オンライン開催となった、今年のCP+2022。さまざまな出展社が関連動画をアップロードし、数多くのライブ配信も行われました。本稿では、ニコンイメージングジャパン公式YouTubeチャンネルで配信された、写真家のFujikawa hinanoさんによるオンラインステージ『【Z fc×オールドレンズ】自分の好きなものを表現するために』の模様を紹介していきます。
オールドレンズを装着して撮った作例を紹介
登壇したFujikawa hinanoさんは、東京生まれの写真家。その冒頭には「いつも日常と非日常の間にある曖昧な感情、温度感などを大切に撮影しています」と自己紹介がありました。今回は、往年のフィルムカメラを彷彿とさせるクラシカルなデザインが人気を集めるニコンのミラーレスカメラ「Z fc」にオールドレンズを組み合わせ、独自の世界観で作品を撮ってきたとのこと。どんな写真が披露されるのでしょうか、期待が膨らみます。
撮影機材はZ fcのほか、マウントアダプターとしてニコン純正の「FTZ II」を使用。こちらは、Zシリーズのカメラに装着するとFマウントレンズでAE撮影が可能になる製品です(AI NIKKOR以降の約360種のFマウントレンズが対象)。装着するオールドレンズには、1959年発売の「Nikkor-S Auto 35mm F2.8」を選びました。「2021年発売のZ fcに63年前のレンズの組み合わせ。ニコンのロマンに嬉しくなります」とFujikawa hinanoさん。
ライブ配信では、20枚弱の作例が紹介されました。いずれも、オールドレンズならではの優しく柔らかな写りが特徴です。例えば、友人を撮った作例では、Fujikawa hinanoさんが意図した「記憶のなかの、ぼんやりしたイメージ」が見事に表現されていました。
日没後の建物を撮った写真では、照明や光が漏れる窓のまわりが明るくにじんだ色に。人の暮らしの暖かさが伝わってくるようです。また、暗部がキチンと写っていることにも注目。Fujikawa hinanoさんは「オールドレンズとデジタルカメラの良いとこ取りですね」と話していました。「このときフィルムカメラを持っていたら、この写真のためだけにISO 800のフィルムを入れるのは面倒だし、撮らなかったと思います」なんてコメントも。
屋外のポートレート写真では、あえてピントをずらすことで、モデルさんの顔の表情がアンニュイな印象に。Fujikawa hinanoさんは「フィルムカメラの曖昧な描写に寄せました」と解説します。同じシチュエーションでは、オールドレンズならではのゴーストを出した仕上がりにも挑戦。「レンズに光を取り込み、画面で確認しながらゴーストを入れていきました。トーン、コントラストが落ちて柔らかくなり、写真の風合いも変わりました。オールドレンズだと、フレアが出ることもある。そうした、現代レンズでは味わえない“ちょっと足りない部分”に人間味を感じるし、私がオールドレンズを好きな理由のひとつなんです」(Fujikawa hinanoさん)。
Z fc×オールドレンズの魅力とは
最後に、Z fc×オールドレンズのポイントを4つ挙げました。1つ目は軽さ。「撮る気はないけれど、一応、カメラを持っていくというときに、カメラが軽量であることは大事な要素。あまり重いカメラだと、そのうち持っていかなくなる。すると機会喪失につながります」と説明します。2つ目は、フィルムカメラと同じ操作性であること。Z fcは手持ちのフィルムカメラとダイヤル、ボタンの配置がまったく同じであり、迷いなく扱えるとFujikawa hinanoさん。
そして3つ目は、Nikkorレンズとの相性の良さでした。詳細は触れませんでしたが、ニコン純正のマウントアダプターで、不変のFマウントと言われることもあるニコンのオールドレンズ群を使えるのは大きな魅力です。そして4つ目はズバリ、見た目。Z fc×オールドレンズはファッションにも溶け込む可愛いデザインで、浮かず、女性にもオススメであると話していました。
なお、約1カ月半かけてFujikawa hinanoさんが撮りためた写真は、ニコンプラザ東京(新宿区西新宿、3月8日~21日開催)、ニコンプラザ大阪(大阪市中央区、3月10日~23日開催)でも展示される予定。ライブ配信の視聴者からは「Z fcは自由度高いですね」「写真の並べ方、組み合わせが勉強になります」「素敵な作品をたくさん見れて楽しかったです」といった書き込みが寄せられていました。