iPhone 12 Pro/Pro Maxに初採用された「LiDAR(Light Detection And Ranging)」は、光を用いたリモートセンシング技術です。対象物へレーザー光を照射し、返ってくる時間から対象物までの距離を瞬時に測定します。その応用により、物体表面の形状をトレースしたり、2D/3D画像を作成したりといった処理が可能になります。
iOS 15に標準装備のものでいえば、LiDAR対応アプリの代表格は「カメラ」でしょうか。LiDARの働きにより、周囲の明るさ/暗さに影響を受けることなく被写体を捉えられるため、ナイトモードでもポートレート撮影が可能になりました。暗所でのオートフォーカス速度も、LiDARにより大幅に高速化されています。
特殊効果を用いたムービーを作成するアプリ「Clips」も、LiDARに対応しています。画面下部のスタートボタンをタップすれば、周囲のスキャンを行いAR(拡張現実)空間のエフェクトをかんたんにくわえることができます。
「計測」アプリを利用した物体の測定も、LiDARのサポートにより強化されています。テレビや本など四角形の物体にカメラを向ければ、その幅や高さをかなりの精度で瞬時に測定してくれます。足から頭まで画角に収まるよう人間にカメラを向ければ、身長も測定できます。なお、ガイドラインに沿って物体のサイズを測定できるのは、LiDARを搭載したiPhoneのみです。
ARKitという開発フレームワークを活用すれば、サードパーティーもLiDARの機能を生かしたアプリ開発が可能になります。今後LiDAR対応モデルが増えれば、メタバース(3次元の仮想空間)に対応したアプリなどに活用されることでしょう。