静岡の名物といえば、「静岡おでん」や「お茶」などが思い浮かぶ。しかし、実は静岡県の隠れた名物として「缶詰」もあることをご存じだろうか? 特に静岡市のまぐろ・かつおの缶詰は国内シェア99%を誇る。
2月24日に開催されたイベント「缶詰王国しずおか〜その缶詰、静岡生まれかも!〜」では、なぜ静岡が「缶詰王国」なのかの理由、さらに缶詰の活用方法としてアレンジレシピが紹介された。
宇宙食や非常食としても注目される静岡缶詰
缶詰といえば、長期保存が可能なことから非常食として備蓄している方も多いかもしれない。最近ではその味も驚くほどおいしいものが増えており、多めにストックし日常的に食べながら補充する「ローリングストック」としても適している。
このような使い方をすることで、いざという時にも普段から食べているため食が進むというメリットも。さらに近年、宇宙食として認定された缶詰がある。
それがホテイの焼き鳥缶だ。1970年に発売され、スーパーやコンビニエンスストアでもよく見かけるおなじみのロングセラー商品だが、実は2019年10月にJAXA「宇宙日本食」に認証され、2021年には前澤友作氏と共に「やきとりたれ味」「やきとり柚子こしょう味」が宇宙へ旅立ったという。
また、2021年には一般社団法人防災安全協会が主催する「災害食対象」も受賞。「やきとりたれ味G7(260g)」が缶詰部門で優秀賞を受賞し、冷たいままでも美味しい食べやすさや保存のしやすさ、栄養バランスの観点から評価された。
そんなホテイの焼き鳥缶6種をセットにした「やきとり葵プレミアム6缶アソート」が2020年10月より販売されており、静岡土産としても県外から人気なのだという。
続いて紹介されたのは由比缶詰所のツナ缶。由比缶詰所では、まぐろをさばくところから缶詰にするところまですべてを自社内で行う。国内の市場では「キハダマグロ」が多く使われる中、最高品質の「夏びんながまぐろ」だけを使っている。さらに質が良くまぐろの旨みを引き出す綿実油のオリーブオイルを使用しており、油ごとおいしいのが特徴だ。
ツナ缶にはよく見慣れたフレーク状タイプと、かたまりで入っているファンシータイプがある。フレーク状のタイプの方がオリーブオイルや調味液の味がより染みやすい一方で、ファンシータイプの方はまぐろの味をより感じやすい。
山梨罐詰の静岡釜揚げしらす缶詰は静岡の港で水揚げされる駿河湾産しらすの釜揚げを缶詰にしたもの。賞味期限が常温で約2年と保管がしやすく、おいしさをそのままに手軽に常備しやすい。
静岡県が「缶詰王国」なのはなぜ?
そもそも、なぜこんなにも静岡県で缶詰の生産がさかんなのだろうか。
もともと日本の缶詰産業は昭和初期に現在の静岡市清水エリアを中心に発展した。まぐろとみかんの産地だったことから、夏にはまぐろを原料にツナ缶・冬にはみかんの缶詰を作り、アメリカやイギリスに輸出していたことが大きな理由だ。さらに静岡には輸出拠点となる「清水港」があったことも缶詰の輸出量が伸びた理由の一つ。
そうして静岡市を中心に缶詰工場が増えていき、輸出がほとんどなくなった現在でも大手缶詰メーカーが静岡に本社を置くなど「缶詰王国」として名を馳せていったという。
静岡缶詰のおいしい食べ方を紹介
イベントでは缶詰のおいしい食べ方レシピも紹介された。
釜揚げしらす缶詰を使った「無限ピーマン」
釜揚げしらす缶詰を使った「無限ピーマン」は生のピーマンのシャキシャキ感としらすの塩味がほどよくマッチし、ごま油が全体のバランスを整えたクセになる一品。釜揚げしらす缶詰を常備しておけば「あと一品ほしいな」という時にサッと火を使わず手軽に作れるので心強い。
釜揚げしらす缶詰を使った「キャベツのレモンマリネ」
釜揚げしらす缶詰を使ったもう一品、「キャベツのレモンマリネ」釜揚げしらす缶詰を使ったもう一品、「キャベツのレモンマリネ」はレモンのさっぱり感とキャベツ&しらすの組み合わせがとてもおいしい。通常の生のしらすよりも缶詰になっている分しっとりと味が染み込んでいることもあり、調味料をそこまで多く使わなくて良いところもヘルシー。
ホテイやきとり缶たれ味を使った「やきとりチーズホットサンド」
ホテイやきとり缶たれ味を使った「やきとりチーズホットサンド」は、少し以外な組み合わせだったが、食べてみて驚いた。「やきとり缶」が驚くほど食パンに合うのだ!たれ味の甘味とチーズが絡み合い、そこにキャベツのシャキシャキ感が加わる。食パンを焼く際には両面にバターをたっぷり塗るのがおすすめ。
由比缶詰所のツナ缶を使った「ツナご飯」
由比缶詰所のツナ缶を使った「ツナご飯」はシンプルすぎるメニューだが、それだけ味に自信がある証拠でもある。炊きたてごはんに油ごとツナ缶をのせるだけでも、まぐろの濃厚な味わいを感じることができる。今回はフレークタイプのものとファンシータイプのものを半分ずつのせてみたが、それぞれの食感や味の違いを食べ比べることができて楽しい。さらに、お好みでしょうゆやマヨネーズを加えるとまさに「贅沢なツナマヨ」が完成。
ただ「災害用の備蓄として」と缶詰を備蓄するだけでなく、日々静岡缶詰のさまざまなアレンジメニューを楽しみながら、ローリングストックをすることで、いざという時にも食事を楽しく摂れる準備にもなる。もっと缶詰を活用したい! と他の静岡缶詰を探しに行きたくなるイベントだった。