毎月、支払っている公的年金の保険料。会社に勤めているなら給料からの天引き、自営や個人事業主なら、国民年金を納付書や銀行引き落としで払いますが、年々引き上げられる保険料に少なからず不満を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は公的年金の不満点について、50代までのマイナビニュース会員517名にアンケート。今、どの公的年金に加入しているのか、年金制度についての不満点はどのようなものか具体的に聞いてみました。

  • あなたがもらえる公的年金は次のうちどれですか?

Q.あなたがもらえる公的年金は次のうちどれですか?

・国民年金と厚生年金……71.0%
・国民年金のみ(自営業者、専業主婦など)……20.1%
・わからない……8.7%

最初に、自身が受け取ることができる公的年金について尋ねてみました。最も多いのが、会社に所属していた人が受け取れる「国民年金と厚生年金」(71.0%)。50ptほどの差をつけて、自営業者や個人事業主、専業主婦などが受け取れる「国民年金のみ」(20.1%)が続きました。中には、「自分が加入している年金の種類が分からない」(8.7%)という人もいました。

日本に住む20歳以上の者であれば、加入が義務付けられている国民年金。会社に勤め始めたら、厚生年金の保険料も加わります。老後のためとはいえ、長い間納め続けなければならない公的年金について、みなさんはどのようなことを考えているのでしょうか。

次は、公的年金制度に関する不満点について聞きました。

Q.あなたは公的年金制度に関して不満を持っていますか?

・はい……71.4%
・いいえ……28.4%

公的年金制度について、不満を持っている人は7割。多くの人が毎月年金の保険料を、不満を抱えながら納めているようです。具体的にどのような不満があるのでしょうか。

Q.不満の内容を具体的に教えてください

もらえる額が少ないと感じるから

・「保険料が高くなっているのにもらえる年金の額が少なくなっている」(男性/46歳/技能工・運輸・設備関連/会社員・公務員・団体職員)

・「もらえる金額が、少なすぎ!」(男性/45歳/埼玉県/その他・専業主婦等/求職中・無職)

・「生活できる水準の金額ではない」(女性/55歳/販売・サービス関連/個人事業主・会社役員)

代表的な意見は「もらえる額が少ない」でした。支払う国民年金の保険料は年々上がり、2021年は1カ月あたり1万6,610円。10年前(2011年度/1万5,020円)と比べると、1,500円ほど上がっています。一方、支給額はというと2年連続の引き下げ。物価も上がっているため、これでは生活ができないと考える人が多いのも頷けます。

本当にもらえるか不安だから

・「公的年金をかけていても少子化対策ができていないため、本当にもらえないというあきらめがあるから」(男性/33歳/専門職関連/会社員・公務員・団体職員)

・「現状若い世代がとても少ないのに対して、医療の発達や食生活が良くなった事などで高齢者が多くいる状況に変わりがない状況がこれからも続く事が予想されてるから、自分がもらう頃には今より減額されるのではと思っています」(男性/52歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)

・「受け取り金額が年々下がってきており自分がもらえる頃には制度が破綻していないか気になる」(男性/33歳/IT関連技術職/会社員・公務員・団体職員)

「もらえる額が少ない」を通り越して、「そもそももらえないのでは?」と心配する声も多数でした。基礎年金制度が創設された1985年(昭和60年)は、現役世代6.6人で1人の高齢者を支えていたのに対し、2025年になると現役世代2人で1人の高齢者を支えなければなりません(※)。さらに、現在働き盛りの40代が年金を受給する2050年頃には、1.4人の現役世代が1人の高齢者を支えることに。1人で1人を支える未来もにわかに現実味を帯び、制度の破綻を心配する声も少なくありませんでした。

不公平だと感じるから

・「年齢差に関して差がありすぎる」(男性/52歳/その他技術職/会社員・公務員・団体職員)

・「世代によって、負担額や貰える額が異なり、不平等だと思い、自己負担分が貰えるようにした方が良いと思うので」(男性/38歳/メカトロ関連技術職/会社員・公務員・団体職員)

・「団塊の世代と比較して著しく不公平である」(男性/54歳/専門職関連/個人事業主・会社役員)

現在、年金を受給している高齢者の方たちの状況と比較すると、現役世代の自分たちが負担する保険料負担は増え、支給額は下がっている……。そんな現状を見て、「自分たちが受給される頃は、もっと下がっていそう」と思うのも無理がない話。世代間の不公平感を挙げる声も目立ちました。

制度に不信感を持っているから

・「契約が勝手にコロコロ変わる保険みたい」(男性/47歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)

・「年金を払いだしたときと話が変わるし、国に信用がなくなっている。(中略)そもそも年金問題は30年以上前から指摘されていたのに何もしてこなかった政治のせいでもう手遅れだと思う」(男性/54歳/事務・企画・経営関連/求職中・無職)

老後のための年金制度ですが、その制度そのものについて不信感を持っている人も多く見られました。

支払額が正当に反映されていないと感じるから

・「トータルの払込額が正当に反映されない」(男性/56歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)

・「負担している保険料の割には受取額が少ないと感じている」(男性/53歳/営業関連/会社員・公務員・団体職員)

・「負担額に対してのリターンが少ない」(男性/46歳/IT関連技術職/会社員・公務員・団体職員)

・「払ってる額に対してもらえる額が少なすぎる。ほとんどの人々は公的年金だけで生活できないと思う」(男性/46歳/技能工・運輸・設備関連/会社員・公務員・団体職員)

国民年金は20歳になったら支払いが義務付けられ、40年以上にわたって保険料を納め続けなければなりません。そんなにも長い間、保険料を支払ってきたのに、受給額がそれに見合った額ではないと感じている人もいました。

まとめ

いかがでしたか?およそ7割が不満を持っている年金制度ですが、その主な理由は制度への不信感やもらえる額への不満でした。具体的な理由を挙げる人が多かった年代は50代。定年がだんだんと近くなり、年金の受給が現実感を帯びてきたことも理由でしょう。「長い間、払い続けてきたのに」「この額で生活するのは無理がある」など、悲痛な叫びも多く挙がっています。

不満を持っている人の中には、「公的年金はあてにできないから、高齢になっても働けるうちは働く」という人もいました。年金だけでは心もとないからと、個人年金で備えている人も。「老後2000万円問題」も記憶に新しいですが、退職金もあてにできず、貯蓄も十分でない場合、老後の頼りは公的年金のみ。長く働き続けることができるように今から健康に気を配り、iDeCoやNISA、国民年金基金などでも備えておくことも必要かもしれませんね。

※現役世代6.6人で1人の高齢者を支える(総務省「国勢調査」より)、2050年頃には、1.4人で1人の高齢者を支える(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)より)

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調査時期:2月1日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:517名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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