誰にでも、やりたい仕事があれば、やりたくない仕事もあります。できればやりたい仕事だけを選んで生きていきたいものです。しかし、現実には生活のためにやりたくない仕事ばかりをこなしていると感じている方も多いのではないでしょうか。
やりたくない仕事を完全に避けながら生きていくのは困難です。その時点ではやりたくないと感じていても、結果として自身の成長や将来のキャリア、そして本当にやりたい仕事へとつながる可能性もあります。
本記事では、やりたくない仕事への対処法や日々のモチベーション維持の方法などについてご紹介します。
「やりたくない仕事」だと感じてしまう理由
仕事にはさまざまなものがあります。それだけに、やりたくないと感じる理由もさまざまです。対処法を考えるうえで重要となるのは、仕事を「やりたくない」と感じる理由を知ることです。ここではまず仕事をやりたくないと感じてしまう理由をいくつかのポイントに分けてご紹介します。
個人の好みや考え方
個人の好みや考え方と実際の仕事内容にズレが生じている場合、仕事をやりたくないと感じることがあります。例えば、淡々と作業をこなして成果を積み重ねることが好きなのに、臨機応変にいろいろな対応を求められる仕事を与えられるとやりたくないと感じてしまうかもしれません。反対に、クリエイティブな作業を好む人が単純作業を強いられるとやはりやりたくない仕事だと感じることがあるでしょう。
仕事にやりがいが感じられない
仕事に対して積極的に取り組むために重要となる要素のひとつとして「やりがい」が挙げられます。体力的、精神的に追い詰められるような大変な仕事であってもそこに「やりがい」を見いだすことでポジティブになれたという経験がある人もいるでしょう。
一方で、どれだけ楽な作業であってもやりがいが見いだせないと、退屈で苦痛を感じることもあります。やりがいの感じ方もやはり人によって異なるため、自分がどのような点にやりがいを見いだせるのかを考えることも大切です。
プライベートが影響している
一見仕事とは関係ないように思えるかもしれませんが、プライベートが影響して仕事をやりたくないと感じるケースもあります。仕事とプライベートをうまく切り離すことができないと疲れも取れず、リフレッシュもうまくできません。結果として疲労やストレスをため込んで仕事をやりたくないと感じるのです。
またプライベートで問題を抱えていると、そのストレスが仕事に影響する可能性があります。プライベートの問題が解決すれば仕事に対してもポジティブに考えられることもあるのです。
環境や労働条件への不満
同じ内容の仕事であっても、環境や労働条件の不満が原因でやりたくないと感じることがあります。仕事内容に多少の不満があっても、得られる報酬が大きければやりたくないという感情は弱くなるかもしれません。
労働環境も重要で、場合によっては仕事内容以上に大きな影響を与える可能性があります。
実力や適性の不足
仕事をこなすうえで必要な実力や適正が不足しているために仕事をやりたくないと感じることがあります。実力や適正が不足していると必要以上に時間がかかったり、労力が求められたりすることがあります。実力や適性の不足がモチベーションの低下につながると考えられます。
やりたくない仕事を乗り切る方法
やりたくない仕事に対して、まずは仕事の内容にしっかりと向き合うことが大切です。ここからはいくつかのポイントからやりたくないと感じてしまう仕事への対処法をご紹介します。
1. 仕事の必要性を考える
まずは目の前の仕事が持つ役割や必要性を考えてみましょう。何も知らないまま単に仕事を続けるのではなく、その必要性や重要性を知ることによって仕事への「やりがい」を見いだせるケースもあります。
また、不要な仕事であると考えられるのであれば社内で相談し、カットして業務全体の効率化を検討することも大切です。これが職場・仕事環境の改善にも繋がります。
2. プライベートを含めた環境を整備する
プライベートや仕事環境が仕事をやりたくないと感じられる原因となる場合もあるため、プライベートを含めた環境の整備も重要なポイントです。
具体的にはプライベートと仕事をしっかりと切り離し、心身を休めてリフレッシュする時間を確保するだけでも仕事へのモチベーションを高めることができます。
また、仕事環境の整備も重要です。仕事しやすい環境を整えることで、同じ作業内容であってもポジティブに取り組むことができるでしょう。
3. 条件について相談する
労働条件や待遇に不満があって仕事をやりたくないと感じているのであれば、上司や周囲に相談することも大切です。オフィスをとりまとめる上司・経営陣は従業員の不満を把握できていないケースもあります。そのため、場合に応じて不満を正直に伝えてもよいかもしれません。
待遇などについては組織の仕組みによって、すぐに改善できるとは限りませんが、こちらの意思を伝えなければはじまりません。
4. 断るという選択肢を持つ
やりたくない仕事は断るという選択肢を持つことも重要です。どうしても仕事へのモチベーションを維持できない、やりたくないという気持ちが強く、業務に支障が出るのであれば断って別の仕事に取り組むというのもひとつの選択肢です。
状況によっては断ることができないケースもありますが、ひとつの選択肢として頭に入れておくだけも気持ちが楽になるでしょう。
やりたくない仕事で得られるメリット
やりたくない仕事というとネガティブな面ばかりが思い浮かんでしまいがちですが、あえてやることで得られるメリットも少なくありません。
将来のキャリアにつながる可能性
やりたくない仕事をすることによって、これまで持っていなかったスキルが得られる可能性があります。
自分には適正や実力が不足していることから「やりたくない仕事」と感じていても、続けることによってスキルが身につき、できる仕事の幅が広がるのです。できることが増えれば当然将来のキャリアにも繋がります。
仕事から学び、自分が成長できる
「やりたくない仕事」であっても、そこから何かを学べるケースも少なくありません。学ぶことによって自分をさらに成長させることもできるでしょう。現時点ではやりたくない仕事であっても、自分の将来につながると考えることでモチベーションアップも期待できます。
やりたくない仕事でストレスを溜めない方法
やりたくない仕事を無理に続けることによって、精神や体調のバランスを崩したり、自分を追い詰めたりしてしまうというケースも少なくありません。そこで、最後にやりたくない仕事で自分を追い詰めない方法をご紹介します。
仕事に見切りをつけるタイミングを考える
しっかりと仕事の内容に向き合ったうえで、どうしても「やりたくない」と感じるのであれば、見切りをつけることもひとつの選択肢です。適正などの問題で自分に向いていないのであれば見切りをつけて転職するタイミングを考える必要があります。
「とりあえず3年」に振り回されない
一度就職すると「とりあえず3年」は勤めるべきだという考え方があります。あまりに短期間で見切りをつけてしまうと何も得られるものがなく、さらに転職時に不利になってしまう可能性も確かにあります。
しかし、明らかに自分に合っていないにも関わらず「とりあえず3年」に縛られ過ぎてしまうとせっかくの転職のタイミングを逃したり、貴重な時間を無駄にしたりすることになるかもしれません。
転職は「マイナス」ではないという意識を持つ
終身雇用制度が一般的だった頃は転職がネガティブなイメージを持たれることも少なくありませんでした。しかし、現在ではキャリアアップのための転職は一般的となり、ポジティブに考えられることが増えています。
このように、転職はマイナスではないという意識を持つことで「やりたくない仕事」に追い詰められることはなくなるでしょう。
やりたくない仕事を断るときの理由
ときには、仕事を振られたときに「忙しすぎてどうしても引き受けられない」「この仕事だけは自分にはできない」ということもあるでしょう。
ここでは、やりたくない仕事を断るときに、相手に納得してもらえる理由をご紹介します。
今の仕事で手一杯である・引き受ける余裕がない
「今抱えている仕事でいっぱいいっぱいなので、仕事を追加されたくない」というときは、素直に「引き受ける余裕がない」ということを伝えましょう。
大抵の仕事には納期があるため、「今抱えている仕事で手一杯で、この仕事を引き受けたとしても納期に間に合わせるのが難しい」ということを伝えれば、他の余裕がある人へ仕事を振り直してもらえることが多いです。
他の人に迷惑がかかる
「自分がこの仕事を引き受けることで、かえって周りの人に迷惑がかかってしまう」というのも、仕事を断るときに納得してもらいやすい理由の一つです。
例えば、大口発注の見込みがある顧客へ商品紹介のプレゼンテーションをしなくてはならない場合、人前で話すことやコミュニケーションをとることが苦手な人がプレゼンテーションを任されたら、大口顧客を逃してしまうというリスクが高まりますよね。
「自分がこの仕事を担当するとこのようなリスクが上がり、周りに迷惑をかけてしまうので、この仕事は自分には荷が重い」と伝えることで、他の人と担当を入れ替えてもらえる可能性が高まります。
自分ではできそうにない
上司や先輩が、部下や後輩の能力やスキルを全て把握しているわけではありません。よって、自分の能力やスキルではできそうにない仕事を振られたときは、素直に「この仕事は自分の能力ではできない」と伝えるのも一つの手です。
「できるところまででいいから、とりあえずやってみて」と言われた際は、自分にできることをやって、できないところやわからないところは、相談しながら進めるようにしましょう。
やりたくない仕事を断るときの注意点
ここでは、やりたくない仕事を断るときの注意点をご紹介します。仕事を断るときは、相手に「ただ単に面倒だから断っているのでは?」と思われないような伝え方をすることが大切です。
申し訳ないという気持ちを伝える
仕事を断るときは、「せっかくご依頼いただいたのに申し訳ないのですが…」といったクッション言葉をつけるなどして、申し訳ないという気持ちを相手に伝えることが大切です。
上司や先輩はあなたに対して、「この仕事を任せることで、成長できるのでは?」「この仕事がキャリアアップに繋がるのでは?」と期待を込めて仕事を振ったのかもしれません。仕事を振ってきた上司や先輩が不快な気持ちにならないように、配慮した言葉を選ぶようにしましょう。
わがままだと思われるような言い方をしない
あなたが誰かに仕事を振ったときに、「その仕事はできません!」とバッサリ断られるのと、「今抱えている仕事の納期が明日までで手一杯なので、申し訳ないのですがこちらの仕事を納期に間に合わせることは難しいです。せっかく機会をいただいたのにすみません。」と断られるのでは、後者の方が納得感がありますよね。
一方で、前者に対しては「やりたくないだけではないのか? もう二度と仕事を頼まない。」と思う人が多いのではないでしょうか。
仕事を断ることで、「面倒だからやりたくないとわがままを言っているだけだ」と思われてしまうと、今後の職場での人間関係やキャリアアップに悪い影響を与えてしまいます。
仕事を断るときは、自分の「やりたくない」という感情やわがままで断っているのではなく、引き受けることが難しい正当な理由があることを伝えましょう。
余裕があるときは自分ができる範囲を提案する
仕事量が多くて断るのではなく、自分の能力やスキルの関係で仕事を断る場合は、「ここまでであればできるので、こちらが私が対応しましょうか?」と自分ができる範囲を提案すると好印象です。
「ここまでであれば対応できる」といった意思を伝えることで、相手に「やる気がないわけではない」ということを分かってもらえます。
やりたくない仕事にうまく向き合おう
仕事を「やりたくない」と感じることにはいくつかの理由があります。いろいろな角度から仕事に向き合って理由を見つけてみましょう。そのうえで改善策を探したり、必要であれば転職したりといった選択肢を検討することも大切です。