“駆けぬける歓び”を掲げてきたBMWは、電気自動車(EV)でもジョイフルなクルマを作れるのか。その答えを教えてくれそうな1台が、日本に上陸した。新型EVの「i4」だ。4ドアの「グランクーペ」というスタイルで、「M50」というグレードは544馬力/795Nmの動力性能を発揮するとのことだが、果たして? 実物を見て話を聞いてきた。
「M8」を凌駕する大トルクを発生!
ここへきてコンパクトカーやSUVのEVは増えているものの、セダンとかクーペといったようなボディスタイルのEVはそんなに多くない。値段は全く違うが、i4はテスラ「モデル3」と似たようなスタイル/車格のクルマなので、セダン/クーペ系EVの新たな選択肢を待ち望んでいた人にとってはかなり魅力的な1台となるはずだ。
i4は「4シリーズ」のグランクーペをベースとする新型EV。ボディサイズは全長4,785mm、全幅1,850mm、全高1,455mmで、床下にバッテリーを積んでいる分、4シリーズ グランクーペより全高が25mmだけ高い。
グレードは「iDrive40」(750万円)、「eDrive40 M Sport」(790万円)、「M50」(1,080万円)の3種類。BMWのハイパフォーマンスモデルであることを表す「M」のシリーズにEVが登場するのは今回が初めてとなる。BMWとしてはガソリンエンジンやディーゼルエンジンで培ってきた「駆けぬける歓び」を、実用的な航続距離を持つEVで実現したいとの思いでi4を開発したそうだ。
iDrive40とM50には以下のような違いがある。まだ日本では認可取得前なので、動力性能は欧州の数値となる。
eDrive40 | M50 | |
モーター | リアに1つ | 前後に計2つ |
車両重量 | 2,080kg | 2,240kg |
航続可能距離(WLTC) | 590km | 510km |
最高出力(馬力) | 340PS | トータルで544PS |
最大トルク | 430Nm | 795Nm |
自宅の普通充電(6.4kWのBMWウォール・ボックスを使用した場合)であれば、空のバッテリーを満タンにするのに要する時間は約15時間となる。急速充電(CHAdeMO、90kW)なら約40分で80%までチャージ可能。10分でもeDrive40なら航続距離最大約90km分、M50なら同75km分を充電できる。
注目したいのはM50の動力性能だ。ビー・エム・ダブリュー プロダクト・マネジャーの岩﨑格さんによれば、544PSという馬力は「M3」よりもハイパワーであり、795Nmというトルクは4.4LのV型8気筒エンジンを搭載する「M8」よりも大きいとのこと。この馬力とトルクをM8よりもかなりコンパクトなボディに積んでいるのだから、「とんでもないクルマになっているはず。絶対に楽しいと思います」(岩﨑さん)とのことだ。
床下にバッテリーを積んで重心が低くなっているので、コーナリングなど走りのよさにも注目してほしいと岩﨑さん。BMWの「M」では初のEVとなるが、この手のクルマが好きな“通”な人たちをがっかりさせる可能性は「ゼロ」(同)だというから、乗るのが楽しみだ。