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【この記事のエキスパート】
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート:石関 華子
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。
現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。
ビールはアサヒ、キリン、サントリーといった国内大手メーカーをはじめクラフトビールも人気です。本記事では、自分に合う目的別の商品、ユーザーイチオシの商品、アンケートをもとにした本当においしいビールのおすすめランキングを紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。
ビールと新ジャンルの酒税が変わっていたの知ってた?
2017年に財務省が発表した酒税改正により、ビール・発泡酒・新ジャンルのビール系飲料は2020年から段階的に税率が変動しています。同じビール系飲料内に税率の格差があることで、販売数量や商品開発に影響を与えているのでは、という背景のもと実施が決まりました。
これにより、2023年10月時点でビールは70円→63.55円に引き下げ、発泡酒は46.99円から変動なし、新ジャンルは37.8円→46.99円に引き上げとなり、2026年10月に予定されている54.25円の税率一本化に向けて2020年から6年かけて酒税が変更されてきました。
なお、税率においてこれまで新ジャンルに定義されていたものは、発泡酒の項目に取り込まれました。
ビール・発泡酒・第3のビールの違いは?
スーパーやコンビニ、リカーショップなどさまざま場所で手軽に購入可能なビール。ですが、使用している原料の違いでビール、発泡酒、第3のビール(新ジャンル)に分類されます。
普段何気なく手に取り飲んでいるビールがどれに該当するのかわからない方に向け、それぞれの違いを解説します。
麦芽50%以上で麦芽のコクやホップの苦みを感じるビール
ビールは主に麦芽(モルト)、ホップ、水、酵母が主な原料になり、麦芽を50%以上使用し、法律で定められた副原料が原料5%以下のものという定義があります。なお、日本では酒税法により米、とうもろこし、でんぷん(スターチ)、糖類などが副原料として使用可能になっていて、きちんとラベルに記載がされています。
麦芽やホップの苦みや風味を楽しむことができ、仕事終わりの最初の一杯や食事中、暑い夏の日にぴったりのお酒と言えるでしょう。
麦芽50%未満ですっきりとした味わいの発泡酒
発泡酒の原料はビールと同じながら、麦芽の使用率は50%未満、または麦芽を50%以上使っていてもビールに使える原料以外の原料を使ったもの、規定量を超えて副原料を使ったものが発泡酒です。ビールは麦芽の比率や副原料などが細かく制限されていますが、発泡酒は麦芽さえ使っていれば割と自由にということになります。
麦芽の量が少ないので、風味やコクがビールよりもすっきりとした味わい。発売当初はすっきりした味わいが「薄い」という声もありましたが、各メーカーの技術向上により、ビールに近い味わいの商品も増えています。
穀物などを原料にしたり、スピリッツを加えた第3のビール
いわゆる第3のビールと呼ばれる飲料は、麦芽を使用していなかったり、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたりしたもののことを指し、パッケージに「リキュール(発泡性)」や「その他の醸造酒(発泡性)」と表記されています。
「第3のビール」と呼ばれる飲料は、以下2つの分類に分かれます。
・その他醸造酒(発泡性):麦芽を使用せず大豆などの穀物を原料にしたもの
・リキュール(発泡性):麦芽50%未満の発泡酒に蒸留酒(スピリッツ)を加えたもの
コスパがよく、気軽にビールテイストを楽しむことができます。
あなたにピッタリのビールは? タイプ別診断で発見!
飲みやすい、自分好みのビールを選ぶときは、自分に合っているかをチェックするのがポイント! あなたのタイプに合ったビールはどんなものなのか、確認してみましょう!
診断チャートで簡単チェック!
自分に合ったビールがどんなものか分かったら、下記から詳しい説明をチェックして商品選びの参考にしてみましょう。
A:すっきりとした喉ごしのラガー
【エキスパートのコメント】
ラガービールは、発酵もろみの下面に沈む酵母を使い、低温(約10℃前後~それ以下)で長期間発酵(下面発酵)させて作られるビールのこと。現在日本で流通しているビールの大半がラガービールで、すっきりとした爽快な喉ごしが特徴です。
下面発酵のラガーは、ドイツのバイエルン地方が発祥の地と呼ばれ、6~8℃に冷やして飲むのがおいしい飲み方です。なお、以下のような種類があります。
ピルスナー:キレのある爽快な喉ごしを楽しみたいならこれ! ホップの苦みも楽しめます。
IPL(インディア・ペールラガー):IPA(インディア・ペールエール)の香りや苦み、ラガーのキレの両方が楽しめます。
シュヴァルツ:ドイツ語で黒を指す黒ビール。麦芽をローストしているので、コーヒーやビターチョコのような味を楽しめます。
アメリカン・ライトラガー:アメリカ大手のビール(バドワイザー、クアーズなど)が該当。炭酸は強いものの、ホップの香り、苦み、モルトのボディ感は弱めですが、すっきりとした飲み口になっています。
B:初心者やビールが苦手でも飲みやすいエール
【エキスパートのコメント】
エールビールは、発酵もろみの上に浮き上がる酵母を使い、常温(約16~24℃)で短期間発酵(上面発酵)させて作られるビールで、泡が少なく芳醇で濃厚な味わいのビールです。
上面発酵のエールの歴史は古く、紀元前にはすでに誕生していたと言われています。ラガーとは異なり、8~13℃が飲み頃の温度になるので、冷やし過ぎに注意しましょう。なお、以下のような種類があります。
ペールエール:華やかなアメリカン・ペールエール、モルトのコクが楽しめるイングリッシュ・ペールエールが流通。苦みが抑えられているので、食事にも合わせやすく、クラフトビール初心者でも楽しめます。
IPA(インディア・ペールエール):ホップの苦みや香りが強く、そのクセの虜になる人が多いビアスタイル。なお、柑橘系が強いもの(アメリカンIPA)やアルコール度数をより高めたもの(ダブルIPA)など、派生スタイルが豊富にあります。
ヴァイツェン:白ビールの代表的な存在で、スパイシーな香りとフルーティーな香りが特徴で、苦みが少ない味わいが特徴です。
C:個性を楽しめるクラフト・地ビール
【エキスパートのコメント】
全国各地に中小規模のビールの醸造所(ブルワリー)があり、その土地に根ざした地ビールや「クラフトビール」と呼ばれる多様な個性をもつビールが生産されています。
ビール通な方へのギフトなら、地ビールやクラフトビールがおすすめ。その地方の個性的な味を楽しめるほか、使用される副原料によって香りの種類も実にバラエティに富んでいます。ある程度ビールに慣れている方は、このようなビールを開拓してみるのもよいでしょう。
クラフト・地ビールは全国各地の小規模な醸造所で作られています。その地域の名物を原材料やパッケージに取り入れることで、個性的な味や見た目を楽しむことができます。
価格は少し高いものの、お土産や旅の記念に購入する方も多く、さまざまな銘柄がラインナップされています。
D:健康志向なら糖質ゼロ・糖質オフ
健康志向の高まりとともに、さまざまな食品や飲料で糖質ゼロ・糖質オフをうたった商品が発売されています。しかし、ビールは酒税法により、麦芽を50%以上含んだものが定義のひとつになっていて、この麦芽には糖質が豊富に含まれているため、発泡酒などのように糖質ゼロやオフ、プリン体に配慮した商品はありませんでした。
ですが、技術の進歩によりビールでありながら糖質を取り除くことに成功し、ビール好きも納得の糖質ゼロビールが誕生しました。
おさえておきたいそのほかの選び方
こちらのポイントもチェック!
上記の診断チャートの補足として、そのほかのビールの基本的な選び方も見ていきましょう。ポイントは下記です。
【1】初心者や苦手な方は苦みが少ないものを
【2】炭酸感が苦手なら「スーパードライ 生ジョッキ缶」にトライ
【3】容器にも注目
【4】野生の酵母で醸造された自然発酵ビールもある
【5】プレゼントは特別感や詰め合わせセットを
【1】初心者や苦手な方は苦みが少ないものを
居酒屋やテレビCMに出てくるビールの多くがラガー系に分類されるので、はじめてビールを飲む方や苦手と感じる方は、エール系のビールを飲んでみましょう。
エール系の中でも、小麦の甘みを感じるヴァイツェン、フルーツの果汁を原料にしたフルーツビールがおすすめです。または、ジンジャーエールで割ったシャンディガフ、オレンジで割ったビターオレンジなどのビアカクテルも試してみてはいかがでしょうか。
【2】炭酸感が苦手なら「スーパードライ 生ジョッキ缶」にトライ
缶ビールの炭酸感が苦手な方はグラスに注ぐのがおすすめですが、洗い物を増やしたくないなら、「スーパードライ 生ジョッキ缶」を試してみましょう。飲み口がフルオープンで広かったり、特殊な構造で適度に炭酸が抜け、もっちり泡を楽しむことができます。
【3】容器にも注目
ビールは缶と瓶の容器がメジャーです。缶はコンビニで手軽に購入でき、自宅でゆっくり楽しめます。一方、瓶はリカーショップやスーパーなどで購入でき、ちょっと贅沢したい、ホームパーティーなどで大勢でワイワイ楽しむときに活躍してくれます。
なお、注ぎ口が細い瓶の方が酸化に強い傾向があり、同じ銘柄でも空気に触れる量が異なるため、味に違いが出ると言われています。
【4】野生の酵母で醸造された自然発酵ビールもある
醸造用に培養された酵母ではなく、自然界に存在する野生の酵母を使用して常温発酵させたビール。
1~3年かけて長期熟成されるため、独特の香りと酸味が特徴です。世界的にはベルギーのランビックが有名です。
【5】プレゼントは特別感があるもの、詰め合わせセットを
ビール好きな方にお歳暮やお中元などで贈るのもあり。その際には、贈る相手の好きな銘柄が入ったもの、異なる銘柄の飲み比べができるものなど、特別感を感じるセットを検討しましょう。
相手の好みがわからない場合は、王道の大手メーカーから選んでおけば喜ばれるはずです。
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