舞台『ピアフ』の公開ゲネプロが23日に東京・日比谷シアタークリエで行われ、大竹しのぶ、中河内雅貴、上原理生、竹内將人、山崎大輝が登場した。
同作は仏歌手エディット・ピアフの人生を、パム・ジェムスが戯曲化し、2011年に栗山民也演出の元、大竹により日本で初演を迎えた。4年ぶり5度目の上演で、ピアフと熱い恋をしたボクサーのマルセル・マルダンを中河内、ピアフが見出す歌手シャルル・アズナブールを上原、イヴ・モンタンを竹内、20歳年下の生涯最後の恋人テオ・サラボを山崎が演じる。
5度目の挑戦に、大竹は「栗山(民也)さんが新たに細かく演出をつけてくださっているので、また新しい気持ちでやっているし、新しいキャストとも一緒なので、すごい新鮮な気持ちです」と心境を表す。コロナ禍での稽古については「すぐに撤収しなければいけないのと、一緒にご飯を食べに行くとことやお酒を飲みに行くことが全くできていない状況なので、恥ずかしがったりとか、グズグズ言ってる時間はなくて、最初からオープンな気持ちにならないと、もう無理。だから無理矢理でも仲良くして、いきなり『あなたが好きです、愛してください』という、ピアフと同じように人間関係を作ってる」と明かした。
さらに大竹は「ごはんとか食べなくても、きちんとお互いに芝居ができればこんなに仲良くなれるし、信頼し合えるチームになれるんだということがわかりました。そういう状況でもいいものを作らなくてはいけないし、こういう状況でもチケットを買ってくださる人に、やっぱり『来てよかった』と思わせなくてはいけないので、ハードではありますけど、私たちは届けたいなと思います」と意気込む。
座長としての大竹について、山崎は「遠慮しちゃうところがあるなと思いつつ、ぶち壊しに来てくださってるのを感じて、何て器の大きい方なんだと思いながら稽古をしています」、竹内は「すごく優しく声をかけてくださって、本当にありがとうございます」と感謝。上原は「うまくできないことがあるんですけど、そういうときに稽古場でしのぶさんがスッと来て『落ち込む必要は全然ないし、みんなで最後まで一緒になって頑張って作ってくものだから気にしないで頑張ろう』とパッと声をかけてくれたことがすごい印象的」としみじみし、中河内も「大竹さんは残って稽古をされてるので、自然と僕らも残って見届けてしまう。そういう姿を見させていただいていたので、活力をいただいた」と様子を語る。
共演者に声をかけることについて、大竹は「じっくり観察しようとかは思わなくて、一緒に芝居をしていたら絶対に『今日は元気がないな』とか『演出家に言われて落ち込んじゃうのかな』とか、わかる。若い子を見てやろうとかそういうことは全くないです。いい芝居を作りたいというだけかな」と説明。また「残って歌のお稽古してるのを見てくれているのは嬉しいし、逆に私もエネルギーをもらいました。そういう稽古場ってありそうでないから嬉しい」と振り返った。
福岡・博多座で上演200回を迎えることを教えられると、大竹は驚きつつも「関係ない! もう、1回1回なんです。本当に。今日のゲネがどうなるか、明日どうなるかという感じだから、まったく関係ない」ときっぱり。200回以降、次回上演についての意欲を尋ねられると、「だから、ない! そんな明日のこともわかんないし! 今、今、今!」と訴えていた。
東京公演は日比谷シアタークリエにて2月24日~3月18日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて3月25日~28日、福岡公演は博多座にて4月1日~10日。