスタイル:ランビック、フルーツなど

【2】種類(ビアスタイル)で選ぶ

ここまでにご紹介したとおり、クラフトビールには、本当にたくさんのビールの種類(ビアスタイル)があります。ここでは代表的なビアスタイルを8つ見ていきましょう。

・ピルスナー(ラガー系)
・シュバルツ(ラガー系)
・ペールエール(エール系)
・ヴァイツェン(エール系)
・IPA(エール系)
・ベルジャンホワイト(エール系)
・スタウト(エール系)
・ランビック(自然発酵系)

それぞれ説明していきます。

ピルスナー(ラガー系)は日本人が飲みなれたスタイル

出典:楽天市場

現在のチェコで誕生したピルスナーは、世界中で飲まれているビールの約7割近くを占めているといわれています。日本の大手メーカーが製造するビールも大半がピルスナーであることもあり、数多くのビールスタイルのなかで、一番日本人が慣れ親しんだスタイル。すっきりキレのある味わいが特徴です。

シュバルツ(ラガー系)は飲みやすい黒ビール

出典:Amazon

ドイツ発祥のビアスタイルラガー系ビール。黒ビールというとエール系のコクのあるビールを想像する人も多いと思いますが、その予想を覆すとてもスッキリとした味わいで、ラガービールであることを実感できます。飲みやすい味わいなので、黒ビールが苦手な方にもおすすめ。

ペールエール(エール系)はホップやモルトの香りが魅力

出典:Amazon

イギリスで生まれた、薄めの色合いが特徴のビールです。味の特徴は豊かなホップやモルトの香りを感じます。ペールエールはイギリス発祥のビールですが、アメリカでホップの香りが強く感じる、アメリカンペールエールが誕生し人気となっています。

ヴァイツェン(エール系)は飲みやすく苦みの少ないビール

出典:Amazon

小麦麦芽を50%以上使ったドイツの伝統的なビール。 味の特徴としては、バナナのようなフルーティーな香りと、苦みをほとんど感じない柔らかな味わいなので、ビール独特の味が苦手な方でも飲みやすいスタイルです。

IPA(エール系)はパンチがきいたビール

出典:Amazon

IPA 愛好家もいるくらいの大人気のスタイルです。IPAはインディアペールエールの略称で、冒頭で紹介したペールエールから派生してできたのがIPA。アルコール度数は高めで、ホップの苦味も強いのが特徴です。パンチのきいたビールを味わいたい方におすすめ。

ベルジャンホワイト(エール系)は女子うけするビール

出典:Amazon

麦芽化していない小麦を使い、オレンジピールとコリアンダーシードを使ったビールです。柑橘系のスパイスがほのかに香り、爽やかな味わいが特徴。すっきりとした飲み口なので、女性に人気が高いスタイルのビールです。

スタウト(エール系)は香ばしさが魅力

出典:Amazon

スタウトで有名なビールといえばギネスではないでしょうか。どっしりとした味わいのなかにも、香ばしさがクセになる味。 香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りがするスタウトも数多く販売されています。

ランビック(自然発酵系)はカクテルのようなビール

出典:Amazon

醸造の途中でフルーツやフルーツシロップを投入して造られる、フルーツの香りが特徴のビール。チェリーやストロベリーなどさまざまなスタイルが販売されています。カクテルっぽく飲めるので女性やビールが苦手な方にもトライしやすい味です。

【3】おつまみに合わせて選ぶ

ビールといえばおつまみ。最近ではフードペアリングという言葉も注目されているように、食べ物との組み合わせでよりおいしくお酒を楽しむことができます。

和食などの繊細な食べ物やしっかり味がついているものはラガービールがおすすめ。ラガービールの爽やかな苦味が口の中をリセットしてくれます。ラガービールの本場ドイツではソーセージをおつまみにエールビールを飲むのは定番の光景ですね。

フルーツ似た華やかな香りのするエールビールは肉料理や揚げ物とよく合います。野菜などのマリネやフルーツの入ったケーキなどとも相性がいいです。エールビールの本場イギリスではフィッシュアンドチップスとよく合わせていますよ。

色で味わいが変わるクラフトビール

【エキスパートのコメント】

さまざまな色を楽しめるのが、クラフトビールです。クラフトビールの色は、原料となる麦芽のローストの度合いで変わってきます。色が濃くなるほど、麦芽の風味も強くなります。白色はフルーティーで軽やかな味わいの商品が多く、茶色から黒色になってくると、コクと麦芽の甘みを楽しめます。フルーツビールには、赤いビールなどもあります。

これらをヒントにして、好みのビールを選ぶことができます。スタウト、シュバルツは濃色で、ヴァイツェン、ホワイトエールは淡色。

いろいろなスタイルのビールを詳しく見ていきましょう!

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)