米国のAndroidスマートフォン市場において、2021年第4四半期に台湾のファブレス半導体メーカーMediaTekがQualcommを抑えて最大シェアを獲得した。
これはPCMagが3月1日に報じて明らかになったもので、IDCの四半期ごとの携帯電話市場トラッカーのデータによると、2021年10〜12月期に米国で販売された携帯電話が搭載するチップセットのシェアでMediaTekは51%、Qualcommは47%だった。MediaTekは2021年に、1〜3月期(29%)、4〜6月期(34%)、7〜9月期(41%)、10〜12月期(51%)と1年を通じて大きくシェアを拡大させた。
MediaTekはミッドレンジ下位から廉価帯のデバイスで存在感を高めており、「Samsung Galaxy A32」「Samsung Galaxy A12」「Motorola Moto G Pure」「T-Mobile Revvl V+」「Boost Celero 5G」といった端末によってシェアを伸ばした。
400ドル台以上ではQualcommが強く、ハイエンドやフラッグシップ端末は独占状態である。しかし、MediaTekは5G向けに強力は製品を揃えるという目標を掲げ、昨年11月にTSMCの4nm製造プロセスを採用して製造された初のチップセット「Dimensity 9000」を発表。そして3月1日に、Dimensity 9000の技術を取り入れ、TSMCの5nm製造プロセスでオクタコアCPUを組み込んだ「Dimensity 8100」「Dimensity 8000」、6nm製造プロセスで5G対応の「Dimensity 1300」などを発表した。フラッグシップで最新の技術を採用し、その恩恵を下の価格帯に浸透させていくトリクルダウンで製品ラインナップの拡充を図っている。
Dimensity 8100/8000、Dimensity 1300を搭載するスマートフォンは、2022年第1四半期より市場に投入される見込みだ。それらによってMediaTekがより幅広い価格帯でシェアを伸ばせるかが今後の注目点の1つになる。また、ミリ波も注目点の1つになる。同社は昨年2月にミリ波に対応するサブ6の5Gモデムチップ「M80」を発表した。米国ではVerizonがミリ波を用いた5Gサービスを展開しているが、廉価帯からミッドレンジ下位にはミリ波対応のデバイスがなく、MediaTekが今年そのニーズに応えるとみられている。