現在は、かつてのように一つの会社を定年まで勤め上げるという時代ではなくなり、転職へのハードルもぐっと下がっている。皆さんの中にも過去に転職の経験があったり、今後転職を考えているという人もきっと多いことだろう。
ただし同じ転職でも一般社員ではなく、管理職になってからの転職では、その重みが違ってくる。そこで今回は、管理職以上になってから転職をしたことがあるマイナビニュース男女会員503人を対象にアンケート調査を実施。「管理職以上になってから転職をした理由」などを聞いた。
Q.これまでに転職をしたことはありますか? ※起業、フリーランスへの転向も転職に含みます
「はい」(70.2%)
「いいえ」(29.8%)
Q.何回転職をしたことがありますか?
「1社」(35.5%)
「2社」(23.0%)
「3社」(19.0%)
「4社」(7.5%)
「5社」(8.5%)
「6社」(2.0%)
「7社」(2.0%)
「8社」(0.5%)
「9社」(0.5%)
「10社」(0.0%)
「11社以上」(1.5%)
Q.管理職以上になってから転職をしたことはありますか?
「はい」(73.5%)
「いいえ」(26.5%)
Q.管理職以上になってから転職をした理由を具体的に教えてください
■「部長」
・「ヘッドハンティングです」(67歳男性/愛知県)
・「アルバイトの管理が大変だったから」(72歳男性/千葉県)
・「会社の方針が合わないところが目立つようになってきたから」(50歳男性/東京都)
・「役職定年制があり、60歳前に離職の必要があった」(42歳男性/静岡県)
・「責任を持って重くなり、忙しくて体調も悪くなり治らず、無理だと思うようになり、転職して役職も降りてしまったことがある」(63歳女性/埼玉県)
・「プロジェクト失敗の責任を取らされた。他社で同様のプロジェクト立ち上げの噂を聞き、転職を決意した」(50歳男性/東京都)
■「課長」
・「お給料の問題が生じて、転職につながりました」(40歳男性/千葉県)
・「もっと待遇の良いところに行きたかったから」(55歳男性/長崎県)
・「平社員と本当にわずかしか給料が違わないのに、仕事の質が違う」(47歳女性/神奈川県)
・「給料が変わらなかったですし、仕事は増えるはで最悪でした」(39歳男性/静岡県)
・「残業が付かなくなって手取りが激減したため」(38歳男性/愛知県)
・「管理職という名のもとに残業代が出なくなったのに、給料が相対的に減ったため」(42歳男性/埼玉県)
・「名ばかり課長で、管理職手当によって係長時代よりも手取りが減ったから」(36歳男性/高知県)
・「他の管理職の社員が全く仕事をせず、自分に負荷がかかりすぎた」(44歳男性/茨城県)
・「会社の方針と自分の考えが合わず、転職した」(61歳男性/兵庫県)
・「自分の課長職としてのやり方が認められなかったから」(59歳男性/神奈川県)
・「会社が買収されたあと課長昇進したが、今までと違うやり方についていけなくなり退職した」(50歳男性/長野県)
・「会社の規模が小さく、将来性に不安があったため」(44歳男性/埼玉県)
・「10人ほどの小さな会社で、給料も変わらず仕事量が増えただけだったから」(44歳男性/福岡県)
・「年収を上げ、安定した企業でやりがいのある仕事がしたかった」(46歳男性/東京都)
・「その会社では、それ(課長)より上の昇進は見込めそうもなかった。またその職位に見合うだけの待遇も受けているとは思われなかったから」(63歳男性/新潟県)
・「仕事内容を変えてみたくなり、実際に転職しました」(48歳女性/埼玉県)
・「業績悪化でクビに近い」(30歳男性/兵庫県)
・「勤務先の業績が著しく低下し、倒産懸念が払拭できなかったため」(56歳男性/奈良県)
・「早期優遇退職に応募した」(70歳男性/東京都)
■「課長代理」
・「平社員と給料が変わらない」(36歳男性/愛媛県)
・「管理職ではなくプレイングマネージャ的な業務が多く、体力的・精神的に限界を感じたので」(56歳男性/長野県)
■「係長」
・「上司に新しい提言をしたところ勝手に会社を私物化していると叱責されて、組織における自分の立場の低さを感じてしまい転職を決意しました」(54歳男性/富山県)
・「サービス残業が増えたから」(44歳男性/佐賀県)
■「主任」
・「仕事量が多すぎるため」(40歳女性/宮崎県)
・「管理職に関わらず、職場環境や条件面を見直したかったから」(36歳男性/千葉県)
・「休めない、体を壊した」(54歳男性/東京都)
■「店長」
・「本社上層部と営業施策の意見の違い」(61歳男性/千葉県)
・「テナントで入っていたデパートが閉店したため」(54歳男性/千葉県)
■「マネージャー」
・「新しく食肉の部門を立ち上げるので、知識を買われたので転職しました」(63歳男性/大阪府)
・「社長と折り合いが悪くなったから」(30歳男性/兵庫県)
・「リーマンショックの影響で経営が厳しくなり、希望退職を募集したから」(59歳男性/神奈川県)
■「その他」
・「営業課長級:業界の不景気を理由に、会社が下請けいじめや詐欺まがい商法に走り出した。経営転換に異論を唱えたところ、深夜残業中に営業部長の一人から暴力を振るわれた上、社内に不名誉な噂を流されたので」(58歳男性/東京都)
・「支配人(課長職相当):同業他社の知人より誘いをいただいた。管理職になることで残業代が支給されなくなり、結果として労働時間が増えて手取り額が下がった」(49歳男性/神奈川県)
・「事業部長:ダイレクトリクルーティングサービスに登録していて、企業からのスカウトメールが届いたのがきっかけとなり、その企業の仕事、やりがいに魅力を感じたから」(61歳男性/東京都)
・「取締役:もう1人の役員から受けたパワハラとモラハラのため」(44歳男性/千葉県)
・「工場長:給料の面で折り合いがつかなかった」(43歳男性/愛媛県)
・「役員:成長のない会社なので辞めた」(69歳男性/埼玉県)
■総評
調査の結果、これまでに管理職を経験したことがあるマイナビニュース会員のうち、これまでに転職をしたことがある人は70.2%と、約7割が転職経験があることがわかった。
転職の回数は、「1社」(35.5%)、「2社」(23.0%)、「3社」(19.0%)がトップ3に。8割近い77.5%が、3社以内の転職経験であることがわかる。こちらに「4社」(7.5%)と「5社」(8.5%)を加え、93.5%が5社以内の転職回数となった。
管理職以上になってから転職をしたことがある人は、4分の3に近い73.5%。ちなみに転職をした時の役職やポジションは、「課長」が最多で57.8%だった。以下「部長」15.0%、「店長」5.4%、「マネージャー」「主任」各4.1%、「課長代理」「係長」各3.4%などとなっている。
管理職以上になってから転職をした理由を具体的に訊ねた。全体的な傾向として、「管理職になって残業代がなくなり、手取りが減った」「責任は増したが給料が上がらない」「仕事量に比して報酬が少ない」といった回答が目立った。
特に「課長」職では、「責任と給料のバランスの悪さ」を挙げるコメントが多い。中間管理職の代表とも言える「課長」だが、置かれているシビアな状況が偲ばれるコメントが多数寄せられている。
一方で、「会社の方針と合わない」「業績不振のあおり」「会社の将来性を懸念」など、今の環境では限界があると判断しての転職もあった。そのほか、「部長」職での「ヘッドハンティング」や「マネージャー」職での「知識を買われて」など、外部からその能力を評価されての転職というパターンも見られた。
今回のアンケートでは、管理職経験者の多くが転職を経験していることがわかった。理由は、やはり仕事量と給料のアンバランスさを指摘する声が多かった。現在の仕事環境に何らかの問題を感じている人、転職を考えている人にとっては、参考になる調査結果になったのではないだろうか。
調査時期: 2021年2月17日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 503人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません