米Intelは日本時間の2月18日にオンラインでInvestor Meeting 2022の様子を公開、ここで同社のプロセスや製品に関するロードマップを公開した。このうちIntel Arcに関しては既にYoichi Yamashita氏のレポートが上がっているので、その他の話をまとめてご紹介したい。
Process
まず懸念されているProcessであるが、今後4年に5つのProcess Nodeを出荷するとし(Photo01)、
- Intel 4は既に量産SteppingのTape outが完了しており、2022年後半に量産開始予定
- Intel 3は最初のサーバー製品のテストウェハが現在Fabで製造中。2023年後半に量産開始
- Intel 20AはIPのテストウェハをFabで製造中。2024年前半に量産開始
- Intel 18Aは今年前半にCustomer Test Chipの製造を実施予定。今年後半に最初のIP Shuttleの製造を予定。2024年後半に量産開始
というタイムラインを示した。会場ではGelsinger CEOが18Aの最初のテストウェハを示し、18Aを含めて順調に進行している事をアピールした(Photo02)。また今後はオハイオ及びEUも含めて9拠点での製造になることで、2026年にはウェハ製造能力が2021年比で1.5倍ほどになるという見通しも説明された(もっともこの棒グラフや折れ線グラフの高さが正しくスケールしている、という前提での話なので正直良く判らないのだが)。
CCG(Client Computing Group)
クライアント向けであるが、Alder Lakeに続きRaptor Lake/Meteor Lakeまでは既報の通りであるが、これに続き2024年にはArrow Lakeが用意されることがまず明らかになった(Photo04)。続いてもう少し細かい話であるが、Raptor Lakeそのものは現在のAlder Lakeの延長にある。これが大きく変わるのは2023/2024年のMeteor Lake/Arrow Lakeで、こちらは初のChipletアーキテクチャを取るClient向け製品となる。
更にその先にはLunar Lakeと呼ばれる、消費電力を大幅に下げた製品が予定されている事も明らかにされた(Photo05)。ここでIntel 3が居ない理由は後述する。
それはともかく直近で登場するRaptor Lakeの特徴がこちら(Photo06)。24core/32threadということはP-Core×8+E-Core×16という構成になると思われる。またAlder LakeのLGA1700とソケット互換である事と、Intel 7で製造される事も明言された。
続くMeteor Lakeは、CPU/GPU/SoC/IOの4つのTileから構成されるほか、GPUが次世代になること、それとAI Acceleratorが搭載されることも説明された。ただしSocket Compatibleだとは言っていないあたり、LGA1700ではない可能性が高そうである。
DCAI(Data Center and AI Group)
AIがどこから出て来たかと言えば、Sapphire Rapidsベースの製品(とPonte Vecchio)がAI Trainingでも高速という話を今回アピールしており、それもあって事業部名にAIも入ったようだ。
それはともかくそのDCAI、2023年までは成長率が低く抑えられるが、その先は急速に伸びるとしたうえで、Sapphire Rapidsに続き2023年にEmerald Rapids、2024年にはGranite Rapidsが投入されるほか、その2024年にはE-CoreベースのSierra Forestが復活する事も明らかにされた(Photo08)。そのDCAIの中でもNetworkというかIPUのマーケットに関しては、2026年まで毎年数十パーセントの伸びを予定しているとされる(Photo09)。ついでにAXG(Graphics)の売上予測を見ると、2026年には100億ドルに達するという、かなり強気の予測である(Photo10)。原動力は単価の高いHPC-AI向けだと思うのだが、どこまでこれが実現するかは何とも言い難い。
ちなみにIce Lake-SPは2021年末までで100万個出荷したとしており(Photo11)、今後はこれをSapphire Rapidsで置き換えてゆく予定である(Photo12)。ところでPhoto08で出て来たロードマップだが、Reviseしたのがこちら(Photo13)で、Sierra Forestの次世代製品も予定されていることが明らかにされた。
IFS(Intel Foundry Service)
最後にIFSの話を。現状IFSは殆ど何も無いわけだが、Tower Semiconductorの買収により、IFSに15億ドルほどの売り上げが発生したことになる(もっとも買収そのものが完了するのは約1年後だから、あるいは各国の規制当局の反対があって流れる可能性も無いわけではないのだが)(Photo14)。
ここで目を引くのはIntel 16だが、これは14nmプロセスをベースにした自動車向けのプロセスである。自動車向けだとAEC-Q100対応とか欠陥率を下げる事(冗談抜きにZero Defectが求められることもある)などで特殊な対応が必要であり、それもあってTSMCなどでも自動車向けプロセスは通常のものと区別しているが、Intelもこれを14nmをベース(14nmなのか14nm+なのか14nm++なのか、は不明)に用意するという話は昨年から出ていた。ただその名称であるIntel 16は今回初公開だと思う。
それはともかく、特徴的なのはIntel 16/Intel 3/Intel 18AがIFSの顧客向けプロセスになっているということで、Intel 7/4/20AはIntel社内専用プロセスになる訳だ。Intel 3/18AはそれぞれIntel 4/20Aの改良型という位置づけだから、まず自社製品で問題を根絶させて、その改良型をIFSの顧客に提供するという形を取ったようだ。その結果として、Intel 3は社内向けはある程度絞る必要があり、それもあってCCG向けはIntel 3をスキップするという事になったものと思われる。
ちなみにGelsinger CEOは就任直後にIDM 2.0を標榜したが、既存のIDM 1.0との違いがこちら(Photo15)。要するに古いプロセスも引き続き生産を続けるので、結果として出荷金額がどんどん上がってゆくというもので、TSMCなどに近いビジネスモデルではあるのだが、おそらくこの対象になるのはIntel 3以降(Intel 7とか4が対象になるかどうかは微妙)と思われる。
ということで簡単にまずは速報をお届けした。実際にはもう少し細かい情報(主に財務関連)があるのだが、これはまた別の機会にご紹介したい。